【2025年版】マンション売却の最適なタイミングとは?高く売るための全知識
2025年現在、マンションの価格は大きく高騰しています。購入時より高く売れる可能性もあることから、2025年は売却を考えている方にとって絶好のタイミングといえるでしょう。
一方、マンションの売り時を考えるうえでは、売りやすい時期や売却益にかかる税率が下がる時期なども知っておく必要があります。そこで本記事では、マンション売却の最適なタイミングの考え方について解説します。

マンション売却のタイミングを見極める重要性

中古マンションには、定価がありません。価格は、マンションの築年数や状態、売却時点の市況や需要などによって決まります。また、マンションの売却にかかる税金についても、所有していた期間によって大きく変わってきます。
結果として、マンションを売るタイミングによって、価格や手残りに数十万円、数百万円の差が生じる可能性もあります。
マンションを高く売る3つのタイミングとは
マンションを高く売れる可能性が高いタイミングは次の3つです。
タイミング1.価値が大きく落ちる前の築年帯・状態

マンションは基本的に経年によって価値が落ちていきますが、減価率は一律ではありません。
たとえば、2024年首都圏の中古マンションの築年帯別の成約価格を見ると、築6〜10年から築11〜15年にかけての減価率は9%ですが、築11〜15年から築16〜20年にかけては14%です。したがって、築15年未満で売ったほうが比較的高く売れやすいと予測できます。同様に、築25年を超えると大きく価値が下がっているため、この築年帯もひとつの大きな分岐点といえるでしょう。
もちろんこれは統計上の傾向であり、劣化状況などによっても減価率は変わってきます。また、マンション全体の管理状態にもよるため、修繕積立金が潤沢にあるタイミングや大規模修繕を終えた時期などを狙うのも一案です。
タイミング2.金利が低いタイミング
金利水準は、マンションを購入する人の予算に直結する要素です。金利が低ければ、月々の返済額が抑えられることから買主の予算は上がります。その逆も然りです。そのため、基本的に金利が下がれば不動産の価格が上がり、金利が上がれば価格は下がるというのがセオリーといえるでしょう。
2025年現在、金利は上昇局面にありますがまだまだ「低金利」といえる状況です。
タイミング3.不動産取引が活発なシーズン
不動産は、新生活が始まる前の3月頃が最も需要が高まります。また、転勤が多い9月頃も、3月に次いで不動産取引が活発になります。
ただし、マンションの売却には一定の期間がかかるため、物件の引き渡し時期から逆算して売り出し開始を検討する必要があります。売却期間は平均して3〜4ヶ月程度です。その前に査定依頼し、不動産会社を決めるという工程があることを考えると、前年の夏の終わりごろから売却に向けて動き出す必要があるでしょう。
市況から見るマンションの「売り時」とは
マンションの売却価格は、築年数や状態などの個別事情だけでなく、市況や経済動向にも左右されます。
不動産市場の動向を把握する

マンション価格は、2013年から一貫して高騰を続けています。土地や戸建も高騰傾向にあるものの、マンションはその他の物件種別を凌駕する高騰を見せています。
マンション価格がここまで高騰している主な要因は「低金利」です。2013年に導入された量的・質的金融緩和により住宅ローン金利は低下し続け、これに伴って不動産価格はどんどん高騰していきました。
2025年現在も、中古マンション価格は上昇を続けています。マンションの価格は、需要と供給のバランスの影響も大きく受けます。需要に対して市場に出ているマンションが多ければ価格は下がり、少なければ価格は上がるというのが基本です。
上記のグラフのように、近年は在庫数は減り、成約件数が増えていることから、現在は需要が供給を上回る状況にあり、売却には好機といえます。
経済動向・物価上昇・金利の影響
先述のとおり、10年以上継続しているマンション価格高騰の背景にあるのは圧倒的な低金利です。今の不動産価格は「バブル超え」なんてことを言われることもありますが、バブル当時の住宅ローン金利は7%以上の時期もありました。それが今では、変動金利なら0.5%程度で借り入れることができます。
しかし、2024年3月、日本銀行はマイナス金利政策を解除。以降、二度にわたる利上げを実施したことから、変動型の住宅ローン金利も上昇傾向にあります。

