事故物件のガイドライン制定!「孤独死」の定義とは?

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自殺や他殺など、事件や事故によって居住者が居室内で亡くなってしまった物件は「事故物件」と呼ばれます。

人の死に関わる事件・事故による心理的影響に鑑みて、事故物件は相場価格より安く取引され、なおかつ売りにくいというのが現状です。また投資物件で事件・事故が起きてしまった場合も同様に、その後の入居者募集や賃料に少なからず影響を与えます。

これまで「事故物件」の定義はあいまいで、とくに「孤独死」が起きてしまった物件が事故物件に該当するか否かの判断は難しいものでした。しかし2021年10月、初となる「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が国土交通省によって策定されたのです。

そこですみかうる編集部は、事故物件のお悩み解決に特化した不動産会社「成仏不動産を運営する株式会社MARKS 石川建吾さんに、事故物件の定義や売り方、そして事故・事件が起きてしまったときにすべきことをお伺いしました。

お話を伺った方

株式会社MARKS

石川 建吾

大学卒業後、人材派遣会社・外資系医療メーカーを経て、31才の時にかねてより興味があった不動産業界へ足を踏み入れる。最初はコインランドリー会社に入社し、「不動産」「投資」「建築」を学び、当時未開拓であった関東進出の責任者を拝命。現職のMARKSへは「世のために。人のために。」という企業理念を真剣に追求し、事故物件の専門事業「成仏不動産」や、負動産を富動産にかえる事業「負動産の総合病院」など、困っている方へピンポイントで届く事業展開に心惹かれて入社。
目次

「事故物件」の定義とは?

編集部

まず事故物件の定義から教えていただきたいのですが……「事故物件」と一口に言っても、自殺や他殺が起きてしまった物件だけではないんですよね?

石川さん

弊社では「事故物件」という言い方をせず、いわゆる「事故物件」にプラスして人の死がからんだ不動産を「成仏物件」と呼び、7つに区分しています。

1.心理的瑕疵施設などが見える物件
2.共用部分や他の部屋などで事故があった物件
3.発見まで72時間未満の孤独死、病死物件
4.発見まで72時間以上の孤独死物件
5.火事や事故で人が亡くなった物件
6.自殺物件
7.他殺物件


人の心に与えるマイナスの心理……つまり「心理的瑕疵(しんりてきかし)」の度合いは、事件・事故の凄惨さや状況によって大きく異なります。

また、たとえ事件や事故が起きていなくても、心理的瑕疵施設、たとえばお墓が見える物件は避けたいと考える方もいらっしゃいますよね。一方で、まったく気にしないという方もいらっしゃいます。

自殺や他殺が起きてしまうと残念ながら事故物件に該当してしまうことは避けられないと考えられますが、その他の事案については買主様次第という部分もあるので、人の死に関連した物件を細かく区分けし、選ばれやすくしています。

「孤独死」の境目は?

編集部

孤独死を「発見まで72時間」で分けているのはどういった理由からでしょうか?

石川さん

「72時間」が特殊清掃が必要な否かの分かれ目の目安になるからです。

今回、国土交通省が策定したガイドラインでは、自然死および事故死の中でも特殊清掃や大規模リフォーム等が伴わなかった場合は原則的に買主への告知を不要としています。しかし、買主から事案の有無を確認された場合は、把握している内容を告知しなければなりません。

季節や気温にもよりますが、一般的にはやはり72時間程度が目安になってまいります。 ただし、今回のガイドライン策定を受け、売主や貸主は可能な限り「特殊清掃」という名前の清掃をしたく ないという心理が働きますので、1週間から10日程度で腐敗が大きく進んでいなければ、一般的な清掃で終わることが予想されます。

孤独死が起こってしまったらどうする?

編集部

やはり「孤独死」が、もっとも事故物件化の要因になりやすいと思います。日本は超高齢化社会ともいわれていますが、実際に孤独死の数は増加しているのでしょうか?

石川さん

はい、増加傾向にありますね。

弊社には「孤独死が起きてしまったので特殊清掃をお願いしたい」「相続で悩んでいる」「売却したい」というご相談が多く寄せられます。

編集部

孤独死が起きてしまった物件を「手放したい」という方が多いのでしょうか?

石川さん

そうですね。手放したいという方は多くいらっしゃいます。ただその中でも、手放すまでに清掃や相続の問題をどうにかしなければならない……ということで悩まれる方が非常に多いです。

弊社のお客様で先日、こんなケースがありました。

当初、孤独死が起きた物件を買い取ってほしいというご相談だったのですが、よくお話を伺ってみると、特殊清掃をしたもののにおいが戻ってきてしまったと。この状況ではどこも買い取ってくれない‥‥ということで悩んでいらっしゃったんですね。

編集部

特殊清掃をしても……ということがあるんですね?!

