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住宅ローン金利の決まり方は、固定金利と変動金利で異なります。そのため、固定金利が上昇したとしても変動金利が上昇するとは限りません。
住宅ローン金利の指標が何かを知ることで、将来の金利上昇に対する不安を軽減できる可能性があります。
そこで今回は、住宅ローン金利を決める際に指標とされているものを解説します。
住宅ローンの金利タイプは「変動金利」と「固定金利」の2種類です。また固定金利は「全期間固定金利」と「固定期間選択型」があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
金利タイプ | 特徴 |
変動金利 | 経済情勢や政府の金融政策などにともなって返済途中も借入金利が変わる可能性があるタイプ |
固定期間選択型 | 借り入れから5年や10年などの一定期間の借入金利を固定するタイプ |
全期間固定金利 | 借り入れから完済まで借入金利が変わらないタイプ |
変動金利の場合、金利の見直しは半年に1度、毎月の返済額の見直しは5年に1度であるのが一般的です。また多くの金融機関は、見直し後の返済額を見直し前の1.25倍までとしています。
固定期間選択型は、金利の固定期間が終わると自動的に変動金利へと移行しますが、そのときに金融機関が取り扱っている範囲内で、再び一定期間の金利を固定することも可能です。
続いて、変動金利と固定金利の指標となっているものをみていきましょう。
変動金利は「短期プライムレート」と連動しています。
短期プライムレートとは、銀行が業績や財務状況などが優良な企業に貸し出す際の最優遇貸出金利のうち、貸出期間が1年以内の金利を指します。
短期プライムレートをはじめとした短期金利に影響を及ぼすのが「無担保コールレート(オーバーナイト物)」で、金融機関同士が担保なしで資金を借りて翌日に返済をする取引です。
無担保コールレート・オーバーナイト物の金利は、日銀の金融政策によってコントロールされています。そのため変動金利は、金融政策の影響を受けやすいといえます。
固定金利の指標は、代表的な長期金利である「新発10年物国債の利回り」です。
新発10年物国債は、市場で取引される金融商品であるため、金融政策だけでなく「投資家の予想」の影響も受けて利回りが変動します。
そのため固定金利は、投資家の将来予測に応じて変動しやすい点が特徴です。
なお、厳密にいえば固定期間選択型は「円金利スワップレート」を指標に決まります。円金利スワップレートは、金利変動のリスクヘッジのために、変動金利と固定金利を交換する金利スワップという取引をする際の金利レートのことです。
円金利スワップレートは長期金利とほぼ連動しています。そのため新発10年物国債の利回りが上昇した場合は、全期間固定金利だけでなく固定期間選択型も上昇する傾向にあります。
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「変動金利が上がってきたら固定金利に借り換えればよい」と考える人もいます。
しかし、変動金利が上がるころには、すでに固定金利は上がってしまっているでしょう。投資家の将来予測が反映されやすい固定金利のほうが、金融政策の影響を受ける変動金利よりも先に上昇するためです。
日銀は、市場の金利だけでなく物価や賃金なども踏まえて金融政策の方針を慎重に決めています。
2022年10月現在、日銀は日本の景気を回復させるために金融緩和政策を実施し、市場の金利が低くなるように誘導しています。
金利を低くすることでお金が借りやすくなるので、個人の消費や企業の設備投資などが促され、景気が上向くと考えられるためです。
そのため、新発10年物国債をはじめとした長期金利が上昇したとしても、日本の景気が回復していない限り、日銀は金融緩和政策をやめず、変動金利は上昇しないでしょう。
独立行政法人住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンを組んだ人の7割超が「変動金利」を選んでいます。
・変動金利:73.9%
・固定期間選択型:17.3%
・全期間固定金利:8.9%
※出典:独立行政法人住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2022年4月調査)」
低金利の時代であるからといって、固定金利が正解とは限りません。たとえば、変動金利で借り入れて着実に元本を減らしながら、繰り上げ返済の資金を貯める方法もあります。
もし金利が上昇した場合は、繰り上げ返済をして元金を減らすことで、返済負担の上昇を抑えられます。
一方で、返済の途中で金利上昇の不安を抱えたくないという理由で、固定金利を選ぶことも間違いではありません。
さまざまな返済シミュレーションを確認し、ご自身や家族がもっとも納得できる金利タイプを選ぶことが大切です。
家計に余裕がない場合は、金利タイプを選ぶ前にマイホームを購入しても問題ないかをよく考えることが重要です。
全期間固定金利は、返済途中で金利上昇によって返済負担が増えて家計を圧迫する心配がないため、家計に余裕がない世帯向けであるといわれることがあります。
しかし「転職して収入が減った」「子どもが成長して教育費が増えた」などの理由で、返済が苦しくなる恐れがあるため、必ずしも安全とはいえません。
住宅ローンの返済は、20年や30年など長期間にわたるのが一般的です。子どもの進学、昇進や定年退職など今後起こりうるライフイベントも踏まえて、最後まで住宅ローンを返済できるかを考えることがマイホーム購入では重要となります。
将来的に変動金利が上昇する可能性はありますが、すぐに上がるとは考えにくいでしょう。
2022年10月現在も実施されている金融緩和政策は、2%の物価安定の目標を達成するまで継続される見込みです。
生鮮食品を除く総合では、2022年4月〜8月までの5か月連続で、物価上昇率が2%を超えています。しかし、景気の回復が原因ではないため金融緩和政策は継続されています。※出典:総務省「2020年基準消費者物価指数」
そのため、日本の景気が上向いて日銀が金融緩和政策をやめるまで、変動金利は上がらないと考えられます。
基本的には、変動金利よりも固定金利のほうが先に上昇します。そのため「金利が上昇したときは固定金利に変更しよう」と考えて、変動金利を借り入れるのはおすすめできません。
住宅ローンの金利選択に絶対的な正解はありません。不動産会社や金融機関、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談のうえ、慎重に金利タイプを選ぶことが大切です。
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保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。
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