【2025年最新】媒介契約書とは?種類・注意点・チェックポイントを詳しく解説

不動産を売却する際に不動産会社と締結する媒介契約書は、単に売却を依頼するだけの書面ではありません。

媒介契約を締結することにより、不動産会社だけでなく売主にも義務や制約が生じます。契約内容をよく理解していないと、違約金を請求されるおそれもあるため注意が必要です。

そこで本記事では、媒介契約の種類や注意点などチェックすべきポイントを紹介します。

目次

媒介契約とは? 契約の基本を押さえよう

媒介契約は「売買契約」と混同されやすいですが、不動産を売買する契約ではなく、売買を依頼するための契約です。

媒介契約の仕組みとは

媒介契約とは、不動産の仲介(媒介)を依頼する人と不動産会社が締結する契約です。

売買契約ではなく、不動産の売却を不動産会社に依頼するため、売主や不動産会社の役割や義務を明確にすることが目的です。媒介契約書の交付は、宅地建物取引業法34条の2で定められています。

媒介契約の重要性

どのような契約にも言えることですが、契約は口約束でも成立します。

しかし、いくらで売り出し、いつまで売却活動を行い、成約したらいくら支払うのか……といったことを書面に残し、双方が合意した記録を残しておかなければ「言った/言わない」の争いにもなりかねません。

媒介契約は、売買自体ではなく売却を依頼するための契約ですが、仲介にも費用が発生し、不動産会社の動きが売買契約の条件にも大きく影響することから、契約締結前には書面をよく確認することが大切です。

媒介契約書とは? 主な記載事項をチェック

続いて、媒介契約の主な記載事項を確認していきましょう。

媒介契約書に必ず記載される項目

媒介契約書に記載される内容は、主に次の事項です。

  • 成約に向けての義務
  • 媒介にかかる業務
  • 違約金
  • 有効期間
  • 約定報酬額とその時期
  • 物件情報
  • 媒介価額

標準媒介契約約款とは?

不動産会社に用意する媒介契約書の多くは、国土交通省が告示している「標準媒介契約約款」に基づいて作成されています。媒介契約書のひな型は、下記リンクから閲覧できます。

国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款

媒介契約書が標準約款に基づいていなかったとしても、違法ではありません。しかし、標準媒介契約約款は消費者保護を目的に作られており、国交省は標準約款を使用するよう指導しています。

多くの不動産会社は「全国宅地建物取引業協会連合会」「全日本不動産協会」「不動産流通経営協会(FRK)」などの業界団体に所属しており、各団体が作成するフォーマットを基に媒介契約書を作成するのが一般的です。

国交省が告示している標準約款を基づいた媒介契約書には、その旨の記載があります。

3種類の媒介契約の違いと選び方

媒介契約書には3つの種類があります。3つの媒介契約の違いは下記の通りです。

大きな違いは、複数の不動産会社に依頼できるかどうか。一般媒介契約のみ複数社への依頼が可能で、専任媒介契約および専属専任媒介契約は1社にしか仲介を依頼できません。

  • 一般媒介契約書
  • 専任媒介契約書
  • 専属専任媒介契約書

一般媒介契約

一般媒介契約は複数の不動産会社と媒介契約が締結できますが、不動産会社にレインズ登録や定期報告の義務はありません。ただし、任意で登録することは可能です。

レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する不動産業者専用の物件情報共有ネットワークシステムです。全国の不動産会社はレインズから物件情報を取得するため、登録することで広く物件情報を周知できます。

複数の不動産会社と媒介契約を締結できる点は一見するとメリットですが、必ずしもそうではありません。不動産会社は不動産を売却しなければ報酬が得られないため、他社が成約させる可能性のある不動産の売却に注力してくれない可能性もあります。

したがって、売却活動に創意工夫が必要な次のような物件は、一般媒介には不向きといえるかもしれません。

  • 築年数が古い物件
  • 交通利便性が低い物件
  • 事情があって早く売りたい物件
  • 事故物件
  • 競合が多い物件 など

専任媒介

専任媒介契約は1社のみとしか契約できませんが、不動産会社にはレインズへの登録と定期報告の義務があります。また、売主自身が見つけた方との売買契約(自己発見取引)も可能です。

1社としか契約できない分、慎重に不動産会社を選ぶ必要がありますが、一般媒介より手厚いサポートに期待できます。

専属専任媒介

専属専任媒介契約も、専任媒介契約同様、売主は1社としか契約できず、不動産会社にはレインズへの登録と定期報告の義務があります。ただし、専任媒介契約よりレインズ登録までの期間が短く、定期連絡の頻度は多いため、不動産会社の責任が重い契約といえるでしょう。

売主も自己発見取引が禁じられるため、最も制約が大きい契約となります。不動産会社に全幅の信頼を寄せられて、親戚や知人に売却する可能性がない場合に適した契約です。

媒介契約を締結するタイミングとは?

