正直不動産2 第八話のあらすじと内容に関する解説！片手間でのワンルーム投資はハイリスク

第8話　主な登場人物 【登坂不動産】 主人公・永瀬財地（山下智久）：登坂不動産のエース営業マン。嘘がつけない呪いにかかっており、正直すぎる営業を武器に不動産業界を生き抜いている 若手社員・月下咲良（福原遥）：カスタマーファーストを第一に行動する登坂不動産の若手社員であり、永瀬のよきパートナーでもある 新入社員・十影健人（板垣瑞生）：マダムの継孫として登坂不動産に入社することになったZ世代の新入社員。仕事よりもプライベートが第一で、残業せずにさっさと帰宅してしまう 新入社員・黒須圭佑（松田悟志）：桐山の紹介で登坂不動産に入社。完全出来高制のフルコミッション契約を結んでいる。ナンバーワンにこだわり、永瀬を敵視している。 【光友銀行】 榎本美波：登坂不動産が提携する光友銀行の融資担当。永瀬と同棲中。 【ミネルヴァ不動産】 営業・神木涼真（ディーンフジオカ）：元登坂不動産の営業マンで、長年にわたってナンバーワンをとり続けた永瀬の師匠。悪魔じみた営業手法を武器に永瀬のライバルとして立ちはだかる 営業・花澤涼子（倉科カナ）：育ち盛りの息子を育てるシングルマザー。大手ゼネコンで現場監督をするも、女性差別が激しく嫌気がさしていたところ、鵤に声をかけられミネルヴァ不動産へ。月下とは良きライバルか。 【第8話ゲスト】 綿村博士：婚活中で、TTNデータのSE。マンション購入を検討している ようこ：ミネルヴァ不動産の花澤が綿村に近づくために名乗った架空の人物 榎本早苗：光友銀行に勤める榎本美波の祖母で、秋田に住んでいる 土井秋広：登坂不動産を訪ねたマンション購入希望の客

とある地鎮祭で石碑を壊して以降、嘘がつけなくなってしまった不動産仲介会社の営業マンが、海千山千の不動産業界で奮闘する姿を描くNHKドラマ『正直不動産2』。

山下智久が演じる登坂不動産の敏腕営業マンである永瀬財地は、嘘八百を並べて売上トップを誇り、“ライアー永瀬”という異名をとっていました。

しかし、ある日地鎮祭でほこらを壊してしまったことで嘘がつけない呪い（嘘をつこうとすると不思議な風が吹き、本音が飛び出す）にかかり、一転して正直すぎる営業マンとして舵を切ることに。

本記事では2024年2月27日の夜10時に放映された、『正直不動産2』の第八話のレビューと話のポイントについて解説します。

正直不動産第七話あらすじ

永瀬と月下は商店街を通勤中。商店街ではボランティアによる清掃活動が行われていました。

そんな中、ひとりの店主が永瀬に「永瀬産この前ありがとうね、家賃の相談に乗ってもらって助かったよ」と声をかけます。

商店街のみんなから信頼されている永瀬の姿に、月下はどこか羨ましそうな様子です。

クレームが相次ぐ黒須とワンルーム投資を検討する客

登坂不動産につくと、黒須にはまたしてもクレームの電話が。

どうやら最近、強引な営業スタイルをとる黒須にクレームの電話が多いようで、大河部長もため息をついています。

月下に心配される中、トイレに駆けこんでもどしてしまう黒須。

「あー畜生、あんな商店街で人気取りしているようなやつに追い上げられるなんて。フルコミのオレにとって売上こそが存在価値。トップじゃなきゃ居場所がなくなるんだ」とこぼす黒須の表情はとても追い詰められているようでした。

一方、永瀬のもとにミネルヴァ不動産の神木から登坂不動産を紹介されたという、会社員の篠崎文彦が訪れてきました。

3年前に西国分寺で新築のワンルームマンションを投資用に購入したものの、サブリースで家賃保証をしてくれると話したTBGコーポレーションが2年前に倒産。

入居者が退去してから家賃収入がなく、ここ1年以上赤字続きだと話します。

サブリースとは 不動産会社がオーナーから賃貸物件を借り上げ、家賃保証し、入居者にまた貸しするシステムのこと

先に訪れたミネルヴァ不動産では、その話を聞いた神木が「売値は買値の70％まで下がるが、すぐ売ってしまいましょう。投資で損をした分は投資で取り返しましょう」と篠崎に提案。

築20年で20㎡、八起駅から徒歩10分で1,800万円の「ジュエル八起」というワンルームマンションの購入を勧めていたのです。

「30年ローンだと年利2.3％月々の返済は7万円、毎月10万円の家賃を設定すれば3万円の利益が上がる。ローンを返し終われば10万円がまるっと手に入る。」と話す神木に価格の高さから気乗りしない様子の篠崎に、神木は「不安なら他者と比較してはいかがですか？登坂不動産に永瀬というものがいます。正直者として有名ですから」と伝えたのでした。

