
2018年、世界最大の取引高を誇っていた「築地市場」が豊洲に移転しました。
築地市場は東京都中央区という一等地に存在しているにもかかわらず、広大な敷地を有しています。
この敷地がどのように活用されるのか、興味がある人も多いのではないでしょうか?
気になる築地市場の再開発は、2025年度からついに着工が始まります。
本記事では、建築される建物の内容から注目エリア・マンション市場への影響などを解説します。
築地周辺のマンション購入を検討している方は、住環境や市場価格の変化を見極めるための参考としてお役立てください。
築地再開発の概要

築地再開発は、築地市場跡地を中心におこなわれています。
築地市場の土地は194,679.11㎡(58,890.43坪)と広大な面積です。
広い土地の開発は周辺環境に影響を与えるため、きちんと目的をもって計画を立ててから実行されます。
もちろん、築地市場の再開発でも目的を設定し、計画が立てられています。
まずは築地再開発の背景や目的、計画についてみていきましょう。
築地再開発の背景と目的

中央区は築地市場周辺の都市基盤整備や、開発事業と一体となったまちづくりを推進しています。
築地市場の周辺では、交通インフラの強化といった都市基盤整備が予定されています。
築地再開発は周辺の整備計画に影響を与える可能性が高いことから、一体となったまちづくりが不可欠だからです。
また、東京都都市整備局では築地市場跡地の開発について「都心の大規模な土地、歴史・文化資源などのポテンシャルを活かしながら、民間の力を最大限に活用して、東京の持続的な成長につながるまちづくりを進める」としています。そして、将来像や方向性、進め方を「築地まちづくり方針」として定めています。
築地再開発の進捗と今後の計画

築地市場を再開発する企業共同体は「ONE PARK×ONE TOWN」をコンセプトとして開発を進めます。
そして、市場跡地には以下の建物が建設される予定です。
- 多目的スタジアム
- オフィス
- ホテル
- レジデンス
- 舟運利便施設
- にぎわい施設
なお、工事は第一期工事と第二期工事に分けられています。
第一期工事は2032年度、第二期工事は2038年度の完了を目指しています。
そして、先行工事として2025年度「にぎわい施設」を着工する予定です。
にぎわい施設は江戸前の伝統的な食文化を提供したり、さまざまなイベントを開催したりするスペースです。
築地市場を通じて培った食文化を体感できる施設が、どのようなものになるのか楽しみですね。
また、東京観光の拠点として舟運利便施設も整備されます。
隅田川と東京湾に面している立地を活かし、観光事業の活性化も期待されています。
築地エリアの魅力と再開発による変化
築地エリアは現状でも魅力あるエリアですが、再開発が完了するとよりよくなると予測されています。
ここからは、築地エリアの現状の魅力、予測される変化について解説します。
魅力① 交通利便性と立地のよさ
築地エリアは、交通利便性が高く立地のよい地域です。
東京メトロ日比谷線「築地駅」や都営地下鉄大江戸線「築地市場駅」が近く、中目黒や新宿方面へのアクセスに優れています。JR「新橋駅」にも近く、遠方に出かける際にも非常に便利です。
また、築地は日本を代表する繁華街「銀座」、住宅地として人気の「勝どき」と隣接しています。大規模な商業地や閑静な住宅エリアと接しており、築地周辺は多様性がある町といえます。

魅力② 下町情緒と新旧の融合

築地は歴史ある地域として下町情緒の残る場所ですが、再開発がおこなわれることで新旧が融合する都市となります。
築地市場は江戸時代から現代に至るまで東京の食文化を支え、地域の発展に貢献しています。同じく、江戸時代に浅草に創建され、築地に移転・建立された「築地本願寺」もあり、築地エリアは古くから多くの人で賑わっている地域です。
老舗の飲食街や商店街など「残すべき築地」が多く存在する一方、築地の再開発によって新しい都市機能が生まれます。
伝統的な食文化を伝える「にぎわい施設」や、食を研究する「築地クリナリーセンター」の建設により、今までになかった文化が醸成されるのではないかと期待されています。
魅力③ 水辺の景観と開放感