石川さん

本来であれば、特殊清掃をかければにおいが取れないということはありません。ですので、単に技術不足ということですよね。

10年前と比較して、特殊清掃業者は5,000社以上増えているといわれています。それに伴って、こういった技術不足はよく見られるようになりました。

不動産会社を選ぶ際にも比較することと思いますが、特殊清掃業者についても依頼する前によく比較されることをおすすめします。「においをどこまで抑えられるか」「再施工してもらえるか」といったことを、あらかじめ明確にしてから契約されるべきです。

成仏不動産でも特殊清掃を承っておりますが、清掃後1週間経ってにおいが残っている場合は無料で再清掃をさせていただいております。ただ、再清掃依頼はほとんどありません。

孤独死を防ぐためには?

編集部

孤独死を起こさないための対策はありますか?

石川さん

弊社では「見守りサービス」というプランをご提供させていただいております。住んでいる方の電力の使用を把握して、異常があれば感知して関係者様にお知らせするサービスです。

たとえば、いつも朝にポットを使っているのに今日1日まったく使ってない……夜になっても電気がつけっぱなし…‥など、毎日と違う動きがあればお知らせするものです。

編集部

家族が遠方に住んでいてお一人で暮らしていると、どうしても連絡が取りにくくなってしまいますもんね。

石川さん

また弊社では、孤独死を防ぎたいという想いからLINEスタンプを作りました。

石川さん

孤独死を防ぐためには、やはり日々のやり取りが大切だと思います。

ご年配の方にも使いやすいように「スタンプ」という形を取り、今まで以上に気軽に連絡を取り合っていただきたいですね。お子さんやお孫さんとの関係性を保つことが事故死を防いでくれるはずです。

メッセージを送るのが恥ずかしいというときは、こちらのLINEスタンプを使っていただければと思います!

気になる事故物件の価格……相場と比較してどれくらい落ちるもの?

編集部

孤独死に限ったことではありませんが、心理的瑕疵がある物件を売却するに際して気になるのは、やはり「価格」だと思います。相場価格と比較してどれくらい落ちてしまうものなのでしょうか?

石川さん

一概にはいえませんが、孤独死ですと相場より1~2割安い価格でご成約となるケースが多いですね。

殺人ですと5割ほど、自殺だと3割ほど価格が下がる可能性は否めません。

編集部

「一概にはいえない」というのは、事件や事故の状況によるということでしょうか?

石川さん

そうですね。状況次第ということももちろんありますが、エリアや築年数なども大きく影響します。要は、需要が高いかどうかです。

需要が高い物件は、比較的、事件や事故の影響を受けにくい傾向にあります。

事故物件をできる限り好条件で売るには?

編集部

価格がある程度落ちてしまうことは避けられないとして、その中で少しでも事故物件を好条件で売るためのコツのようなものはありますか?

石川さん

一般的な物件にもいえることですが「買取」より「仲介」で売却したほうが高く売れることが見込めます。

編集部

「買取」というのは、不動産会社に買い取ってもらう方法ですね。「仲介」は、一般の人に対して売るということですね。

石川さん

事故物件になってしまいますと「一般の人には到底買ってもらえない……」と思い込んでしまう方も多いのですが、気にされない方は一定数いらっしゃいます。

もちろん苦手な方もいらっしゃるわけですが、売り方次第で売却価格が大きく変わってくるのが事故物件というものです。

たとえば、SUUMOやHOME’Sなど事故物件以外が大半を占める物件情報サイトですと「告知事項あり」の物件は敬遠されがちです。

しかし弊社、成仏不動産のように、事故物件を前提として取り扱っている情報サイトに掲載すれば「事故物件をマイナスと思わないの人」の目に多く触れさせることができます。

編集部

他社に売却を依頼している物件も、成仏不動産のサイトに掲載してもらえるのでしょうか?

石川さん

はい、掲載可能です。利用料も無料です。

仲介を依頼されている不動産会社に相談していただければと思います。

マンションの「共用部」での事件・事故はどうなる?

編集部

マンションなど集合住宅ですと、屋上など共用部での事件・事故も考えられます。共用部での事件・事故も、マンション売却に影響してくるものなのでしょうか?

石川さん

この点は、今回、国土交通省が策定したガイドラインでも言及されているのですが、普段、人がよく通行する場所で起こった事故については告知する必要があるとされています。

ここの定義はまだ曖昧ですが、マンションの「重要事項調査報告書」に記載されているものについては原則告知する必要があると受け止めています。

重要事項調査報告書とは、マンションの売買の際に管理会社が発行するマンションの説明書のようなものです。こちらに事件・事故のことが記してあれば、これは告知事項に該当するということですね。

ただ、だからといって事故物件に該当するということではありません。告知すべき事項があるかないかということです。

編集部

売却価格への影響はいかがでしょうか?

石川さん

共用部の事件・事故であれば、ほとんど影響がないということもあると思います。

マンションの規模にもよるところでしょう。たとえば、10戸や20戸のマンションで事故起きたのか、あるいは500戸以上のビッグコミュニティの別の棟で事故が起きたのかによって、人の心理に与える影響は異なりますよね。

ですので、共用部の事件・事故については、引き続きケースバイケースで考えなければならないと思います。

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投資用マンションが事故物件になる可能性も

編集部

事件・事故が起きるのは、居住用物件だけではありませんよね。
不動産投資をしているマンションが事故物件になってしまったらどうすればいいのでしょうか?

