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住み替えや転勤など様々な理由で、自己所有のマンションを手放すケースはよく見られます。
マンションの売却で得た資金を利用して、新居を購入するという方も少なくありません。
マンションを売却した後に使えるお金を増やすためには、売却時に税金を安く抑える必要があります。
ここでは、マンション売却にかかる税金や節税方法についてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
マンションの売却時にかかる主な税金は、以下の3つです。
登録免許税や印紙税は、登記の件数やマンションの売却金額に応じた金額を納める必要があります。
安く抑えられる可能性があるのは、譲渡所得税です。
譲渡所得税は、マンション売却の利益に対する税金のため、利益が出なかった場合はかかりません。
譲渡所得税額を把握するには、まずマンション売却における利益(譲渡所得)を算出する必要があります。
譲渡所得の計算式は、以下のとおりです。
譲渡所得 = 売却価格 – ( 取得費 + 譲渡費用 )
この譲渡所得に対して一定の税率をかけることで、納税額を算出できます。
売却価格・取得費・譲渡費用について、以下に詳しく見ていきましょう。
売却価格とは、名前のとおりマンションの売却時に買い手から受け取った金額のことです。
売却手続きが完了していない場合は、予定金額を当てはめて計算します。
取得費とは、マンションの購入時にかかった諸費用のことです。
算出方法は、実額法と概算法の2種類があります。
実額法とは、マンションの購入時にかかった実際の費用から、取得費を算出する方法のことです。
概算法では、名前のとおり取得費を概算します。
基本的に、実額法と概算法のうち金額が大きい方を利用することになります。
それぞれの詳しい計算方法は、以下のとおりです。
前述のとおり、取得費の実額法はマンションの購入時にかかった実際の費用から、取得費を算出するものです。
以下の式で計算します。
取得費 = 購入代金 + 取得費用 – 減価償却費
購入代金とは、マンション自体の購入価格のことです。
取得費用は、マンション購入時にかかった以下のような費用を指します。
これらの正確な金額については、マンション購入時の売買契約書を見たり、不動産会社に問い合わせたりして確認しましょう。
購入代金と取得費用が確認できたら、減価償却費を計算します。
減価償却とは、不動産などの資産における購入費用を、使用できる期間で分割して計上することです。
不動産は築年数が経つほど価値が下がり、使用できる期間も少なくなります。
そのため、不動産における現時点の価値を算出するためには、減価償却費を差し引く必要があるのです。
減価償却費は、以下の式で算出します。
減価償却費 = 建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
償却率は国税庁が定めており、不動産の構造や用途によって数値が異なります。
具体的な償却率については、国税庁のホームページからご確認ください。
経過年数は、マンションの購入から売却までの所有年数を指します。
経過年数のカウントは、6ヶ月未満は切り捨て、6ヶ月以上は切り上げとなるため注意が必要です。
例えば、売却時点の所有年数が15年3ヶ月の場合、経過年数は15年として計算します。
取得費の概算法では、マンションの売却価格の5%を取得費として計算します。
基本的に、売却するマンションの正確な取得費が分からない場合に用いられる計算方法です。
家族から相続したマンションで契約書が見つからないなど、取得費の計算に必要な情報を得られないケースは少なくありません。
そのような時に、把握可能な売却価格から取得費を算出するのです。
ただ、概算法によって取得費を算出する場合、譲渡所得税が高くなってしまうケースが多いです。
マンションの売却を考えているのであれば、契約書は必ず保管しておきましょう。
譲渡費用とは、マンションの売却にかかった諸費用のことです。
主に、以下のようなものを指します。
これらの費用の総額が、譲渡費用として計算されます。
譲渡所得の計算に関するここまでの解説を、おさらいしましょう。
・譲渡所得:売却価格から、取得費と譲渡費用を差し引き、一定の税率をかけて算出する
・売却価格:マンションの売却時に買い手から受け取った金額のこと
・取得費:マンションの購入時にかかった費用のこと
・取得費の実額法:マンションの購入時にかかった実際の費用から、取得費を算出するもの
・取得費の概算法:マンションの売却価格の5%を取得費として計算するもの
・減価償却:不動産などの資産における購入費用を、使用できる期間で分割して計上すること
・譲渡費用:マンションの売却時にかかった諸費用のこと
マンション売却では、消費税が課されるケースと、課されないケースがあります。
この章では、マンション売却における消費税の課税条件や、増税の影響について詳しく解説していきます。
事業用や投資用のマンションを売却する場合、消費税が課されます。
法人ではなく個人だとしても、賃貸経営などを行っている時点で「事業者」と見なされるためです。
事業者が事業として対価を得る取引には、基本的に消費税が課せられます。
不動産会社が売り手となるマンション売却も、消費税の課税対象です。
ただ土地は非課税のため、マンション売却の消費税は建物部分のみで計算します。
マイホームやセカンドハウスとして利用していたマンションを売却する場合、消費税は課されません。
先述の「事業者が事業として対価を得る取引」に該当しないためです。
個人事業主がマンションを売却する場合も、マイホームやセカンドハウスであれば非課税となります。
免税事業者による事業用・投資用のマンション売却にも、消費税は課されません。
ただ以下の諸費用には、どのような条件下でも消費税が課されます。
消費税の増税が発表されると、増税直前の駆け込み需要が高まります。
個人間の不動産取引は非課税ですが、増税後は仲介手数料などの諸費用が高くなるため、増税前の方がマンションに買い手が付きやすい傾向にあります。
増税後は売り手側の諸費用も高くなるため、売却スピードや費用面においては、増税前の売却がおすすめです。
ライフプランも考慮して、マンション売却のタイミングを見極めましょう。
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マンション売却時にかかる税金の中で安く抑えられる可能性があるのは、譲渡所得税です。
