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不動産の売買契約書には何が記載されているかご存知でしょうか。不動産を売買した後にトラブルが発生し、「こんなこと契約の時に聞いていない!」「知らなかった!」と困った経験はありませんか?実は、不動産売買契約をする時に「契約書のこの部分は特に重要!」といった気をつけるべきポイントがいくつかあります。不動産売買のトラブルに巻き込まれたくないと思っている方も多いのではないでしょうか。不動産売買のトラブルを防ぐ方法として、売買契約書を事前に確認しておくことが重要です。今回は、不動産売買の契約書の内容で確認しておいた方が良いポイントを3つにまとめました。
不動産売買契約の際に、なぜ売買契約書の締結をする必要があるのでしょうか。
不動産を売買するということは、高額な金額の取引を行うことになりますので、取り決めや手続き内容、手順の段取りが多くなってきます。
そのため、不動産売買契約書では、取引を行う不動産の内容や契約の条件を明文化することによって、契約当事者(売主と買主)双方がトラブルなく無事に売買契約を終えられることを目的として作成しているのです。
不動産仲介会社が仲介を行う場合には、宅地建物取引業法によって、売買契約が成立した時に、宅地建物取引士が記名押印いた不動産売買契約書を交付することが義務付けられています。
不動産売買契約書の中には下記の内容が記されています。
知らない内容も多いかと思いますが、理解することで、不動産売買契約での取引に巻き込まれずに済むので、一度目を通していただくことをお勧めします。
売主が売却したい不動産、買主が購入する不動産の売買代金を記載しています。売買代金のほかに、売買の取引対象の不動産を明確にするために、土地・建物の所在や地番、面積などの不動産の詳細情報が記載されています。また、マンションの場合には、区分所有建物の詳細情報や敷地権の目的たる土地の詳細情報についても記載がされています。
不動産売買契約をした際に、買主が売主に支払う手付金の額が記載されています。後にこの手付金を放棄することで、売買契約を解除することができるなどの取り決めも記載されていますので、後の項目を確認してください。
不動産の売買代金の支払い方法や内金および残代金などの金額および支払日やどのように支払うかが記載されています。
売買契約の対象となる土地や建物などの面積に関する規定が記載されています。面積の注意点としては、測量をするかどうかというポイントです。特に土地は、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている面積を対象とする方法と、実際に測量を行った実測面積を取引対象にする方法の2種類があります。
また、不動産売買契約締結後に測量を行う場合には、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載された面積と差異がある分について、別途売買代金の清算をする場合と清算をしない場合などを契約条件をすりあわせた上で、契約条文に記載します。
土地や戸建などの不動産取引の場合には、売主は、買主に隣地との土地の境界を現地にて境界標の明示をすることと規定されています。境界標がないときは、売主は、隣地所有者の立会いや承諾のもと、新たに境界標を設置して境界を確定させることが必要となりますので、注意が必要です。
買主が売主に売買代金を支払った時点で、所有権が移転することを規定しています。売買代金は全額を支払った時点で移転するということに注意が必要です。
不動産の引渡し日が規定されています。一般的には所有権移転の日と引渡し日は、同じ日となりますが、買換えに伴なう売却などの場合には、必要に応じて引渡し日を別途規定することも可能です。
売主は、所有権移転時期までに、抵当権・賃借権などの買主への所有権移転を阻害する負担を除去・抹消することが規定されています。そのため、売主は住宅ローンの返済が必須になることをご注意ください。
売主は売買代金を受け取ると同時に買主へ対象の不動産の所有権移転の登記申請をしなければなりません。また、所有権移転登記申請に要する費用は、買主の負担となることが一般的です。
不動産の引渡し完了前に、天災など売主・買主双方に責任のない理由によって不動産が無くなってしまったり、壊れた場合や修復が困難な場合には、不動産売買契約の解除が可能であることを規定しています。
不動産売買契約を解除する場合には、売主は、買主に対し、受領済の売買代金等のお金を無利息にて返還することが必要となります。
売主は、不動産売買契約時点における不動産の状況を「物件状況等報告書」によって買主に説明することを規定しています。後述の「瑕疵の責任」規定と関連する内容となりますので、正確な状況の記載が必要となります。