石川さん

この度、策定された国土交通省のガイドラインには賃貸借取引の対象不動産において、

『自然死以外の死が発生または特殊清掃等が行われることとなった自然死以外の死が発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい。』

と明記されました。

しかし、3年で告知義務が消えるという間違った認識を持たないことが必要です。

問われた場合は、答える義務があります。世の中の大半の方が事故物件に忌避感を持っていらっしゃることを考えれば、かなり長期間、事故の有無を聞かれ続けることが予想されます。

これは、実質的には告知義務がなくなっていない状態と変わりないと思います。

編集部

逆に投資用マンションを購入するときには、事件・事故の有無を聞くということも大事になってきますか?

石川さん

おっしゃる通りです。

新たに投資用不動産を購入する際には、必ず情報を確認する必要があります。こちらが聞けば、相手には答える義務がありますからね。

そして投資家さんにとってもっとも重要なのは、投資用物件で人が亡くなることではなく、亡くなった後、いかに早く発見できるか。発見を早くするための対策が難しい場合には、孤独死保険などの加入も検討されると良いでしょう。

編集部

ここまでお話を聞いていると、国土交通省によるガイドラインの策定で大きく変わったことは無いように思いますが、その辺りはいかがでしょうか?

石川さん

ガイドラインを読み解くと、社会的影響のある事案以外は「聞かれなければ答えなくて良い」という受け取り方もできます。

しかし、実質的には不動産の所有者にとっては基本的にこれまでと大きく変わることはないと思います。

投資用物件、居住用物件、いずれも共通しますが、 引き続き事故物件化してしまう最も多いケースである「孤独死」の発見までの時間を短くすることが重要になってくるでしょう。

事故物件を売却するときの不動産会社の選び方

編集部

事故物件を売却する際には、どんな不動産会社に依頼すればいいのでしょうか?

石川さん

まず、事故物件の査定額は一般的な物件以上に差が出ます。

事件・事故が与える心理的瑕疵と、その心理的瑕疵が価格に与える影響というのは、非常に判断が難しいところだからです。

当然のことですが、レスポンスが早く、状況をしっかりヒヤリングしてくれて、売主様のご希望にまで気を配ってくれる不動産会社を選ばれるべきでしょう。相続が絡むことも多いので、その場合には弁護士と提携している不動産会社だと安心ですね。

編集部

1社のみの見解を鵜呑みにして売却するのは危険ということですね?

石川さん

それもありますが、やはり事故物件を売却した経験がものを言うと思います。

「この家なら早く売れる」「この家はこの価格では難しい」という判断ができなければ、無駄に価格を下げしたり、時間をかけたりすることにもなりかねません。

成仏不動産は、事故物件の売却事例をデータ化しております。「駅からこの距離で、この状況なら……」といった感覚で査定や売却をするのではなく、取引実績に基づいて戦略的にマーケティングをしています。弊社で販売させていただく事故物件は2週間ほどで成約が決まるケースが多く、売主様にも大変喜んでいただいております。

事故物件を売却されるとなると「買ってくれる人が見つかれば…‥」「こんな物件…‥」と卑下される方が多いのが現状です。しかし、事件や事故が起きたとしても、不動産は大切なご資産。そして、望まれている方にとっても非常に魅力的な物件です。

事故物件だからといって気にされることはありません。安心してご売却をお任せいただければと思います。

ガイドラインが策定されてもなお事故物件の判断には曖昧な部分も

まとめ
  • 2021年10月、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定
  • ガイドラインによると、特殊清掃が伴わなかった孤独死については買主への告知は原則不要だが、事案の有無を確認されたら把握している内容を告知する必要がある
  • 特殊清掃が必要か否かは「孤独死発見まで72時間」が1つの目安
  • 孤独死を防ぐためには周りの人との関わりを持ち続けることが大事
  • 孤独死があった事故物件は相場より1~2割ほど価格が落ちる
  • マンション共用部の事故が売却に与える影響はケースバイケース
  • ガイドラインによれば、投資用マンションにおける入居者への告知義務は3年で消えるとも読み解けるが、実質的には告知義務が長期間続くものと考えられる
  • 事故物件の査定額は一般的な売却以上に不動産会社によって差が出る

「事故物件」のガイドラインが国土交通省により初めて策定されたものの、「これまでと大きく変わることはない」というのが成仏不動産 石川さんのご見解でした。

事故物件となる要因として最も多いのが、孤独死。高齢化が急速に進む今、親御さんなどのご家族や投資物件の入居者の孤独死には十分、気を配る必要があります。

事故物件に該当するか否かの判断は、引き続き曖昧さを伴います。価格への影響も、状況や物件次第とのこと。あなたのマンションやご親族のマンションがいくらで売れるか知りたい方は、最大6社まで一括査定が可能なマンションナビをどうぞご活用ください。

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この記事を書いた人

亀梨奈美のアバター 亀梨奈美 不動産ジャーナリスト/株式会社realwave代表取締役

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。

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