不動産の売主が媒介契約を締結するタイミングは、不動産会社に売却を依頼するときです。

契約を結ぶと売却活動が正式にスタート

媒介契約の締結は、不動産売却のスタートを意味します。専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結した不動産会社は、媒介契約締結日を起点とし、それぞれ定められた期日内に該当不動産をレインズへ登録します。

加えて、販売図面を作成したり、不動産ポータルサイトに登録したりすることで販売活動を展開していきます。

販売戦略は各社の個性が出るところです。どのようなな方法で売却するかについても、媒介契約書にサインする前にじっくり話し合っておきましょう。

媒介契約の更新について

媒介契約の期間は、3ヶ月を上限に定められます。(一般媒介契約のみ法的に3ヶ月以上も可能)期間満了時には、更新契約が可能です。

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媒介契約書のチェックポイント一覧

媒介契約書にサインする前には、必ず媒介契約書の内容を確認してください。とくに、次の6つの点は不動産売却や費用に大きく関わる部分のため細かくチェックしましょう。

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チェック項目チェックポイント
1.媒介契約の種類3つの契約形態のうちどの契約形態になっているか
2.契約期間3ヶ月が上限。自分が指定した期間になっているか
3.不動産会社の義務レインズ登録期日・定期報告の頻度
4.依頼者の義務他社への依頼・自己発見取引の可否
5.違約金義務を怠った場合の違約金の額
6.仲介手数料の支払い時期契約時半金・決済引き渡し時半金が一般的

1.媒介契約の種類

媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つの種類があります。契約書を確認し、どの契約になっているか確認しましょう。

一般媒介契約はさらに、次の2つの種類に分かれます。

明示型:どの不動産会社で媒介契約を結んでいるのか明示する
非明示型:どの不動産会社と媒介契約を結んでいるのか明示しない

明示型の一般媒介契約の場合、契約期間中に明示していない不動産会社の仲介で売買契約が成立すると依頼主の違約となります。

2.契約期間

契約期間の上限は3ヶ月です。(一般媒介契約のみ法的に3ヶ月以上も可能)ただ、これは上限であって、1ヶ月でも2ヶ月でも問題ありません。自身が希望する期間になっているか確認しましょう。

3.不動産会社の義務

媒介契約の種類によって異なる不動産会社の義務についても、しっかり確認しておきましょう。

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一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
レインズ登録義務なし7日以内5日以内
売主への報告義務なし2週に1度以上1週に1度以上

一般媒介契約には、不動産会社にレインズ登録や報告の義務はありません。専任媒介契約、専属専任媒介契約はそれぞれ期日や頻度が上記のように異なります。

4.依頼者の義務

媒介契約では、依頼者にも次のような義務が発生します。

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一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
複数社への依頼できるできないできない
自己発見取引できるできるできない
「自己発見取引」とは?

売主自らが探した買主と個人的に売買契約をすること。不動産会社の仲介を伴わないため仲介手数料は不要。

5.違約金

依頼者が義務を果たさなかった場合、不動産会社は依頼者に対して違約金を請求できます。

違約金の額の上限は、原則的に約定報酬額に相当する金額です。約定報酬額とは、仲介手数料の額。別途、契約書内で定められていますので、併せて確認しましょう。

6.仲介手数料の支払い時期

仲介手数料は、契約時に半金・決済引き渡し時に半金支払うのが一般的ですが、別の取り決めとなっていることもあります。

仲介手数料の上限は「取引価格×3%+6万円(税別)」。決して安くない金額ですので、いつ、いくら支払うのか媒介契約時点で確認しておきましょう。

媒介契約書を作成する際の注意事項

媒介契約書作成時には、次の事項に注意しましょう。

契約締結前に複数の不動産会社を比較する

媒介契約は、単に「仲介を依頼するためのもの」ではありません。不動産会社のみならず、売主にも義務が発生します。

不動産会社はどこも同じではありません。得意なエリアや物件種別も異なり、担当者の性格や能力も千差万別です。媒介契約締結前には必ず複数者を比較し、信頼に値する不動産会社か見極めましょう。

不動産会社の言いなりにならない

不動産会社は、一般媒介契約より専任媒介契約・専属専任媒介契約を、1ヶ月より3ヶ月間の契約を求めています。他社が販売活動を行うことなく、長期間、自社の独占物件とすることができれば、それだけ仲介手数料を受領できる確率が高まるからです。

しかし、不動産取引は売主のために行うものです。不動産会社の言いなりになるのではなく、自身の考えや不動産に合った種類・内容で契約を締結しましょう。

媒介契約書についてのよくあるご質問

媒介契約は途中で解除できる?

原則として専任媒介契約・専属専任媒介契約は契約期間中の解除ができませんが、不動産会社に過失がある場合は解除可能です。また、売主都合など、その他の場合も不動産会社が了承すれば解除できます。ただし、それまでにかかった営業費などの実費を請求される可能性があります。

専任媒介契約と一般媒介契約はどちらが有利?

どちらが有利かは、物件の条件や売主の意向によって異なります。傾向としては、特別な販売活動をしなくても売却が見込める好条件の物件は一般媒介が、逆に売却に創意工夫が必要な、駅から遠い物件や築年数が古い物件などは専任媒介が向いています。

媒介契約を結ぶと必ず売却しなければならない?

途中解除も可能ですが、先のとおり解除時点までにかかった営業費などの実費を請求される可能性があります。

「媒介契約書」まとめ

「媒介契約書」まとめ
  • 媒介契約書の種類は「一般媒介契約書」「専任媒介契約書」「専属専任媒介契約書」の3つ
  • 媒介契約締結のタイミングは不動産の売却活動を開始する前
  • 媒介契約書の「種類」「期間」「義務」「違約金」「報酬の支払い時期」はとくによくチェック
  • 不動産会社の言いなりにはならず自身に合った契約を

媒介契約書は、不動産会社に仲介を依頼するための書面です。しかし、仲介を依頼するだけでなく、依頼主側にも義務や制約が生じるため慎重に契約を締結するようにしましょう。

契約内容を確認することともに大事なのは、どの不動産会社と媒介契約を締結するか。マンション売却の不動産会社選びにはマンションナビ一括査定をご活用ください。


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この記事を書いた人

亀梨奈美のアバター 亀梨奈美 不動産ジャーナリスト/株式会社realwave代表取締役

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。

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