中古マンションの平均成約築年数が上昇中!「リノベーションブーム」が要因か

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(参考:公共財団法人東日本不動産流通機構

中古マンションの平均成約築年数が上昇傾向にあります。

2010年の平均成約築年数は「17.57年」だったのに対し、2020年は「21.99年」。この10年で4年以上、上昇しています。

築20年以上のマンションの売却では「リノベーション」「リフォーム」を検討される方も少なくないでしょう。実際に売り出し中のマンションを見ると「リノベ物件」「フルリノベ済み」という表記があったり、リフォーム履歴の詳細が掲載されたりしている物件も多いものです。

そこで今回は、築古マンション売却×リノベーション・リフォームの実情を知るべく、「リフォーム付き売却プラン」を展開する不動産会社「株式会社イエツグ」代表取締役の丹(たん)拓也さんに突撃取材を敢行!

丹さんの考える、築古マンションの売り方やリノベブームの背景についてお聞きしました。

お話を伺った方

株式会社イエツグ 代表取締役
丹 拓也 https://ietsugu.co.jp

2011年、消防士として東日本大震災を経験。倒壊する家々を見て「倒壊を未然に防いでご家族の“想い”を守りたい」との思いから、株式会社イエツグを設立。同社は、不動産の流通段階で住宅診断や“劣化”に対するメンテナンスをしやすくなるよう、仲介手数料182,900円定額制を導入。また正規手数料を受領し、同社負担でリフォームする売却プランを展開。「仲介手数料定額制」「リフォーム付き売却プラン」この2つの柱で“減災”を目指す。

保有資格:宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナー技能士・住宅ローンアドバイザー・既存住宅アドバイザー・防災士

目次

中古マンションの成約築年数が上がっている要因は?

編集部

中古マンションの平均成約築年数が上がっている要因は、どこにあるとお考えですか?

丹さん

リノベーションが一般的になってきたということが大きいと思います。
「リノベ」「フルリフォーム」このような言葉がよく聞かれるようになったのは、ここ10年ほどのことです。少し前までは「リフォーム」は理解されても「リノベーションってなに?」という方が非常に多くいらっしゃいました。

リフォームとリノベーションの違いを簡単に申し上げれば、工事の“規模”ですね。「リフォーム」はどちらかというと“復元”のような意味があり、「リノベーション」となると大規模な工事を伴う復元であったり、そもそもその住まいにはなかった価値を付加したりするときいに用いられる言葉です。

近年とくに、築年数が古かったとしても「設備環境を一新すれば新築と変わらない」と考える買主さんが増えたと思います。
リノベーションが認知されてきたことにより、マンションを購入される方の選択肢が増えたということですよね。築年数にこだわりすぎずに、自分たちの理想やご予算に見合った物件に手を伸ばしやすくなっているのだと思います。

マンションの平均成約築年数が上がっているのは「自然の流れ」

編集部

なるほど……築年数が古いマンションをリフォーム・リノベーションして住むということが一般的になってきたということですね。

丹さん

日本はバブル以降「市場を活性化されるのは不動産だ」ということで、新築住宅が乱立していった時代があります。実はその中では、いわゆる「欠陥住宅」といわれるものも多くありました。欠陥住宅や劣化した住宅を劇的に変える!という企画のテレビ番組も流行りましたよね。

そして日本にある古くからの「新築信仰」もあいまって、従来までは「マイホームといえば新築だ!」といった風習があったんです。ただ今は、中古物件に対して嫌悪感を抱く人はだいぶ減ってきたと思います。

編集部

とくに今は、新築マンションの価格が高いですしね……!

