50代のマンション買い替え術|老後に備える住み替えガイド
子どもが独立し、仕事も落ち着いてきた50代。ふと、「この家は老後も本当に快適だろうか?」と考える方が増えています。
今の暮らしに違和感がある、住宅ローンに不安がある、老後の生活をもっとラクにしたい——そんな思いを持つ方のために、マンションの買い替え・住み替えに関する情報をまとめました。
このガイドでは、具体的な費用例や注意点を含めながら、50代・60代の住み替え成功のポイントをわかりやすく解説します。


50代・60代が住み替えを考える3つのタイミングとは?

今の家が「広すぎる」「古くなった」
子どもが独立し、部屋が余っている。階段の上り下りがつらくなってきた。そんなタイミングで住み替えを考える人が増えています。
駅近・医療機関が近い場所へ
老後の生活を考えると、徒歩で生活が完結する環境は重要です。駅から遠い郊外の一戸建てから、駅徒歩5分圏内のマンションへ移るケースが多くなっています。
経済的な見直しと資産運用
大きな家のままでは、管理費・修繕費・固定資産税などの負担が大きくなりがちです。買い替えによって年間20万円〜30万円のコスト削減ができることも。
住み替えで得られるメリットと注意したいポイント

50代・60代の住み替えは、ライフスタイルを見直す絶好の機会です。ここでは、住み替えによって得られる具体的なメリットと注意点を、例を交えてご紹介します。
暮らしの質が上がる
段差のないバリアフリー設計、エレベーター完備、オートロックや防災設備などが整ったマンションへ住み替えることで、安心感や快適さが格段に向上します。
【例】川崎市に住む60代夫婦は、築40年の階段しかない3階建てのマンションから、駅近でエレベーター付きの築10年のマンションに住み替えました。朝のゴミ出しがラクになり、宅配ボックスの導入で再配達ストレスも解消。ご主人は週3回の通院も、徒歩圏内に病院があることで負担が減ったそうです。
また、共有部分の管理が行き届いている物件に移ると、日々の暮らしの中で「きちんと整っている安心感」が得られ、気持ちにも余裕が生まれます。
ランニングコストを抑えられる
築年数が古く広さもあるマンションは、維持費がかさみがちです。住み替えによって、毎月の支出が目に見えて減るケースは少なくありません。
【例】築30年・80㎡のマンション → 築10年未満・60㎡の駅近コンパクトマンションに買い替えた場合
- 管理費:月2万円 → 月1.2万円(▲8,000円/月)
- 修繕積立金:月1.2万円 → 月8,000円(▲4,000円/月)
- 固定資産税:年20万円 → 年15万円(▲5万円/年) → 年間20万円近い節約が見込めます
【例】東京都板橋区のMさん(58歳)は、子どもが独立したのを機に70㎡超の古いマンションから55㎡の築浅物件に住み替え。管理費・修繕費・固定資産税など合わせて、年間で28万円の支出が減ったといいます。
その分、旅行や趣味の費用にまわすことができ、生活の充実度が上がったと実感しているそうです。
このように、住まいの見直しは家計全体の見直しにもつながります。
浮いたお金をゆとりある暮らしに使えるのは、住み替えの大きな魅力の一つです。
注意点:住宅ローンの審査が厳しくなる
主な制限
金融機関 | 完済年齢の上限 | 条件 |
---|---|---|
三井住友銀行 | 80歳未満 | 原則35年以内 |
みずほ銀行 | 80歳未満 | 年齢により短縮あり |
フラット35 | 原則80歳 | 団信加入が条件 |
【例】試算比較(3,000万円の借入)
55歳で借りると、25年以内のローンしか組めず、返済額は若い世代より高くなります。
年齢 | 金利 | 借入年数 | 月返済額 | 総返済額 |
---|---|---|---|---|
30歳 | 年1.0% | 30年 | 約96,500円 | 約3,474万円 |
55歳 | 年1.3% | 20年 | 約142,000円 | 約3,408万円 |
→ 月々約4.5万円の差。年金生活を考えると、無理のない返済計画が必要です。

50代からのマンション買い替えで失敗しないコツ

生活圏を重視して選ぶ
通勤の有無だけでなく、日常生活が快適に送れる環境かどうかがカギになります。駅近だけでなく、病院・スーパー・郵便局・ドラッグストア・公園などが徒歩圏内にあるかも確認を。また、坂道や段差の少なさなど、体力が落ちた将来を見据えた“歩ける環境”が大きな判断材料になります。 「駅近」「スーパー・病院が徒歩圏」「坂が少ない」など、老後の暮らしを見据えた場所選びが大切です。
設備や管理体制をチェック
室内設備が新しいことだけで判断せず、建物全体の管理状態や共用部の清掃状況も重要なポイントです。
特に50代以降の住み替えでは、以下のような設備が安心材料となります。
- エレベーターの有無・状態(非常時対応も含む)
- オートロック、防犯カメラの有無
- 管理人の常駐時間・管理会社の評判
- 災害時の備え(非常用電源や備蓄品)
将来的なリフォーム費用がかかりにくいことも大きなメリットです。 築浅でも管理がずさんな物件は避けましょう。
エレベーター・防災設備・共用部分の清掃状況なども確認を。
売却と購入のタイミングを相談する
「売却してから買う」か「買ってから売る」かの判断は、資金計画だけでなく精神的な余裕にも影響します。
買い先行の場合は、売却までの資金繰り(つなぎ融資など)に注意が必要です。
売却先行で一時的に仮住まいを挟むなら、引越し費用や二重生活の可能性も加味しましょう。
また、不動産市況(売り手市場・買い手市場)や金利動向も判断材料になります。
信頼できる不動産会社と一緒にスケジュールを立てましょう。 不動産市場は日々変動します。
「売ってから買う」か「買ってから売る」かも重要な判断です。地元に強い不動産会社の意見を参考にしましょう。
リバースモーゲージという選択肢も
ローンを使わずに住み替えを行いたい、または年齢の関係で借入が難しい方には「リバースモーゲージ」という選択肢もあります。
これは、自宅を担保にお金を借り、借入期間中は利息のみを支払い、契約者の死亡後に自宅を売却して一括返済する仕組みです。
【例】東京都内で築20年のマンションを所有している60代夫婦が、リバースモーゲージを利用して住み替え費用と老後の生活費に充てたケースも。月々の返済負担が抑えられ、子どもがいない世帯にとっては有効な資金活用方法となりました。
ただし、物件の所在地や築年数、金融機関の条件によって利用できない場合もあるため、事前に詳細な確認が必要です。

住み替えまでのTODOリスト
- 現在の自宅の査定を受ける ▶ マンション無料査定はこちら
- 手持ち資金と売却益から、購入予算を明確にする
- 自分が利用できる住宅ローンを事前審査で確認
- ライフプラン(年金・健康・介護)を見据える
- 専門家(不動産会社・FP・税理士)に早めに相談
マンションの買い替え・住み替えについてよくある質問
まとめ
50代・60代での住み替えは、「今より安心でラクな生活」を手に入れるための前向きな選択です。
費用の負担を減らしたい方も、生活スタイルを見直したい方も、住み替えをきっかけに暮らしの選択肢は大きく広がります。
はじめの一歩として、自宅の価格を知るところから始めてみましょう。