マンション投資はサラリーマンが片手間でやるものじゃない

その話を聞いた永瀬は割高だとジュエル八起の購入に反対します。

神木の査定価格は1,800万円でしたが、永瀬の査定価格は1,500万円。

家賃収入8万。

神木に伝えて適正価格に下げたとしても、購入後に赤字になるか黒字になるかわからないというのです。

「物件価格でそれ言ったらおしまいっす。究極にタムパ再考じゃないですか。」と口を挟む十影に風に吹かれた永瀬は「その夢、醜い悪夢のような現実にしかなりません！そもそもマンション投資なんてサラリーマンが片手間で手を出す物ではない、固定資産税など管理費など月々の支出で赤字予想にしかなりません。黒字を出すには常にそういった不動産の市場価格や市場金利の動向を掴む努力が必要なんです！」と一括します。

「神木さんは30年後、データ的に1,800万円以上になる可能性があるって。」とうろたえる篠崎に「数字は嘘をつきません。ですが、嘘つきは数字を使う。」といい、続けて不動産業界の闇についてこう続けました。

「いいですか、不動産業界に巣くう一部のハイエナどもは、あなたような情報弱者にすぐに目をつけ、そして数年後に物上屋が格安でマンションを買い上げ、さらに1Ｒ屋が現れてはすぐに新しい物件を売りつける。まさに無限ループ地獄にたたき落とすんです！」

そのまま永瀬はミネルヴァ不動産に乗り込み、神木の元を尋ねます。

なぜ篠崎を送り込んだのかと問う永瀬に「勝負がしたくなった。俺が勧める明らかに割高なワンルームマンションを篠崎さんが買ったらオレの勝ち。買わなかったらお前の勝ち。どうだ？」と誘う神木。

そして、「（篠崎さん以外に）もう1人用意してある、そっちは篠崎さんほど簡単じゃない」と告げたのでした。

神木が手を出した顧客リストの出所とは

登坂不動産に慌てて戻る永瀬。

すると、すでに黒須が神木から派遣された海野慶人の相手をしていました。

海野はすでに赤字続きのワンルームを1軒抱えており、新しく飼う物件は初期費用（手付金・印紙代）を抑えたいというのです。

今ひとつしっくりこない提案をする黒瀬に「こんなことなら永瀬産に頼めば良かったな」とこぼす海野。

そんな海野に「ひとつ手はあります！」と黒須も必死に食いつきます。

一方、ミネルヴァ不動産では鵤社長が神木となにやら話しているようです。

神木が投資用ワンルームマンションの成約を取りまくっているおかげで、資金調達がうまくいき、次の計画もやりやすくなったと話す鵤社長。

ミネルヴァ不動産は何を考えているのでしょうか。

神木は後輩からどうやったらそんなに投資用ワンルームマンションが売れるんですかと尋ねたところ、TBGコーポレーションの顧客リストの存在を明かしたのです。

花澤はその話を聞き、「（TBGコーポレーションは）2年前に行政処分を受けて倒産したワンルーム専用の投資会社。恫喝・恐喝なんでもありの営業スタイル。

ひどいときは、相場の3倍以上の価格で物件を売りつけた。通報されないように気弱そうな客を狙って。」と解説します。

それを聞いた神木は続けて「騙されるやつは何度でも騙される。TBGコーポレーションの強引な営業スタイルの産みの親は鵤社長。これ（USB）は社長から買い取った。1,000万円でな。900万円でどうだ？使いこなせるならな。」と言い残してその場を去りました。

篠崎を思いとどまらせた永瀬の真っ直ぐな声

篠崎がワンルーム投資を検討している背景には、秀慶大学の付属に受かった娘の琴乃の学費を捻出したいという想いがあったのです。

しかし、妻は乗り気ではなく、篠崎は物件の新規購入を諦める旨を神木に伝えたのです。

しかし、そんな篠崎に神木は「あなたはいま、勝利か敗北か決まる分岐点に立たされている。敗北が決定するのはいつだと思いますか？戦うことを諦めたときです。損したまま終わってもいいんですか？この先一生取り返すチャンスを見過ごすつもりですか。」（コンコルド効果：これまでの投資分を惜しんで止められなくなる心理的傾向）と伝え、さらに「諦めてはダメです、篠崎さん。あなたならできます」（ダニングクルーガー効果：能力や経験が低い人ほど自らを過大評価してしまう心理現象）と揺さぶりをかけます。