丹さん

首都圏の新築マンションが、今6,000万円、7,000万円ほどですか。それに対して、首都圏の中古マンションの平均価格は2021年5月の時点で「3,813万円」です。

ひと昔前ですと「新築と中古どちらも検討しているんです」というお客様は、結果的に新築を選ばれるケースが多かったように思います。
しかし今は、新築が高すぎてそもそも検討対象にならない、あるいは検討していても結局、中古物件を購入して自らリフォーム・リノベーションするか、すでにリフォーム・リノベーションされている中古物件を購入される方が多い傾向にあります。

新築と中古で価格に開きがあるのは当然なのですが、65㎡前後、3LDKのマンションをリノベーションしたとしても、せいぜい1,000万円程度。設備を新品に変えたしたとしても、中古のほうが1,000万円以上は安く取得できます。

ですから、リノベ―ションの認知度が上がったのも、中古マンションの需要も上がったのも、その中で平均成約築年数が上がっているのも、至極自然な流れだと私は思います。

リフォームやリノベーションはマンションの「資産価値」を上げる?

編集部

築古マンションを売却されるにあたって、リフォームやリノベーションを検討される方もいらっしゃると思います。リフォーム・リノベーションによって、マンションの資産価値自体が向上することはあるのでしょうか?

丹さん

マンションをリフォーム・リノベーションすることによって、もちろん見た目も大きく変わりますし「資産価値」自体も向上します。

ただここで1つ注意点があります。勘違いされている方も多いのですが、たとえば「3,000万円」のマンションに「1,000万円」かけてリフォーム・リノベーションすれば「4,000万円」で売れるかといえばそうではありません。

リフォーム・リノベーションの内容には注意

丹さん

リフォームやリノベーションによって価値は向上するとはいえ「個性的」になりすぎては需要が下がってしまいます。やはり市場に出して販売するわけですから、売却前に行う工事の内容は、万人受けするもののほうがいいわけです。

たとえば、間取り変更やクロス・設備の色やデザイン変更にはとくに慎重になるべきでしょうね。自分にとって使いやすい間取り、かっこいいと思うデザインでも、人によっては「癖」や「個性的」と捉えられてしまいかねません。

売主さん的には「こだわって作ったんです!」という箇所も、見学にいらっしゃった方に対して「これは使いづらい……」と思わせてしまうという場面にもよく遭遇します。

マンションの「資産価値」を気にする買主は増えている

編集部

……となると「見た目」より資産価値を向上させるリフォーム・リノベ―ションのほうが、好条件で売るためには効果的ということになりますか?

丹さん

最近の傾向として「資産価値」を気にする買主さんが増えています。要は「見えない部分」を気にされる方です。

リフォームやリノベーションによって見た目が綺麗になったマンションは、たしかに注目度も高いです。しかし購入を決める最終段階では、見た目ではなく配管設備のリノベーション履歴や断熱性、気密性、防音性を気にされる買主さんも多くいらっしゃいます。

編集部

資産価値を高めるリフォーム・リノベーションとは、具体的にはどんなものですか?

丹さん

クロスの張り替えや設備の入れ替えなどの「リフォーム」には、そこまで資産価値を上げる効果はありません。やはりリフォームは「復元」であり、資産価値の「向上」に寄与するものではないからです。

「資産価値」を高めるには、住まいとしての質を高める必要があります。とはいえ、マンションは構造上、資産価値を高めるリノベーションが難しいというのが現実です。管理規約で制限がかかる工事も多いですからね。
ただその中でもできる、マンションの資産価値を高めるリノベーションはあります。

窓を変えることは管理規約で禁止されているマンションがほとんどですが、たとえば新たに窓を加えたり。つまり「二重サッシ」にするということです。

窓を二重冊子とすることで、断熱性、気密性、防音性の向上が見込めます。光熱費の削減にもつながるポイントですから、重視される方は多いですね。

買主の知識もどんどん向上している

編集部

資産価値を高めるリノベーションをすれば、売値も高くなるものなのでしょうか?

