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マンションを売却する上で、「内覧」は避けて通れません。
内覧とは、マンションに興味を持った購入検討者が実際にマンションを見にくること。つまり、購入するか否かを判断するための「品定め」が内覧です。
内覧を制することは、すなわちマンションの売却を制すること。本記事では、マンションの内覧に備えるための全知識を伝授いたします。
マンションは、何件内覧対応すれば売却にいたるものなのでしょうか?
結論からいえば、売却にいたるまでの内覧件数は状況や物件によります。内覧1件で決まる場合もあれば、30件対応しても決まらないケースもあるということです。
とはいえ、平均的に10件前後の内覧対応で売却にいたることが多いように思います。
数千万円するマンションの購入を決める際には、ほとんどの人が「比較」します。つまり、複数の物件を内覧する買い手が多いということです。
たった1回の内覧対応で売却にいたるケースというのは、次のようなケースに限られるでしょう。
・これまで色々な物件を見てきた中で「このマンションが一番だ!」と思ってもらえる
・当初からこのマンションが売りに出されるのを狙っていた
こう思ってもらえるかは、ある意味「運」もあります。そのため、内覧の回数を気にするというよりは、「自分のマンションはこんな人が買ってくれそう」ということをあらかじめイメージしておき、イメージした人が内覧に来たときに購入を決めてもらえるような内覧を心がけておくことをおすすめします。
・マンション売却までの平均内覧数は10件前後
マンションを売りに出せば、翌日にでも内覧予約が入る可能性があります。実際に内覧が入って慌てることがないよう、事前に内覧の流れを把握しておきましょう。
なおマンション売却全体の期間や流れについては、下記の記事をご参照ください。
マンションの売却を開始すると、不動産業者専用の情報サイト「レインズ」や一般の人が見るSUUMO・HOME’S・at homeなどの不動産ポータルサイト、折込チラシによって物件情報が周知されます。
広告を見て「このマンション興味ある!」「見てみたい!」という買い手は、不動産会社に問い合わせて内覧予約をとります。内覧予約は、基本的に土日や祝日に集中しますが、中には「これから見たいのだけど……」という希望者もいるため、売却活動を開始したらすぐにでも内覧に来てもらえるよう準備しておくことが大切です。
マンション内覧会の当日は、まず買い主と営業担当者が現地か不動産会社で待ち合わせし、マンションへ向かってくることになります。
売り主は、内見のための室内の準備をしておきます。普段のままの状態で買い手を迎えるのではなく、内覧用にお部屋の見栄えをよくし、綺麗なスリッパを用意するなど「おもてなし」の心を持っておくと良いでしょう。リアルな生活感を見せることは問題ありませんが、ある程度、「理想の住まい」や「ここに住みたい!」といったイメージを抱いてもらうことも内覧では大切です。
買い主と不動産会社が現地に到着したら、まずはマンションの共有スペースなどの説明をします。その後は実際にお部屋に入り、売主、買主、営業担当者で一緒に室内のあらゆる箇所についてチェックしていきます。買主側から設備などに関しての質問がされることは十分に考えられますので、売主はあらゆる質問に答えられるよう準備をしておかなくてはいけません。
物件や内覧者にもよりますが、マンションの内覧にかかる時間はおおよそ1時間前後です。
居住中の物件では、「長居したら申し訳ない」と思ってくれる内覧者も多いため、30分ほどで内覧が終わることも少なくありません。ただ逆に、「じっくり見たい派」の人も中にはいますので、余裕を持って2時間ほどと考えておけば問題ないでしょう。
・売却を開始すれば翌日にでも内覧予約が入る可能性も
・「今すぐ見たい」という内覧希望者もいるため、できる限り部屋の掃除は早い段階で
・内覧準備は「おもてなし」の心が大事
内覧とは、「マンションに興味がある人」を「買主」に変えるための最重要局面といっても過言ではありません。内覧で与える印象次第で、購入してくれるかどうかが決まります。