結局、篠崎は神木の言葉に負けてしまい、契約の以降を固めてしまいます。

ミネルヴァ不動産へ再び訪れようとする篠崎の元に、息を切らした永瀬が駆けつけました。

父を心配した娘の琴乃が自分の学費のためにまたリスクの高いワンルーム投資に挑戦しようとする姿を見て心配になり、永瀬に相談したのでした。

琴乃は商店街の清掃ボランティアに参加しており、そこでみんなから信頼される永瀬の姿を見て、相談するなら永瀬だと思っていたのです。

永瀬は篠崎に「一度騙されたやつはまた必ず騙される、あなたはその見本のような人だ。倒産したＴＢＧコーポレーションの顧客リストが出回っている、それは今後転々と悪徳業者を回り、あなたは無限ループ地獄から抜け出せなくなるでしょう。」と伝えたところ、永瀬のまっすぐな気持ちが伝わったのか神木からマンションを買うことを辞め、いま所持している西国分寺のマンションの売却を永瀬に依頼すること決めました。

海野からの突然の契約解除の申し出にあせる黒須

神木が送り込んだもう一人の客、海野は黒須に突然の契約解除を申し入れていました。

黒須は契約時に「奥の手」を使っており、一方的な契約解除はできないと伝えていたようです。

そもそも海野が契約解除を申し出た背景として、海野には病弱な妻がおり、ワンルーム投資で貯蓄を増やそうと考えていたのでした。

しかし、その妻が亡くなってしまい、そもそも投資の必要がなくなったというのです。

そして、黒須が使った奥の手は「中間金」を指していました。

中間金とは 売買契約成立後に代金の一部として支払う金銭のこと。手付金を払わず中間金を払うことによって取引した場合、初期費用は抑えられる。 しかし、中間金を支払った時点で契約履行の着手にあたり、その後の解除は難しく、多額の違約金が生じることもある。（※契約の解除には売主と買主、双方の合意が必要）

黒須が契約したのは2,000万円の物件であり、違約金は400万円にのぼります。

3日後の決済までに海野さんに代わる買い手を見つけ、それを説得材料に売主に違約金の減額を迫るしかないと、永瀬も月下も藤原も十影も、追い詰められた黒須に力を貸します。

神木から悪魔のささやきを受けた海野と巻き込まれた黒須

そのころ、どこか疲れた様子の海野が夜の公園のベンチで缶ビールを飲んでいると、そこに神木が訪れ、こう囁きます、「中間金を使っての取引ですか、ずいぶんと強引な手だ。その黒須という名の営業、海野さんを利用したのかもしれません。自分の成績のために海野さんを犠牲にしたんですよ」と。

登坂不動産ではみんなが協力して電話をかけ続ける中、黒須が新しい買い手を探し当てます。

黒須は売主と話をして契約金を免除にし、月下と共にその報告をしに海野の元へ向かいました。しかし、階段にさしかかったところで海野と鉢合わせし、笑顔を見せる黒須に「何笑ってるんだ！」と海野は激高、もみ合いの末に黒須は階段から激しく転落してしまったのです。

その知らせはミネルヴァ不動産にも届き、神木を花澤が問い詰めるも「海野さんは俺が営業を書けたときから精神的に参っている感じだった。ビジネスには向かないが、爆弾にはなるだろうと登坂に送り込んだんだ。俺も想像以上の結果に驚いてるよ」と言ってのけたのでした。

結末と第八話のポイント

黒須が入院している病院に顔を出した永瀬と月下。

海野さんは過ちこそおかしてしまったものの、投資マンションの件を解決してもらったうえに今回の件も被害届を出さないという黒須に感謝しているとのことでした。

また、黒須は愛媛の実家に帰って旅館を継ぐこと、そして旅館の主人としてこのスキルを活かすことを永瀬たちに明かしたのです。

「永瀬、ミネルヴァ不動産に負けんなよ」と告げる黒須の表情は晴れやかでした。

さて、今回は「ワンルームマンション投資」がキーワードとなるお話でした。

ワンルームマンションには次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット	デメリット
・安定した収入を得られる ・節税対策に役立つ ・少額から始められる ・物件の管理がしやすい	・家賃収入が0になるリスクがある ・定期的なメンテナンスが必要 ・家賃を下げざるを得ないリスクがある

一件、誰でも始めやすそうなワンルームマンション投資ですが、作中でも永瀬が話していたように黒字になるか赤字になるかはわかりません。

初期投資が安くスタートしやすい、購入時より高値で売却できる可能性があるなどといわれがちですが、それだけを鵜呑みにしてワンルームマンション投資に挑戦するのはリスクが高いといえるでしょう。

ワンルームマンション投資はその名の通り、1室だけを買い上げる投資手法であるため、空室になった瞬間（あるいは家賃滞納をされた瞬間）に収入が0になってしまいます。

しかし、その傍らで不動産投資ローンの返済や修繕積立金・固定資産税等の支払いは続くことから、場合によっては多額の負担を負うことにもなりかねません。

また、物件自体の資産価値が下がるようなことがあれば、家賃を下げざるを得ない可能性もあるでしょう。

昨今では巷でもワンルームマンション投資が流行りつつありますが、甘い言葉に騙されず、冷静に見極め判断することが大切です。