丹さん

正直に申し上げれば、窓を二重冊子にしたり、配管設備をリノベーションしたりすることで、査定額がぐんと上がるということはありません。

ただ、買主さんの「決断」に対しては非常に大きな効果を発揮します。やはりマンションは「見た目」も大事ですが、永く住むことを前提に購入される方がほとんどですので「快適性」や「安心」も求めるわけです。

最近とくに感じるのですが、買主さんの口から「配管」や「気密性」といった言葉が出る頻度が上がりました。皆さん、よく勉強されているんですよね。
つまり査定額に反映しないリノベーションだとしても、買主さんにはしっかりその効果や価値が伝わるということです。

とくに築古マンションとなれば、見た目だけ綺麗で、竣工当時から配管が変わっていない、気密性・断熱性も変わっていことで、買主さんに決めてもらえないということは起こります。

売れないマンションは、やはり値下げも必要になってきます。リノベーションによって査定額に大きな差は生じないとしても、結果的に売却価格や売却スピードが大きく変わってくることは十分考えられるわけですね。

リフォーム・リノベーション済みマンションは「若年層」の人気が高い

編集部

イエツグさんでは、「リフォーム付き売却プラン」を展開されていますよね。実際には、どのような方がリフォーム済の物件を購入されていますか?

丹さん

このプランは、ご自宅の売却とともに、室内の状況に合わせてキッチンや浴室などの水回りの交換、クロスやフローリングの張り替えなどの表層工事、ハウスクリーニングなどをご提案させていただき、弊社費用負担で実施して付加価値をつけて売っていこうというものです。

リフォーム付き売却プランの物件の買主さんは、20代後半から30代など、比較的お若い「第一次取得者」の方が多い傾向にあります。すなわち、初めてマイホームを購入される方ですね。

編集部

お若い方……それはどうしてなのでしょう?

丹さん

買主さんの中には「購入してから自分でリフォーム・リノベしたい!」という方もいらっしゃいます。しかしリフォームやリノベーション、クリーニングがすでに済んでいる物件を購入すれば、すぐに住めるというメリットがあります。

また自分でリフォームやリノベーションをするとなると、マンションの購入代金にプラスしてその費用がかかりますので、融資が通りにくくなってしまうんですね。逆にいえば、リフォーム・リノベ済物件は、買主さんからすれば融資が通りやすいというメリットもあるわけです。

編集部

なるほど。リフォーム済物件なら、お若い方でも融資が通りやすいと。

丹さん

最近では、物件取得費用のみならず、リフォーム費用や諸費用も合わせて融資してくれる住宅ローンもあります。しかし「物件取得費用」「リフォーム費用」「諸費用」この3つ全額を融資してもらうには、年収や勤続年数などいわゆる“それ相応”の属性の高さが必要になります。

若年層の方はそこまでご年収が高くない傾向にありますので、物件費用に加えて、リフォーム費用、諸費用の全額を融資してくれる金融機関を見つけるのは非常に難しいです。

リフォーム費用は自己資金で、あるいは諸費用は自己資金で出せれば、融資審査も通りやすくなりますが、預貯金も少ない……ということで、お若い方はとくにすでにリフォーム・リノベーションが済んでいる物件が融資もおりやすく購入しやすいということですね。

一方で、資金力に余裕のある方は、自己資金があったり、融資限度額が高かったりしますから、築古物件を購入して自分でリフォーム・リノベーションができるわけです。

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築古マンションを「買取業者」に売る選択肢ってどうなの?

編集部

売却しにくい築古マンションを、買取業者に買い取ってもらおうと考える買主さんもいらっしゃることと思います。この売却方法について、どのようにお考えですか?

丹さん

リフォーム・リノベーションが必要な築古マンションの売却方法は、次の3つに大別されます。

  1. そのまま売る
  2. 自分でリフォーム・リノベーションして売る
  3. 買取業者に売る
丹さん

この3つの方法は、すべてリフォーム・リノベーションをする人が異なります。

「1.そのまま売る」のであれば、マンションの買主さんが自分が好きなようにリフォーム・リノベをするでしょう。

「2.自分でリフォーム・リノベーションして売る」はそのままですね。売主さんが、リフォーム・リノベをします。

そして「3」の「買取業者」とは、買い取ったマンションをリフォームして再販する不動産業者のことです。つまり、リフォームするのはマンションを買い取った業者ですね。

買取業者に買い取ってもらえば、築古マンションでも売主さんは何も手を加えず、1週間などの短期間で売却することも可能です。
しかし私個人的には、買取業者に売却することはおすすめしません。

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買取再販のしくみ

編集部

築古マンションでも業者買取を選択しないほうが良い……その理由はなんでしょうか?