売却期間中は複数回、内覧対応しなければならないので大変な時期ではありますが、内覧時の印象をできる限りよくするため掃除を徹底しましょう。これから挙げるチェックポイントは内覧者が必ず見る箇所ですので、とくに念入りに清掃しておくことをおすすめします。
玄関は、内覧が始まり、終わる場所です。とくに内覧者の印象に残りやすい部分ですので、パッと見たときの印象の良さを最優先に掃除しましょう。
玄関掃除の基本は、「スッキリ片づいている」「汚れがない」「嫌なニオイがない」ことの3つです。
実は、内覧はすでに玄関の外から始まっています。マンションの玄関の外側は、ほとんどの場合、共有部分になっているため私物はなく、きれいに片づけられていることが多いものです。子どもの遊び道具などを置いている場合はすべて片づけて、きれいに掃き掃除をしておきましょう。
玄関は、まず靴をすべて下駄箱に入れてください。入りきらない場合は不要な靴を思い切って捨てるか、引っ越し用段ボールに入れて収納しておくのもいいでしょう。傘もすべて収納場所にしまいましょう。
また、玄関は靴のニオイが気になるものです。ニオイ対策をきちんとして、嫌なニオイを消しておきましょう。下駄箱には専用の消臭剤を置き、よく履く靴には靴用の消臭スプレーをかけておきます。靴の嫌なニオイは大幅な減点ポイントになってしまいますので、しっかり対策をしてください。
トイレやお風呂など、水回りの掃除の基本は「清潔感の演出」です。
トイレは、便器の内側や便座は言うまでもありませんが、便器の外側や貯水タンク、ペーパーホルダーもきれいに磨き上げましょう。トイレで見落としがちなのは床です。フローリングを掃除するときと同じように、しっかり掃き掃除をしてから水拭きするようにしましょう。また、トイレもニオイ対策が必要な場所です。換気扇も掃除をして換気効率をよくしたり、トイレ専用の消臭剤を使ったりしてニオイをしっかり消しておきましょう。
バスルームの浴槽や壁、床などの汚れやカビはきれいに除去してください。頑固なカビには、カビ取り専用スプレーがおすすめです。鏡が曇っていると全体が汚く見えるので、ピカピカにしておきましょう。また、バスルームでも排水溝が汚れていると嫌なニオイがするので、排水溝にたまった髪の毛や石鹸カスなどをきれいに除去し、専用の洗剤を使ってヌメリや汚れを溶かして洗い流してください。
水回りの汚れでやっかいなのは、水垢です。こすっても落ちない頑固な水垢には、クエン酸が効きます。クエン酸はドラッグストアなどで販売されています。水に溶かしてスプレーボトルに入れると使いやすいです。クエン酸水を水垢に吹きかけて、しばらく待ちます。すると水垢が分解されるので、あとは拭き取るだけです。
購入したい気持ちが強い人ほど、バルコニーや専用庭をよく見るものです。
広さや眺望を確認するためですが、これは購入者の立場になって考えるとよく分かります。購入意欲が高い人ほど、バルコニーでガーデニングをしたり、ティータイムを楽しんだりすることをリアルに想像するので、購入にあたっての重要な判断基準になります。
バルコニーが汚いと良い想像ができず、購入意欲がなくなってしまいかねません。しっかり掃き掃除をして、内覧日当日は洗濯ものを干さず、整然とした空間を演出しましょう。床は水をかけてデッキブラシでこすると、さらにきれいになります。
内覧前は整理整頓を徹底するばかりでなく、明るさや臭いもチェックしておきましょう。
カーテンは各居室とも全開にし、玄関や廊下、リビングは明かりを付けておきます。またペットを飼っていたり室内でタバコを吸ったりするご家庭はとくに、消臭スプレーで臭いを取っておきます。住んでいる人は、なかなか自分の家の臭いに気付かないもの。とくに悪臭がしないとしても、対策しておくに越したことはありません。
また、室内を適温にしておくことも重要です。「寒い」「暑い」といった感情は、マイナスの印象を与えてしまいます。
・玄関・水回り・バルコニー・庭はとくに重点的に掃除する
・明るさや臭いにも注意!
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内覧での対応は、マンションに興味がある人を「買主」へ変化させるための重要な局面だと解説しました。
内覧対応には「おもてなしの心」が必要ですが、具体的にはどのような対応をすればいいのでしょうか?