売買の対象となる不動産から得られる収益、または、費用として掛かる固定資産税や都市計画税等の公租公課等の諸負担については、引渡し完了日の前日までを売主、引渡し完了日以降を買主が収益または、費用負担することが規定されており、引渡し完了日をもって清算することが定められています。
不動産の引渡し完了後、一定期間の間に、契約と適合していない箇所が見つかった場合には売主の契約不適合責任があると規定されています。契約不適合責任の期間は、個人間の取引の場合、引渡し完了日から3ヵ月と規定することが一般的です。
売主は、不動産についている設備が引渡し時についているのか否かを「付帯設備表」へ記載し、その記載内容をもって各設備を引渡すことを規定しています。引渡す設備の内、故障うあ不具合が無いとした主要設備については、売主は使用可能な状態で引渡すこと、また、故障・不具合が無いとした主要設備については、通常、引渡し完了日から7日以内に請求を受けた故障・不具合について、売主が修復する責任があることも規定しています。
不動産売買契約書に記載された手付解除期日までであれば、売主は手付金の倍額を買主に支払い、買主は手付金を放棄することで不動産売買契約を解除できるとした手付解除に関する規定が定められています。
売主、または、買主が、不動産売買契約の債務の履行(契約上やると約束した行為)を怠ったときには、その相手方に対し、書面により債務の履行を催告した上で、不動産売買契約を解除して、違約金の支払いを請求することができるとした規定が定められています。
催告することが重要となりますので、何かトラブルが起きそうなときには不動産会社に相談するようにしましょう。
不動産売買においては、買主の多くは銀行などの金融機関からの住宅ローンを利用して売買代金を支払いますが、万一、買主が融資を得られない場合には、融資承認取得期日までであれば、不動産売買契約を解除できるとした特約を定めることが一般的です。
また、不動産売買契約書には、融資利用の申込先、融資承認取得期日、融資金額、融資利用の特約に基づく契約解除期日を詳細かつ厳格に取決めることになります。
マンションの敷地が賃借権の場合、売主は、その賃借権を買主に譲渡することについて、土地所有者に賃借権譲渡承諾書の取得することを規定しています。
また、売主が賃借権譲渡承諾書を得られない場合には、賃借権譲渡承諾の特約に基づく契約解除期日までであれば、不動産売買契約を解除できるとした特約規定となります。
これらの内容は目を通し、内容を理解した上で、売買契約を締結するようにしましょう。
まず、マンションの売却を検討されている方向けに、購入者との売買契約の流れをご紹介します。
=売買契約の流れ=
これだけ見るととてもシンプルですが、マンションという大きな買い物。売却する物件の情報をどこでどれだけ確認してもらうことができるのか細分化してご紹介します。
① 条件を決める
マンションを売却するということは購入者の気持ちになって、購入者側の気持ちを理解することが重要です。
購入者は物件を探す前に
を行おうと考えています。
② 買い付け
マンションを探して良い物件が見つかったら、売主に「買い付け証明」を提出します。
購入者が買付け前に欲しいと思っている情報は
等が挙げられます。マンションを売却したい人は事前に準備しておくようにしましょう。
なお、購入価格の交渉がある場合は買い付けのタイミングで売主に伝えられますので、
不動産会社にも買主の情報をヒアリングしておくことが重要です。
その後
を行われることになります。
※このタイミングで可能であれば契約書類の雛形を不動産会社に依頼してみてください。契約前に契約書類の内容を確認することができ、不明点を事前になくしておくことができます。
また、買い付け証明は買主から届いた順で進めることがほとんどなので、購入に当たる全体的な予算は物件を探す前にクリアにしている購入者との売却を進めることをお勧めします。
③ 契約
売却する物件について、不動産業者から重要事項説明書の説明を購入者にしてもらい、契約を結びます。
ここで売主、買主共に契約書類に署名・捺印をします。
④ 決済・引き渡し
契約が無事完了したら、売買代金から手付金を引いた残金を決済した後にマンションの引き渡しです。この後、所有権移転手続きや、鍵の受け取りをします。
―重要事項説明書とは?―
宅建業法 第35条に規定されている書面のことです。不動産取引において、宅地建物取引士が取引当事者に対して契約上重要な事項を説明することをいいます。(行わない場合、宅建業法違反です!)重要事項説明書の内容に同意したのち、売買契約書の締結になります。
契約締結前に必ず読み合わせを受ける“重要事項説明書”。
基本的に契約書に記載されている内容として。大きく分けて「対象物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」の2種類の内容が記載されています。