丹さん

その理由は、買取の仕組みにあります。

買い取ったマンションをリフォームし、再販する買取業者は、当然ながら慈善事業でリフォームをしているわけではありません。買い取って再販する過程で「儲け」を出します。

儲けを出すための必須条件となるのは、相場より安くマンションを買い取ること。ここで相場通りの価格で仕入れてしまっては、再販時に利益を出せなくなってしまいますからね。

編集部

一般的な方法で売るのと、買取で売るのでは、どれくらい価格に差があるものなんでしょうか?

丹さん

一般的には、買取業者にマンションを売るとなると相場価格より2割ほど安い金額での取引となります。ここまで価格が落ちてしまう理由は、買取業者がマンションを取得し、再販するまでに多額な諸費用がかかるからです。

一般の方がマンションを購入する際には、税制優遇もあり、非常に金利の低い住宅ローンを組むこともできます。しかし不動産業者は、不動産取得税の控除もなく、事業用ローンの金利は高く、事務手数料も高い。これらの諸費用を支払ってでも利益がでる再販とするために、買取業者は取得費用をできる限り抑えないとならないわけですね。

築古マンションはどう売るべきか?

編集部

買取はできる限り避けるべきとなると、築古マンションはどのように売るべきだとお考えですか?

丹さん

買取業者への売却は「すぐ売れる」「手間をかけずに売れる」というメリットはあるものの、より高く売りたいという方には不向きです。

とはいえ、ここまでお話したように資産価値を上げるリフォーム・リノベーションを、万人受けするように施すのは容易ではありません。

何に重きをおいて売却するかという話になってくるのですが、もし今、これまで大きな修繕もしてこなかった築古マンションを売る方が、より高く売りたいとお考えであるのならば「そのまま売る」あるいは「最小限のリフォームをしてから売る」ことをおすすめします。

「より高く売る」というとやや語弊がありますね。「より手残りを増やす」という意味では、売却までにお金をかけないということも必要になるでしょう。

冒頭で述べた通り、リフォームやリノベーションにかけた費用だけマンションが高く売れるわけでありません。全部が全部、資産価値向上に直結するわけではないので、手をかければいいという話ではないということですね。

編集部

フルリノベーションは避けるべき……ですね?

丹さん

そうですね。フルリノベーションをすることで、たしかに売却価格は上がる可能性があります。しかし、リノベーションにかけた費用だけ高く売ることができなければ、その分、手残りは減ってしまうわけです。

であるならば、まずはそのまま売ってみて反響を見たり、クロスの張替えやクリーニング程度のリフォームに留めて売り出したりしたほうがいいと私は思います。

買取再販業者がするように、おしゃれに、大胆に、全面フルリフォームする必要はありません。反響次第では配管を変えたり、気密性・断熱性等を向上させたりするリノベーションも必要になるかもしれませんが、まずは手をかけない、あるいは最低限のリフォームに留めて売り出すのが、手残りを最も増やせる方法です。

築古マンション売却を依頼するのはどのような不動産会社が適切?

編集部

築古マンションの売却は、リフォームやリノベーションをするべきか、しないべきか。する場合は、どこまでするのか。判断が難しそうですね。

丹さん

築古マンションに限ったことではありませんが、より好条件で不動産を売るには、多くの不動産会社の中で依頼する会社を検討することが大切です。リフォーム・リノベーションの判断も、不動産会社の見解を聞いてからのほうがいいでしょう。

まず、1社でも多く各社のサービスを比較してみてください。そして実は、マンション売却で大事なのは会社以上に「担当者」です。同じ不動産会社の中でも、担当してくれる人によって売れる価格やスピードには差が出ると考えたほうがいいでしょう。

専任媒介より一般媒介で

編集部

築古マンションなど売却しにくい物件は、一般媒介より専任媒介を選択をしたほうがいいという話をよく聞きます。媒介契約については、どのようにお考えですか?