インフレ・物価高も顕著な一方、実質賃金は増加しておらず「トランプ関税」などが一部の産業に与える影響も懸念されます。依然としてマンション市場は堅調ではありますが、経済・市場の動向は不安定といえるでしょう。
売却益(譲渡所得)にかかる税金とタイミングの関係
マンションが高額で売却できた場合は「譲渡所得税」が課される可能性があります。税率はマンションを所有していた期間によって大きく異なるため、注意が必要です。
「売却益」といっても、たとえば4,000万円で購入した不動産が5,000万円で売れたときの差額「1,000万円」を指すわけではありません。税務上の不動産の売却益のことを「譲渡所得」といいます。譲渡所得の算出式は、以下の通りです。
譲渡所得税= 譲渡所得金額 × 税率
内容 | |
---|---|
譲渡収入金額 | マンションの売却価格+固定資産税・都市計画税の清算金 |
譲渡費用 | マンション売却の諸費用 (仲介手数料・印紙税・登録免許税) |
取得費用 | マンションの購入代金+購入時の仲介手数料+設備費 から減価償却累計費を差し引いた金額 |

マンションの購入代金は、減価償却累計費を差し引いた金額で考えます。減価償却費とは、建物が経年劣化によって低下したと考えられる価値に相当する金額です。減価償却費について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご確認ください。

マンション購入時に支払った金銭が、取得費用に該当するかどうか分からない場合は、売却時に不動産会社や税理士などの専門家に確認しましょう。

所有期間による税率の違い
上記の計算方法で算出された譲渡所得に、それぞれ所得税・住民税が課されます。税率は「所有期間5年」を境に大きく異なります。
所有期間 | 区分 | 税率 |
---|---|---|
5年以下 | 短期譲渡所得 | 39.630% (所得税30%+住民税9%+特別復興所得税0.63%) |
5年超 | 長期譲渡所得 | 20.315% (所得税15%+住民税5%+特別復興所得税0.315%) |
上記の通り、所有期間5年以下は所得税・住民税を合わせた税率が「39.63%」、所有期間5年超だと「20.315%」。所有期間5年を境に税率が半分近くまで下がります。

税率を分ける「所有期間」は、実質的な所有期間ではなく「売却した年の1月1日時点の所有期間」でみなされる点に注意が必要です。たとえば、2020年4月1日に購入したマンションを2025年5月1日に売却する場合、実質的な所有期間は「5年と1ヶ月」ですが、2025年1月1日時点の所有期間は「4年と9ヶ月」。つまり、この場合の所有期間は「5年以下」とみなされてしまいます。
特別控除や軽減税率を使える条件
マイホームの売却では、譲渡所得税を節税できるさまざまな控除特例が設けられています。
- 3,000万円特別控除
- 軽減税率の特例
- 買い替え特例 など
たとえば「3,000万円特別控除」とは、譲渡所得を最大3,000万円控除してくれる制度です。この特例が適用になれば、よほどの譲渡所得が出ない限り、税額をゼロにすることができます。また、所有期間10年を超えるマイホームは「軽減税率の特例」が適用となり、税率が下がります。

マンションの売却の流れ・手順
マンションの売却は、次のように進みます。好タイミングに売却できるよう、あらかじめ売却の流れや手順を認識しておきましょう。
STEP1.不動産会社に査定依頼
まずは、不動産会社に査定を依頼しましょう。査定は、1社ではなく複数社に依頼することが大切です。不動産会社によって得手不得手が異なることから、査定額には各社で差が生じます。
投資用マンションを売るなら、マンションの中でも収益物件の実績が豊富な不動産会社に依頼しましょう。査定依頼には、マンション専門の一括査定「マンションナビ」をご活用ください。
STEP2.媒介契約・販売活動
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社への依頼 | ○ | × | × |
自己発見取引 | ○ | ○ | × |
契約期間 | 制限なし (3ヶ月以内推奨) | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
レインズ登録 | 義務なし (登録は任意) | 媒介契約締結から 7日以内 | 媒介契約締結から 5日以内 |
販売活動の報告 | 義務なし | 2週に1回以上 | 1週に1回以上 |
続いて、不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には、上記のように3つの種類があります。それぞれに特徴があるため、ご自身の意向や物件の特性に応じた媒介契約を選択しましょう。媒介契約から売買契約にいたるまでの期間の平均は、3〜4ヶ月程度です。

STEP3.売買契約
販売活動を経て買主が決まれば、売買契約の運びとなります。投資用マンションは、居住者がいる状態でも売買契約が可能です。その場合は、賃貸借契約も買主に引き継がれます。
売買契約では、契約書への署名・捺印、重要事項説明の読み合わせ、手付金の授受などが行われます。

STEP4.引き渡し・決済
売買契約後、買主の融資が正式に降りた後に物件の引き渡しと残代金決済をします。引き渡し・決済は、売買契約から1〜2ヶ月程度空くのが一般的です。
引き渡し・決済では、手付金を除く残代金を受領し、マンションの所有権移転登記手続きをします。マンションのローンが残っている場合は残代金の受領と同時に完済し、抵当権抹消登記をして手続きは完了です。