築地は隅田川に面しており、東京湾に近接しているエリアです。
水辺の玄関口という立地を活かすため、再開発で舟運利便施設が整備されます。舟運利便施設は、主に東京各地にある観光地を結ぶ路線として利用される予定です。
また、川沿いには水辺の遊び場「キッズクリエイターパーク」が建設され、ファミリーでも楽しめる場所が設置されます。隅田川に面した約10万㎡のスペースは緑地広場になり、散策に適した場所にもなりそうです。
築地は住宅街である勝どきや晴海にも近く、再開発エリアが東京のウォーターフロントシティとして、多くの人の憩いの場となると期待されています。
築地再開発とマンション市場の関係
築地再開発は住環境の向上につながり、マンション市場価格にも影響を与えると予測されています。
築地周辺でマンションを購入しようと検討する人にとっては、今後の市場の変化は気になるところでしょう。
ここからは、現状のマンション市場や新築と既存マンションの選び方、投資としての可能性について解説します。
築地エリアのマンション価格動向
築地エリアのマンションの築年数・駅までの距離、価格の関係性は以下のとおりです。
築地駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別2024年4月~2025年3月の中古マンション新規売出数
~築1年 | ~築5年 | ~築10年 | ~築15年 | ~築20年 | 築21年以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
徒歩1分 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 |
~徒歩3分 | 0 | 0 | 8 | 2 | 24 | 37 |
~徒歩5分 | 0 | 14 | 22 | 4 | 16 | 91 |
~徒歩7分 | 0 | 3 | 19 | 8 | 50 | 115 |
~徒歩10分 | 0 | 4 | 81 | 12 | 36 | 65 |
築地駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別中古マンション坪単価
~築1年 | ~築5年 | ~築10年 | ~築15年 | ~築20年 | 築21年以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
徒歩1分 | – | – | 604万円/坪 | – | 495万円/坪 | – |
~徒歩3分 | – | – | 501万円/坪 | 518万円/坪 | 581万円/坪 | 357万円/坪 |
~徒歩5分 | – | 780万円/坪 | 691万円/坪 | 576万円/坪 | 501万円/坪 | 424万円/坪 |
~徒歩7分 | – | 1,070万円/坪 | 608万円/坪 | 625万円/坪 | 551万円/坪 | 402万円/坪 |
~徒歩10分 | – | 565万円/坪 | 746万円/坪 | 595万円/坪 | 501万円/坪 | 394万円/坪 |
築地駅周辺800m駅徒歩×築年帯別中古マンション単価(60㎡換算)
~築1年 | ~築5年 | ~築10年 | ~築15年 | ~築20年 | 築21年以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
徒歩1分 | – | – | 10,963万円 | – | 8,985万円 | – |
~徒歩3分 | – | – | 9,089万円 | 9,408万円 | 10,542万円 | 6,485万円 |
~徒歩5分 | – | 14,164万円 | 12,548万円 | 10,463万円 | 9,086万円 | 7,692万円 |
~徒歩7分 | – | 19,429万円 | 11,040万円 | 11,343万円 | 9,992万円 | 7,301万円 |
~徒歩10分 | – | 10,248万円 | 13,543万円 | 10,806万円 | 9,088万円 | 7,148万円 |
東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」によると、東京23区の中古マンションの平均成約坪単価は115.47万円でした。
築地エリアと東京23区の平均成約坪単価を比べると、現状でも高価格であるとわかります。
築地市場が未開発の状態でも東京23区のなかで高水準な価格帯であり、開発が完了したときには、今よりも価格が上昇すると考えたほうがよいでしょう。
都心に立地しているため資産性が高く、今後も築地エリアのマンションは資産としての価値を保ち続けると予測されます。
新築 vs 既存マンションの選び方
新築と既存マンションを選ぶのに迷った場合、以下の項目を比較して選択しましょう。
比較項目 | 概要 |
---|---|
価格 | ・既存の場合はリノベーション・リフォームの必要性を考慮する |