丹さん

1社としか契約できない専任媒介。それに対して、複数社と契約できる一般媒介。私も本音を言えば、売主さんとは専任媒介でご契約したいところです。弊社とのみご契約いただければ、売却さえできれば必ず仲介手数料を受領できますからですね。
しかし売主さんからすれば、専任媒介はちょっと危険な契約にもなりえます。
専任媒介のメリットとして「1社にしたほうが不動産会社のやる気が出る」ということが良く言われていますが、これは営業トークだと私は思います。
不動産会社のやる気が出るメリットより「囲い込み」されてしまうリスクのほうを気にされるべきでしょう。

編集部

囲い込み……販売活動をする不動産会社が物件情報を囲ってしまう行為ですね。

丹さん

囲い込みの目的は、売主、買主、両者から仲介手数料を受領することです。物件情報自体は他社に開示したとして、買主の選別をする不動産会社もあります。

たとえば3,000万円で売りに出しているマンションがあって、自社のお客さんは2,900万円で買うと言っている。そして他社のお客さんは、3,000万円満額で買うと言っている。この状況下では、売主の立場からすれば、当然ながら3,000万円で買うと言っている方に売りたいですよね。

しかし、不動産会社の立場になって考えてみてください。
他社の3,000万円で購入するという買主さんでは、自社には買主からの仲介手数料が一銭も入りません。であれば、値引きはあるものの、自社で見つけた2,900万円で買うと言っている人を優先させたくなってしまうものなのです。

実際にこのようなケースでは、他社からの客付けを拒む不動産会社も多くいます。やり口は簡単です。他社の顧客の購入申し込みを、売主に伝えなければいいのです。売主さんからすればとんでもない裏切り行為のように感じると思いますが、残念ながら日常的にこのようなことが行われているのが今の日本の不動産業界の現状です。

編集部

専任媒介だと、囲い込みのリスクが上がると……そういうことですね?

丹さん

おっしゃる通りです。とくに築古マンションですと、価格が比較的に安いですよね。仲介手数料は一般的に「物件価格×3%+6万円」ですから、価格が安い物件ほど不動産会社の報酬は下がるわけです。

だからこそ、不動産会社は物件価格が安い物件ほど仲介手数料を2倍受領したいと思うのです。

そして専任媒介の「やる気が上がる」というメリットですが、これについては私は意味がわからないですね。(笑)

編集部

(意味がわからない……!そこまで言い切る……!)

丹さん

今の時代、買主に対して物件情報を認知させる方法はSUUMOやHOME’Sといったポータルサイトや、ほぼすべての不動産会社と物件情報を共有できるレインズというネットワークが主流です。

これらの媒体に掲載するのは、言ってしまえば不動産会社のやる気云々の問題ではなく、最低限の業務。もちろん鋭意営業活動してもらえるに越したことはありませんが、ネットが普及する前のように不動産会社の「やる気」さえあれば売れるという時代ではなくなりつつあります。

ですから、やる気がどうとかいう不動産会社の営業トークに乗せられるのではなく、私は売主の最大のリスクである「囲い込み」を避けるために、一般媒介で複数社に依頼するほうを選ぶメリットは大きいと思います。

担当者の「やる気」より能力を見定めるべき

編集部

具体的には、どのような不動産会社を選ぶべきでしょうか?

丹さん

築古マンションを売るうえでは、担当者の能力や知識が非常に重要になってきます。

ここまでお話させていただいたように、リフォームをどこまでするのか?どんな人が買主になるのか?を判断できるかも大事ですが「税制」についての知識が深いことも築古マンションを売却するうえでは大切です。

マンションは、基本的に築25年を超えてしまうと住宅ローン控除の適用外となります。一定の築年数を超えてしまうと住宅ローン控除が受けられない理由は、耐震性が認められないから。ただし、耐震基準適合証明書の発行履歴があるマンションについては、建築士に改めて調査を依頼すれば耐震基準適合証明書が発行でき、住宅ローン控除の適用要件を満たすことができます。