マンションの売却で失敗しないための7つのポイント
マンションを売却するにあたって気を付けたいのは、売却のタイミングだけではありません。次の7つの点にも留意しましょう。
1.査定価格の根拠を確認する
不動産投資物件を売却するときに、不動産会社を探し、査定価格を比較するには一括査定サイトの活用が大変便利です。一括査定サイトとは、複数の不動産会社に対して一括で査定依頼できるサービス。時短かつ適切な不動産会社が見つけやすいといえますが、利用時には注意点もあります。
一括査定サイトを活用すれば、簡単に複数社の査定結果が出揃います。このとき、高額なだけの査定に騙されないようにすることが大切です。

たとえば3社に対して一括査定を行い、以下のような査定結果が出た場合、どの不動産会社に依頼したくなりますか?
- A社:2,900万円
- B社:3,000万円
- C社:3,500万円
「C社!」と考える方が多いのではないでしょうか?
しかし、このとき考えなければならないのは、他社より高額な査定額を出してきた「C社」の査定価格が適切かどうか。査定価格は「その金額で売れることが保証された金額」ではないため、高い査定額を付けてくれるかではなく、査定の根拠に納得できるかが重要です。
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2.売却益が出ない場合の対処
投資用マンションの売却のタイミングとして、譲渡所得にかかる住民税・所得税の税率が下がる「所有期間5年超」まで待つことも検討すべきだとお伝えしました。
しかし、そもそも譲渡所得(≒売却益)が出ない物件は、住民税・所得税が課されません。よって、所有期間に関わらず売り時を検討しても問題ないでしょう。
3.写真や内覧での印象づくり
販売活動が始まれば、マンションは「商品」として見られます。不動産に限ったことではありませんが、埃を被っていたり、見た目が悪かったりする商品は購買意欲が削がれてしまいます。したがって、マンションの「見栄え」はできる限り良くするように努めましょう。
マンションを購入する人は、まず不動産ポータルサイトなどで物件の条件面と写真を確認します。写真は物件の第一印象となるため、印象が良くなるよう綺麗に片付けたあとに撮影してもらうようにしましょう。内覧前には掃除や整理・整頓を徹底し、好印象を持ってもらうことが大切です。

マンションの魅力を高めるため、修繕やリフォームを検討することもあるかもしれませんが、独断でこうした施策を講じることは避けましょう。その理由は、修繕やリフォームにかけた費用分だけ売値が上がるとは限らないからです。

たとえば、そのままの状態で「3,000万円」で売れる物件を「1,000万円」かけてリフォームしたとしても、必ずしも「4,000万円以上」で売れるとは限りません。

4.高すぎる売り出し価格はNG
マンションを高く売りたいからといって、高すぎる売り出し価格に設定するのは推奨しません。相場より高い価格のマンションは、逆に購入検討者を遠ざけてしまう可能性があるためです。結果として長く売れず、最終的な売値が相場を下回ってしまうリスクもあります。
とはいえ、不動産会社が提案する査定額のまま売り出さなければならないわけではりません。査定額より高く売り出したい場合は、競合物件の動向なども注視しながら、売り出し価格や値下げのタイミング、値下げ幅などを戦略的に考えていくことが大切です。
5.信頼できる不動産会社を選ぶ
不動産会社選びは、マンションの売却で失敗しないために最も大切な要素といっても過言ではありません。売り出し価格や戦略、内覧前の心得、売り出し時期など、信頼できる不動産会社であれば適切な提案をしてくれます。
不動産会社を選ぶ際は、査定額やその根拠だけでなく、担当者の人間性などにも着目しましょう。相性もあるため、自分にあった不動産会社・担当者を選ぶことが大切です。
6.インスペクションの活用
物件に付加価値を付け、競合物件と差別化するための施策のひとつとして「インスペクション」が挙げられます。インスペクションとは、売買前の物件検査を指します。数万円程度の費用がかかりますが、検査済みであることは買主の大きな安心につながります。

加えて、インスペクションを実施することで「契約不適合責任」を負うリスクも低減します。契約不適合責任とは、引き渡し後、一定期間内に契約内容と適合していない不具合などが発覚した際に、売主が修繕などの対応をしなければならない責任です。物件状況を検査し、買主と一緒に確認することで、契約内容と実際の状況が不一致になってしまうことも避けられるでしょう。