譲渡所得税を安く抑える方法としては、以下の5つが挙げられます。
それぞれの方法について、詳しく解説していきます。
マンションの所有年数が5年を超えてから売却することで、譲渡所得税を安く抑えられます。
譲渡所得にかかる税率が、以下のようにマンションの所有年数に応じて大きく変わるためです。
マンションの所有年数 | 譲渡所得にかかる税率 |
---|---|
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63% |
5年超え(長期譲渡所得) | 20.315% |
マンションの所有年数が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、所有年数が5年を超えると「長期譲渡所得」となります。
所有年数は、マンションを売却する年の1月1日時点でカウントされるため、注意が必要です。
【例】マンションの購入日が2013年4月11日の場合
売却日 | 基準日(所有年数) | 譲渡所得にかかる税率 |
---|---|---|
2019年4月12日 | 2019年1月1日(5年 = 短期譲渡所得) | 39.63% |
2020年4月10日 | 2020年1月1日(6年 = 長期譲渡所得) | 20.315% |
参考:国税庁ホームページ
マンションの所有年数が5年を超えるか否かで、譲渡所得税が2倍ほど変わります。
ただ、マンション自体の価値は築年数が経つほど下がってしまうため、バランスを考えながら売却のタイミングを決めましょう。
譲渡所得税を安く抑えるためには、取得費(マンションの購入代金 + 取得費用 – 減価償却費)を明確にしておくことも大切です。
先述のとおり、譲渡所得税は以下の式に税率をかけて算出します。
売却価格 – ( 取得費 + 譲渡費用 )
取得費が大きいほど譲渡所得税が安くなるため、取得費を実際よりも少額で計算してしまったり、概算法を選択してしまったりすると、もったいないのです。
契約書の確認や不動産会社への問い合わせによって、取得費を明確にしておきましょう。
特例控除の利用は、譲渡所得税の大きな節税となります。
マンションの売却時に利用できる特例控除は、主に以下の3つです。
それぞれの利用条件など、詳しく見ていきましょう。
マイホームとして住んでいたマンションを売る際に以下の条件を満たせば、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」によって、最高3,000万円まで控除を受けることができます。
(1)自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件すべてに当てはまることが必要です。
イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
ロ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
(2)売った年の前年および前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
(3)売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
(4)売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
(5)災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(6)売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
※(特定増改築等)住宅借入金等特別控除または認定住宅新築等特別税額控除については、入居した年、その前年または前々年に、このマイホームを売ったときの特例の適用を受けた場合には、その適用を受けることはできません。
また、入居した年の翌年から3年目までのいずれかの年中に、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の対象となる資産以外の資産を譲渡し、この特例の適用を受ける場合にも、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。
引用:国税庁ホームページ
この特例を利用する場合、課税対象となる譲渡所得は以下のように計算されます。
課税対象となる譲渡所得 = 譲渡所得 – 3,000万円(特別控除額)
つまり譲渡所得が3,000万円未満であれば、譲渡所得税を納めなくて良いのです。
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を受けるためには、確定申告書に「譲渡所得の内訳書」などの必要書類を添えて、税務署に提出する必要があります。
また、この特例は住宅ローン控除との併用ができないため、マンションの売却後に住宅ローンを利用して新居を購入する場合は注意が必要です。
特例と住宅ローン控除のどちらを選ぶかについては、マンションの売却時または新居の購入時に、不動産会社と相談してみてください。
売却年の1月1日時点で、マンションの所有年数が10年を超えている場合は「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」を受けられる可能性があります。
この特例は、課税譲渡所得が6,000万円以下の部分に限り、譲渡所得税の税率が14.21%に軽減されるというものです。
課税譲渡所得が6,000万円を超える部分は、税率20.315%で計算されます。
具体的な適用条件は、以下のとおりです。
(1)日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること。
なお、以前に住んでいた家屋や敷地の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
また、これらの家屋が災害により滅失した場合には、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(注)住んでいた家屋または住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまることが必要です。