共用部分の設備 | ・防犯や防災に関する設備を比較する・設備の種類と管理費・修繕積立金の高さのバランスを確認する |
管理費・修繕積立金 | ・新築は段階的に上がるケースが多いため事前に上がり幅を確認する・既存は管理費・修繕積立金が予定どおり貯まっているか確認する |
立地 | ・駅からの近さを調べる・駅から遠いと資産価値低下リスクが高くなる |
間取り | ・建築された時期に流行った間取りが採用されている・既存の間取りが自分たちにあっているか確認する |
比較すべき項目は多いため、不動産会社の担当者にヒアリングしつつ検討しましょう。
投資用としての築地エリアの可能性
投資用としての築地エリアの可能性は高いといえます。
築地エリアは都心部に位置し、交通利便性も居住性も高い地域です。
再開発により地下鉄新駅の建設、首都高の延伸がおこなわれれば、より利便性の高い地域として賃貸需要が増加するでしょう。
また、築地市場跡地の再開発が終われば、東京を代表とするウォーターフロントシティとして注目度が高くなります。海外の投資家へのアピールともなり、築地エリアのマンションを投資目的で購入する人も増えそうです。
再開発で注目される築地のエリアとおすすめ物件
築地の再開発では広範囲で施設の建設や、交通インフラの強化がおこなわれます。
そのなかでも、とくに町並みが大きく変化するエリアは住環境が向上するため注目されています。
築地で物件探しをする際には、注目エリアがどこか理解しておかなければなりません。
ここからは、築地再開発の注目エリアとおすすめ物件を紹介しますので、物件探しの参考にしてみてください。
再開発の中心地と開発計画
築地再開発の中心地は、築地市場跡地です。
市場周辺では交通インフラの強化が図られているものの、新たに複数の施設が完成するというエリアはありません。
一方、築地市場の跡地には、再開発で商業施設やオフィス、レジデンスなどの大規模建築物が建設されます。
そして、MICE施設も整備されて国際複合コンベンションの場となったり、収容人数約5万人の多目的スタジアムが建設されてスポーツの中心地となったりする予定です。
都市機能は築地市場跡地に集約されることからも、再開発の中心地は市場エリアとなります。
築地で注目されるマンションの特徴
築地エリアでは新築分譲マンションの建設計画があったり、既存マンションも活発に取引されたりしています。
築地エリアで分譲が予定されているマンションは、以下のとおりです。
マンション名 | 最寄り駅 | 入店予定年月 |
---|---|---|
THE TOYOMI TOWER MARINE&SKY | 勝どき | 2027年8月下旬予定 |
グランドシティタワー月島 | 月島 | 2026年9月下旬予定 |
セントラルガーデン月島 ザ タワー | 月島 | 2029年3月上旬入居予定 |
それぞれの新築は勝どきや月島エリアであるものの、築地からも近い場所にあります。
いずれも、700戸を超える高層大規模タワーマンションです。
築地エリアのおすすめ中古マンションは、以下のとおりです。
マンション名 | 推定売買価格相場 | 駅からの距離 | 築年数 |
---|---|---|---|
アトラス築地 | 1億5,620万円~1億6,020万円 | 築地駅徒歩4分 | 2021年7月 |
勝どき ザ・タワー | 1億5,300万円〜1億5,700万円 | 築地市場駅徒歩15分 | 2016年11月 |
東京ツインパークス | 3億2,730万円〜3億3,130万円 | 築地市場駅徒歩16分 | 2002年9月 |
パークタワー勝どきミッド | 1億4,010万円〜1億4,410万円 | 築地市場駅徒歩19分 | 2023年8月 |
パークタワー勝どきサウス | 1億4,810万円~1億5,210万円 | 築地市場駅徒歩19分 | 2023年8月 |
THE TOKYO TOWERS | 1億8,070万円〜1億8,470万円 | 築地市場駅徒歩20分 | 2008年1月 |
※2025年5月6日現在
築地エリアは東京都心部という好立地であるため、既存マンションの価格も値が張ります。
築20年経過しても、価格が1億円を超える物件も数多く存在します。
築地エリアのマンションが、人気なのかがわかりますね。
築地再開発に関するよくある質問
「築地 再開発」まとめ
築地再開発では、築地市場跡地を中心に工事が進められています。
築地市場跡地には高層オフィス・レジデンスや商業施設の建設が計画されており、住環境が向上するでしょう。ほかにも、地下鉄の新設や首都高の延伸なども予定されており、交通アクセスもよりよくなってマンション市場に影響を与えると予測されています。
すでに東京都の平均価格よりも高いエリアですが、住環境や交通アクセスの良化にともなってより上昇すると考えておくべきでしょう。
築地エリアでマンション購入を検討するのであれば、早めに探し始めたほうがよいかもしれませんね。