住宅ローン控除を受けられるかどうかというのは、買主さんにとっては非常に大きなポイントとなります。にも関わらず、この点をアピールしてくれない、あるいは耐震基準適合証明書の話もしてくない……という不動産会社はたくさんあります。

編集部

不動産会社の担当者の能力は、千差万別ということですね。

丹さん

やはり、不動産会社の担当者は税制の知識がある人ばかりではありません。税制だけでなく、住宅診断瑕疵保証なども併せて提案できる担当者であれば、築古マンションでも好条件で売れる可能性は高まります。

そもそも、不動産の広告を考えるのは営業担当者個人です。その担当者にこのような知識がなければ、物件の良さが引き立つ広告は作れません。

単に、マンション名と築年数、広さと立地を伝えるだけなら、素人でもできますよね。そうではなく、しっかりマンションをアピールできて、よりお得に、安心して購入できる方法を買主さんに伝えてこそプロの仕事です。売主さんからすれば、このような担当者と出会えるかが重要だといえます。

一括査定も活用して多くの不動産会社と接触を

丹さん

これから築古マンションを売ろうとしている方はとくに、多くの不動産会社、そして多くの営業担当者と接触してみてください。

マンションナビさんのような一括査定を活用するのも効果的だと思いますし、それ以外にも地域の不動産会社の情報をよくリサーチしてみるといいと思います。

そして、実際に不動産会社の営業担当者の話を聞いてみることがなにより重要です。

税制のことや保証のこと、リフォームの提案など、多角的な提案をしてくれるかどうかでその担当者の知識や能力を図れます。

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旧耐震基準(1981年以前築)のマンションにも出口はある

編集部

築古マンションの中でも特に古く、売りにくいとされる1981年以前に建築された旧耐震基準のマンションはどのように売却すればいいでしょうか?

丹さん

戸建てであれば、耐震補強工事をしたり解体したり、いくらでもやり様はあるのですが、マンションはなかなかそれができませんよね。さらに、旧耐震基準で建てられたマンションを今の耐震基準に適合させることはできませんので、どうやっても住宅ローン控除が適用とならないんです。

不動産を購入される方の多くは税優遇ありきで検討されますから、その時点で選択肢から外されてしまうわけです。

ですから、旧耐震の築古マンションを売却されるには、住宅ローン控除に重きをおいていない層をターゲットとするといいと私は思います。具体的にいえば、住宅ローン控除するほどのご年収がまだ無い方。主に、お若い方が該当するかなと思います。

この層のニーズにマッチさせるように、リフォームするならお若い方向けのデザインにしてみたり、畳や絨毯を全面フローリングに張り替えたりするなどですね。

編集部

なるほど。ターゲットを絞ると。

丹さん

ただこの場合にも、お金をかけすぎるリフォームは禁物です。リフォームやリノベーションに費用をかけすぎて、旧耐震基準ではないマンションより高く売らざるを得なくなってしまったら本末転倒です。

旧耐震のマンションでも、売却戦略がないということではありません。エリアや広さ、間取りによっても適した戦略というのは異なると思いますので、旧耐震基準のマンションを売るときにも大事になってくるのはしっかりターゲティングできる不動産会社なのか。担当者なのか。というところです。

取材後記:築古マンションの売却こそ不動産会社選びが大切

「築古マンションの売却こそ、多くの不動産会社の話を聞くべき」

このアドバイスは、なかなか不動産会社の経営者からは聞けない言葉なのではないでしょうか。丹さんは、ここがなにより重要だとおっしゃっていました。

築古マンションの売却では、まずリフォーム・リノベーションをどうするのか?どんな層が買ってくれるのか?媒介契約はどうしよう?……など、悩む点が多いことと思います。

悩みを悩みのままにするのではなく、複数の不動産会社の担当者の話を聞き、納得することが、後悔のない売却につながります。不動産会社選びには、ぜひマンションナビをご活用ください。

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この記事を書いた人

亀梨奈美のアバター 亀梨奈美 不動産ジャーナリスト/株式会社realwave代表取締役

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。

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