7.「オーナーチェンジ」は価格が下がる傾向に
投資用マンションは、入居者が入ったままでも売却が可能です。その場合、入居者はそのままに、物件のオーナーだけ変わるため「オーナーチェンジ物件」として販売されます。
オーナーチェンジ物件は入居者を退去させる必要がなく、売却のタイミングも測りやすいといえます。しかし、状況によっては空室時のほうが高く売れる可能性もあるため注意が必要です。
オーナーチェンジ物件と空室物件とで価格差が生じる理由は「査定方法」の違いによるもの。オーナーチェンジ物件は入居者がいるため「収益物件」として評価されます。一方で、区分マンションや一戸建てに限ってですが、空室物件は買主が「住みたい」と思えば自己居住用としても利用可能です。
状況によっては「収益物件」としての価値より「居住用物件」としての価値のほうが高いケースもあるため、収益物件は売り方も考慮すべきでしょう。
売却後の確定申告と税金対策
マンションを売却した翌年には、必要に応じて「確定申告」をしましょう。確定申告が必要なのは、譲渡所得が出た場合、あるいは控除特例を適用する場合です。
確定申告の基本フロー
確定申告時期は、マンションを売却した翌年の2月16日〜3月15日です。この間に税務署に行って確定申告書類を提出するか、スマートフォンやパソコンから「e-Tax」で申告手続きをします。申告前に必要書類を集めておくと、スムーズに申告できるでしょう。
- 確定申告書
税務署で入手、またはe-Taxでダウンロードします。
確定申告書には申告書Aと申告書Bがありますが、譲渡所得の場合は「申告書B第一表、第二表」及び「申告書第三表(分離課税用)」の申告用紙で手続きを行います。 - 譲渡所得の内訳書
譲渡所得の内訳書は、マンションの売却で得た譲渡所得の金額を計算するために使用する書類です。
譲渡所得を計算する際には、マンションの売却代金や売却にかかった費用のほか、マンション購入時の価格や費用も考慮します。
先述のとおり、譲渡所得はほかの所得とは切り離して計算するため、別に特別な書類が必要になるということです。
譲渡所得の内訳書の書式は、管轄の税務署で取得できるほか、国税庁のホームページよりダウンロードすることも可能です。
- 売買契約書のコピー:売却が成立した証明として必要です。
- 住民票の除票または転出証明書:住所変更を証明するために必要です。
- 登記簿謄本:物件の所有権移転を証明するために必要です。
- ローン控除関連書類:住宅ローンがある場合、その控除を受けるための書類。
- 取得費証明書:マンション購入時の費用明細を示します。
- 譲渡費用の領収書:仲介手数料や広告費など、売却に直接かかった費用の証明。
- 印紙税関連書類:印紙税を支払った証明として必要です。

譲渡所得が控除できる控除特例
自宅マンションを売却したときには、次の控除特例が適用になる可能性があります。
- 3,000万円特別控除
- 軽減税率の特例
- 買い換え特例
一方、相続したマンションは以下の特例の適用で譲渡所得が控除できる可能性があります。
- 取得費加算の特例
いずれの特例も、譲渡所得を控除したり、課税を繰り延べたりすることができるため、譲渡所得が出たとしてもその年の税額をゼロにできる可能性があります。しかし、税額がゼロになったとしても、控除特例を適用するためには確定申告が必要です。
マンション売却で売却損(≒譲渡損失)が出た場合は確定申告が不要ですが、以下の2つの特例が適用できれば譲渡損失と給与所得などの損益通算および繰越控除できるため、必要に応じて確定申告しましょう。
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マンション売却に関してのよくある質問
マンションの売却は「タイミング」と「準備」で決まる
2025年現在、マンション価格は大きく高騰しています。売却益が出る可能性はあるものの、マイホームであれば控除額の大きい制度が適用となる可能性が高いため、多くの場合、税額は抑えられます。マンションの高騰は今に始まったわけではありませんが、これまでの十数年と2025年が大きく異なるのは「金利上昇」が始まっていること。今後も上がることはあっても、当面、下がることはないでしょう。
居住用のマンションを売るということは新居を購入しなければならないことを意味していますが、低金利である今は売り時と買い時が両立する希有なタイミングでもあります。
ただし、マンションは「売り方」によっても価格が大きく変わってきます。信頼できる不動産会社に出会えるかどうかが、マンションを好条件で売却する鍵です。タイミングを見極め、しっかりと売却の準備をすることこそが、マンションを高く売る秘訣といえるでしょう。
まとめ
マンションを売却する上で重要なのは「タイミング」を見極めることです。2025年現在、マンションの相場価格は高騰傾向にあります。「今売った場合」と「将来売った場合」の相対的な利益をシミュレーションして、売却時期を検討する好機といえます。少なくとも、今の時期に一度、ご所有のマンションの「今」の価値を把握することを強くおすすめします。