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マンションを売却するために不動産業者に仲介を依頼したのに、いざ売り出しても、なかなか売れないで困ることがあります。
通常であれば、売り出し価格を値下げして、再び宣伝広告活動を行い、買い手を募ることになります。
しかし、このときに値下げを行わずに、仲介業者に対して仕切り価格を設定する手法が用いられることがあります。
今回は、せっかく売り出したにもかかわらず、なかなか売れずに困っているマンションを効果的に売る手法として用いられる仕切り価格の設定について、解説します。
「仕切り価格」って、よほど不動産取引に精通していないと聞き慣れない用語です。
これを定義すると、「価格を指定しないで不動産の売却を依頼する場合に、依頼者が設定した最低売却価格」を意味します。
これでは、抽象的すぎて分かりにくいので、具体的な不動産取引の例を挙げて説明します。
まず不動産業者にマンションの査定を依頼して売り出し価格を決めます。仮に売り出し価格を3,000万円とします。
不動産業者が売却活動を開始して宣伝広告の掲載やチラシの配布を行い、買い手を募ったのですが、数ヵ月経っても反応が悪く、引き合いもありません。
このままの状態ではなかなか売却できません。通常であれば、売り出し価格の値下げを決断することになります。
例えば、3,000万円を2,700万円に値下げするといった措置です。
しかし、このような場合、値下げを行わずに仕切り価格を設定する手法をとることができるのです。
つまり仲介を依頼した不動産業者に対して仕切り価格に設定して、実際の売値は不動産業者に任せてしまい、仕切り価格よりも高く売却できた場合、その分は不動産業者の報酬になることを約束するのです。
例えば、仕切り価格を2,800万円に設定して、不動産業者が奮闘努力してマンションを2,900万円で売却できた場合、売り手は、仕切り価格の2,800万円を受けとり、売却価格2,900万円と仕切り価格2,800万円との差額100万円は、不動産業者の報酬になります。
不動産取引では、不動産業者の営業マンのモチベーションが取引の成否に大きく影響します。
仕切り価格の設定は、仲介手数料を成果報酬型にすることにより、営業マンのモチベーションを上げる狙いがあり、十分な宣伝広告を行っているのにもかかわらず、なかなか売れない物件には効果的な手法になります。売り手にとっては、単純に値下げしたときよりも高く売れるケースが多く、不動産業者にとっても報酬が増えますから、両者にメリットがある手法といえます。
不動産業者に仲介を依頼して不動産取引を行う場合、成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。
宅地建物取引業法及び国土交通省告示により、仲介手数料の上限が定められており、400万円を超える物件の場合、
契約金額×0.0324+64,800円
という速算法がよく用いられます。
例えば、3,000万円で成約した物件であれば、103万6,800円が手数料の上限になります。
最近では、少しでも多くの仕事を獲得するために仲介手数料を大幅に値引きする不動産業者もあります。
しかし、このような手数料をダンピングする不動産業者に依頼するのは考えものです。なぜなら、仲介手数料には、宣伝広告費や現地案内の費用など、すべての仲介業務にかかわる費用が含まれますので、少ない手数料では、十分な宣伝広告活動ができないおそれがあるからです。それに有能な営業マンは、基本的に大きな取引を優先します。2つの取引が重なり、同じだけ時間がかかる取引であれば、手数料の高い取引を優先させるのは、やむを得ないことなのです。
仕切り価格の設定は、1つの不動産取引を2社以上の不動産業者が媒介する場合、つまり売り手側と買い手側の双方に仲介業者が存在する場合に有効な手法になります。このような形態を「共同仲介」または「共同媒介」と呼ばれています。
共同仲介の場合、業者間で情報を交換して互いの依頼者の情報を共有化できます。売り手側の仲介業者は、成果報酬を得るためにより多くの宣伝広告費をかけて売ろうとします。買い手側の仲介業者は、取引を成約させるために買い手を説得しようとします。売り手と双方の仲介業者にメリットがありますので、それだけ売れる確率が上がるわけです。
・仕切り価格とは、価格を指定しないで不動産の売却を依頼する場合に、依頼者が設定した最低売却価格。
・仕切り価格よりも高く売却できた場合は、その分は不動産会社の取り分となる。
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一般的に仕切り価格とは、流通や先物取引などで用いられる用語で、価格を指定しないで売買契約を委託した場合、実際に売買が成立した価格のことです。通常はメーカーから特約代理店に卸す「卸し価格(出荷価格)」を指すといわれています。
他方、メーカーや特約代理店から仕入れる小売店側からすれば、「仕入れ価格」と呼ぶこともできます。小売店は、この仕入れ価格で商品を仕入れ、消費者に販売するわけですから。
一般的に仕切り価格は、メーカーから特約代理店に卸す「卸し価格」を意味しますので、仕切り価格と卸し価格はまったく同じ意味になります。
定価とは、メーカーから特約代理店を経由して小売店に製品が流通する過程で、メーカーが小売店に小売価格として指定した価格を指します。現在では、書籍、音楽、映像のDVDなどの著作権にかかわる商品を除いて、独占禁止法により定価を表示することが禁止されています。従来の定価は「希望小売価格」と表示されることが多いようです。
小売店の立場から説明すると、メーカーや特約代理店から仕切り価格(仕入れ価格)で仕入れて、販売戦略として定価(希望小売価格)から何%かを割り引いた額を小売り価格に設定して販売することになります。
・仕切り価格と卸し価格は全く異なる。
・定価とは、メーカーから特約代理店を経由して小売店に製品が流通する過程で、メーカーが小売店に小売価格として指定した価格。
なかなか売れなかったマンションが、仲介業者に仕切り価格を設定して成果報酬型にした途端、すぐに売却できたという例が少なくありません。
それだけ不動産取引においては、営業マンのモチベーションが取引の成否に大きく影響しますので、ある意味当然の結果ともいまえす。
十分な宣伝広告を行っているのにもかかわらず、マンションがなかなか売れない場合、売り出し価格を値下げする前に、仕切り価格を設定して成果報酬型に切り替えることを検討してみてはいかがでしょう。
値下げを実施するよりも高く売れるケース多く、売り手と仲介業者の双方にメリットがあります。
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