「対象物件に関する事項」
「取引条件に関する事項」
上記の内容を「宅地建物取引士」が説明するものとされています。
※この説明で契約を見送りにした例もあるので、しっかり確認するようにしてください。
―仲介手数料とは?―
仲介をしてくれた不動産会社への報酬です。買主は買主側の不動産会社に、売主は売主側の不動産会社にそれぞれ支払います。支払う金額の上限は宅建業法で定められており、「売買価格の3%+6万円×消費税」という計算式で計算します。
仲介手数料を支払うタイミングは、2回あります。
を支払います。
不動産会社を通さずに売主と直接手続きを行う場合仲介手数料は発生しませんが、契約書類の内容で不明点があったり、金銭トラブルが発生した時のために不動産会社に仲介を依頼する方が多いようです。
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不動産売買の大体の流れが把握できたところで、不動産売買契約書と重要事項説明に記載されている内容は何が違うかを整理します。
売買契約書に書かれている内容(詳細は第2章の18項目を参照)
重要事項には、上記内容に加えて
といった細かい内容が記載されています。
重要事項説明書の方が内容が細かく、売買にあたっての土地の条件や前提情報などが盛り込まれています。
重要事項説明書の内容を納得した上で契約を結ぶという流れになるため、契約前に不明点などがあれば宅地建物取引士から重要事項説明書の説明を受けた時点で質問するようにしましょう。
契約書や重要事項説明書に追記できるようになっている特約事項とは、その売主・買主間の取引をする上で何かトラブルが起こった場合に「言った言わない」とならないように特例として記載しておくものです。
原則的に基本的に定めていない事項については民法やそのほかの法令に従って協議の上で決定していくので、特約事項がない契約もあります。
<例えばこんな特約を入れます>
・公図と現況の土地の形が違う場合
公図と現況の土地が違うことを了承して購入したこと、また購入後に売主に異議申し立てをしないこと という特約
・契約不適合責任免責について
買主は現状のままの売買であることを了承し、売主は本物件が老朽化しているため瑕疵担保責任を負わない という特約
契約書類に記載される内容が把握できたとはいえ、実際に不動産売買契約書を見ると、文章量も多く一通り読むだけで結構な時間とエネルギーを消費してしまいます。そんな中で見落とししがちなポイントをご紹介します。
登記簿の面積と実際の面積が違う場合、売買価格はどちらの面積を対象に決めたのかを確認しましょう。もし現況が大幅に違う場合、差額が発生することがあるのか?も確認できたら良いですね。
手付金の解除は、「売主・買主のどちらが契約の履行に着手するまで」と期限を決められていることが多いです。
万が一、双方どちらかの都合で契約を解除しなければいけなくなった場合、契約の履行に着手しているかによって違約金が発生するかが変わってきますので、よく読み込んでおいた方が良い箇所です。
決済後の所有権移転登記に関する費用について、売主か買主のどちらが費用を支払うか確認し、定めるようにしておくようにしましょう。事前に明確にしておくことで、実際支払いの場面になったときにトラブルにならずに済みます。
このように、支払いや金銭が関係してくる内容の部分は特に注意が必要です。支払う時期・内容などよく読み込むようにした方が良いですね。
契約書を読んだけど、見慣れない言葉が多くて“わからないことがわからない”という方も多いと思います。
その場合は、セカンドオピニオンを取ることをお勧めします。客観的に契約内容を見てもらい、売主にとって不利な内容になっていないかを確認してもらうのです。餅は餅屋という言葉があるように、セカンドオピニンを取るといっても専門家に話を聞くのが一番適切です。
買主目線でみたときに、「これは?」となるような条文が入っているか見てもらいましょう。できたら「こういう条文に変えたほうが良い」などとアドバイスももらえると良いですね。そして実際の担当者に質問と売主からの提案を投げてみてください。
売主・買主共に納得した契約内容で契約手続きが出来るように、不動産会社に任せっきりにせず、マンションを売却したい売主であるあなたが積極的に契約内容に関わっていく姿勢も大事です。
不動産の契約書類は見慣れない言葉が多く、分かりづらいことも多いかと思います。
信頼できて知識も豊富な不動産会社の担当者を見つけること、セカンドオピニオンとして、専門家の意見を取り入れてより安全で安心な不動産取引を行なっていきたいですね。
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