来客者のおもてなしといえば「お茶出し」ですが、結論からいえば不要です。内覧する人は、来客者ではありません。内覧の目的は物件の確認であり、売主とお喋りしに来るわけではないのです。
しかしこれは、「内覧者にビジネスライクに対応せよ」というわけでは決してありません。内覧者を気遣う心は必要ですが、その方法としてお茶出しが適切ではないということです。「掃除」「笑顔」「丁寧な対応」をもって内覧者をおもてなしすれば十分です。
内覧者は、玄関から廊下、リビング、各居室……とすべての居室を見て周るわけですが、売主は後からついて一緒に周ることはありません。それは、基本的に内覧の対応は不動産会社の営業担当者がするからです。
住居に関する質物の回答は、担当者に一任してしまって問題ありません。むしろ内覧者は自分がここに住むことをイメージしながら内覧するものですから、売主が出しゃばって「自分の家感」を出さないほうがいいと考えられます。
基本的に内覧の対応は担当者に任せてしまってOKなのですが、売主しか知り得ない「住み心地」や「周辺環境」「隣人の様子」などについては売主自らが回答すべきです。
すべての居室を内覧し終わったあと、多くの場合、リビングや玄関で内覧者と売主が話せる時間が生じます。このとき、内覧者は売主にしか聞けないことを聞いてくることもあります。主に「住みやすさ」に関する質問だと考えられますので、周辺のスーパー、病院、学校、公園などの情報をまとめておくといいでしょう。
このときの回答は、「過不足ない」情報を与えることが大切です。たとえば、「各施設の悪評」や「住みにくい部分」など、内覧者が不安になるような情報は避けましょう。もし伝えるべきデメリットがあるとすれば、担当者が伝えてくれるものです。
・内覧時のお茶出しは基本的には不要
・内覧中、売主は内覧者の後をついて周らない
・質問されたら過不足ない回答を
内覧における成約率は「運」も作用するものの、やはり10件、20件と内覧対応しても売却にいたらない場合は、買い手が購入を決めかねるなんらかの理由があると考えたほうがいいでしょう。
一方でそもそも内覧予約が入らないという場合には、早急に対策を講じるべきです。
内覧予約が多いということは、マンションの価格と広さ、立地などの条件が概ねニーズに合っていると考えられます。「高すぎる!」と思う物件は、内覧すらしない人が多いからです。
この場合、広告活動もある程度うまくいっていると考えて良いでしょう。しかし、内覧で与える印象にやや問題があるかもしれません。
・思ったより狭く感じた
・思ったより汚かった
・築年数以上の劣化を感じた
たとえば、上記のような印象を与えてしまっている可能性があります。印象を良くするには、やはり掃除が大事です。
また、価格を下げれば早期売却が見込めますが、値下げは数十万円単位で行わなければ効果はありません。それならば、数万円~できるハウスクリーニングや壁紙の張替えのほうが費用対効果が高い可能性もあります。いずれにしても、不動産会社の担当者と相談し、対応策を検討し始める段階にあるでしょう。
人気のある物件は、毎週末に複数の内覧予約が入ります。最低でも、月に2~3回の内覧予約は欲しいところ。「1ヶ月経っても1件も内覧予約が入らない」「3ヶ月経って内覧数が2~3件」という状況では、価格や広告活動を見直す必要があるでしょう。
あらためて相場価格を調査しなおし、現状の売り出し価格が高すぎる場合にはある程度の値下げも必要です。一方で、相場価格や競合物件と比較しても「適正」だと判断できる価格であれば、不動産会社に問題がある可能性があります。
・物件情報がターゲット層に届いていない=力量不足
・やる気不足
価格が適正だとしても、ターゲット層を見誤っていて適切な媒体で広告活動がされていなかったり、そもそも不動産会社に売る気がなかったりすれば、内覧予約は入りません。いずれにせよ、「一定期間が経っても内覧予約が少ない・全くない」という状況では、不動産会社の力不足は否めないでしょう。
この場合は、相場価格を再認識するためにも、改めて不動産会社への査定依頼から仕切りなおすことをおすすめします。査定依頼は、この時点で売却を依頼している不動産会社以外の複数社に対して行います。複数社に査定依頼することで、相場を再調査してもらえて、かつ不動産会社の能力が比較できるからです。
売却中の物件も、不動産会社の力量不足を感じれば、他社に乗り換えることは可能です。ただし、専任媒介・専属専任媒介を締結している場合は、複数社と媒介契約を締結することができませんので、必ず前任の不動産会社との契約が切れた状態で乗り換えなければなりません。媒介契約満了時、もしくは途中解約が認められたことを確認してから、他社と媒介契約を締結するようにしましょう。
・内覧件数が多いのに売れない場合は印象を良くするための施策を
・内覧が入らないときは不動産会社の力量不足
・やる気不足を疑ってみる
マンションを見ずして購入を決める人はいません。ではなぜ、買主は購入前にマンションを見るのか?を考えてみてください。当然ながら、数千万円する買い物で「失敗」したくないからですよね。失敗しないために、購入希望者は内覧で「アラ」を探そうとします。この内覧者の「心理」を理解し、いかにして「マイナス評価を減らすか」「予想以上の箇所を増やすか」を考えて内覧準備してみましょう。
内覧予約が著しく少ない場合には、不動産会社を変えることも必要かもしれません。改めて相場を把握しなおし、不動産会社の能力を見極めるためには、複数社への査定依頼が必須です。マンションナビでは、マンションの売却を得意とする不動産会社に一括で査定依頼が可能です。売却期間中の不動産会社変更はスピード勝負ですので、ぜひご活用ください。
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大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。
え?そんなに高く売れたの!?
今売ったらいくら?