イ 取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること。
ロ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
ハ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
(2)売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。
(3)売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと。
(4)売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例の適用を受けていないこと。ただし、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます。
(5)親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと。
「特別の関係がある人」には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
※(特定増改築等)住宅借入金等特別控除または認定住宅新築等特別税額控除については、入居した年、その前年または前々年に、この軽減税率の特例の適用を受けた場合には、その適用を受けることはできません。
また、入居した年の翌年から3年目までのいずれかの年中に、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の対象となる資産以外の資産を譲渡し、この特例の適用を受ける場合にも、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。
引用:国税庁ホームページ
「特定の居住用財産の買換えの特例」は、マイホームであるマンションを売却し、新たにマイホームを購入した場合に利用できます。
売却時における譲渡所得税の支払いを、新たなマイホームを売却する時まで繰り越せる特例です。
この特例には、以下のような適用条件があります。
詳しい適用条件や提出書類などは、国税庁のホームページにてご確認ください。
道路整備のような公共事業のためにマンションを売却した場合、以下いずれかの特例を受けられる可能性があります。
それぞれの特例における適用条件を見ていきましょう。
この特例は、マンションの売却価格よりも買い替え額の方が多い場合に、譲渡所得税の課税が将来に繰り延べられるというものです。
さらに、売却年については譲渡所得税がなかったものと見なされます。
「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」とも呼ばれるこの特例は、以下3点に全て当てはまることが適用条件です。
(1)売った土地建物は固定資産であること(不動産業者などが販売目的で所有している土地建物は、固定資産ではありません。)。
(2)原則として、売った資産と同じ種類の資産を買い換えること。 同じ種類とは、例えば土地と土地、建物と建物のことです。このほか、一組の資産として買い換える方法や事業用の資産を買い換える方法などが あります。
(3)原則として、次の期間内に代わりの資産を取得すること。
イ 土地建物の収用等のあった年
ロ 土地建物の収用等のあった年の前年(その収用等によりその土地建物等を譲渡することが明らかとなった日以後の期間に限ります。)
ハ 土地建物の収用等のあった年の翌年1月1日から収用等のあった日以後2年を経過した日までの期間
引用:国税庁ホームページ
条件に当てはまるか分からない場合は、不動産会社や税理士に確認しましょう。
この特例は名前のとおり、譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除が差し引かれるものです。
同じ公共事業で2年以上にまたがってマンションを売却する場合、1年目のみ受けられます。
適用条件は、以下のとおりです。
(1)売った土地建物は固定資産であること。
(2)その年に公共事業のために売った資産の全部について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の適用を受けていないこと。
(3)最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに土地建物を売っていること。
(4)公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者(その者の死亡に伴い相続または遺贈により当該資産を取得した者を含みます。)が譲渡していること。
引用:国税庁ホームページ
「公共事業のために土地建物を売った場合の特例」を利用する場合、公共事業の施行者から発行される収用等の証明書をはじめとした、複数の書類が必要になります。
公共事業のためにマンションを売却する場合は、必要書類を用意しておきましょう。
損益通算とは、マンション売却で得た所得を、他の不動産の売却による損失と相殺できるという制度です。
「不動産の売却で損失が出てしまったが、同時期にマンションを売却して利益を得た」という場合に利用できます。
損益通算のメリットは、マンション売却の利益にかかる譲渡所得税が安くなるという点です。
複数の土地や建物の売却を考えている場合は検討してみてください。
マンション売却時の譲渡所得税を安くする方法について、以下におさらいします。
・マンションの所有年数が5年を超える場合、譲渡所得税の税率が低くなる
・取得費を明確にしておくと、譲渡所得税が安くなりやすい
・特例の条件を満たしていれば、税率の軽減や最高3,000万円の控除を受けられる
・マイホームを買い替える場合、譲渡所得税の支払いを新居の売却時まで繰り越せる特例がある
・公共事業のためにマンションを売却する場合にも、特例や控除を受けられる
・同時期に複数の不動産を売却する場合、損益通算を利用できる
この記事では、以下のポイントについて解説しました。
資産であるマンションの売却で損をしないためには、税金に関する知識を付け、特例や控除を最大限に活用することが大切です。
手元に残る資金が増えれば、新生活がより豊かなものとなります。
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