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不動産を売却する際、避けて通れないのが“価格交渉”です。
多くの買主は売出価格より安く買おうと「値引き交渉」を持ちかけてきます。
何の準備もないまま交渉に応じてしまえば、大幅な値下げを強いられるリスクも。
では、どうすれば納得できる価格で売却できるのでしょうか?
本記事では、不動産売却における価格交渉の基本から、売出価格の決め方、交渉のテクニック、よくある疑問への対処法まで、実践的に解説します。
不動産売却において、買主からの価格交渉(値引き)はほぼ確実に発生すると考えておきましょう。
特に中古住宅市場では、「売出価格=最終価格」ではなく、「ある程度の値下げを見越して提示されている」と捉えられているのが一般的です。
つまり、売主にとっては「いかに値引きを最小限に抑え、希望価格に近い金額で売却できるか」が勝負になります。
とはいえ、無理に交渉を拒否すれば、買主が離れてしまうことも。
そこで重要になるのが、価格交渉の基本的な考え方と、交渉を主導するための心構えです。
不動産売却の交渉は、相手との“駆け引き”であると同時に、戦略的な準備が結果を左右します。
次に、その交渉が実際にどのタイミングで発生しやすいのかを見ていきましょう。
不動産売却は、以下のような流れで進行します。
この中で、価格交渉が最も発生しやすいのは【5. 買付証明書の提出後】です。
買主が「この物件を購入したい」と正式な意思表示をするタイミングで、「購入希望価格」や「引き渡し希望時期」などの条件が提示されます。
ここで「想定よりも安い金額」が提示されることが多く、売主としては交渉に応じるか、断るか、あるいは条件を調整して折り合いをつけるかの判断が求められます。
また、売出しから1〜3ヶ月以上経って反響が少ない場合や、複数の購入希望者が現れた場合も、価格交渉が発生しやすいタイミングです。特に長期間売れ残っていると「値引きしないと売れないのでは?」と買主側が強気に出てくるケースもあるため、注意が必要です。
不動産売却において「いくらで売り出すか」は、成約価格にも大きく影響する最重要ポイントです。
なぜなら、買主からの価格交渉(指し値)を見越して、売出価格を設定するのが一般的だからです。
高すぎる価格は買主に敬遠される一方で、安すぎる価格は交渉余地を失い、損をしてしまうリスクもあります。
つまり、適切な売出価格の設定が、価格交渉を有利に進め、最終的な売却成功へとつながるカギとなるのです。
では、具体的にどのように価格設定を考えればよいのでしょうか?
売出価格を決めるうえで、まず押さえておくべきなのが「売却希望時期」です。
売却を急ぐか、じっくり時間をかけられるかによって、取るべき価格戦略は大きく異なります。
売却を急ぐ場合
転勤や住み替え、資金化の事情などで「できるだけ早く売りたい」場合には、相場よりもやや低めの価格で売り出す戦略が有効です。買主の目に留まりやすく、交渉にも柔軟に対応できるため、短期間での成約が期待できます。
時間に余裕がある場合
「なるべく高く売りたい」「時間がかかっても構わない」といった場合は、相場よりやや高めの価格でスタートする方法が適しています。交渉による値下げを前提に、ある程度の“余白”を持たせることができるからです。
いずれの場合も、不動産会社の査定価格や周辺相場、成約事例を参考にしながら、売却スケジュールに合った価格戦略を立てることが重要です。
不動産売却では、買主からの「値引き要求」はほぼ確実に発生します。つまり、最初から“交渉される”ことを想定して価格設定を行うことが、売主側が主導権を握るためのポイントです。
たとえば、「最終的に4,000万円で売りたい」と考えている場合、あらかじめ4,200万円で売り出すことで、交渉の余地を確保できます。そして、買主から「100万円値引きしてほしい」と要望が来た際も、「それなら4,100万円でどうですか?」といったように、柔軟に対応できるのです。
さらに、次のようなポイントも意識すると効果的です。
大切なのは、「どこまで値引きに応じるか」という自分の中の“限界ライン”を明確にしておくこと。
そして、買主の要望にすべて合わせるのではなく、価格以外の条件(引き渡し時期や設備など)も含めた総合的な交渉でバランスを取ることです。
価格交渉は、不動産売却において避けて通れない過程です。
とはいえ、買主の言いなりに値引きに応じてしまっては、本来得られたはずの利益を失ってしまいます。
ここでは、「できるだけ希望価格に近づける」ために、売主が実践できる3つの交渉テクニックをご紹介します。
価格交渉は「いつ応じるか」が極めて重要です。最も一般的な交渉のタイミングは、買主が内覧を終えた後、購入の意思を固めて「買付証明書」を提出する段階です。
このとき、買主は希望購入価格を提示してきますが、焦ってすぐに承諾するのはNG。価格や条件の擦り合わせは、購入意欲が高まっているタイミングを見極めて行うことで、売主側も交渉の主導権を握りやすくなります。
また、売却開始から3ヶ月以上経過しても問い合わせが少ない場合などは、市場の反応を見て価格を見直す“調整タイミング”と捉えることも一つの判断材料になります。
買主から「○○万円値引きしてほしい」と言われたとき、一度に全額を受け入れてしまうのは避けましょう。
交渉では、まず一部だけ譲歩する“小刻み対応”が効果的です。
たとえば、100万円の値引きを求められた場合、いきなり100万円引くのではなく、「まずは30万円までなら調整可能です」と段階的に提示することで、買主に「これ以上の値下げは難しそう」と思わせることができます。
さらに、以下のような対応も効果的です。
このように、売主側の戦略次第で、交渉の流れは大きく変わります。
価格の“端数”を上手に活用することも、交渉をスムーズに進めるための有効なテクニックです。
たとえば、3,080万円の物件を「ちょうど3,000万円にします」と提示すると、買主にとって「80万円も値引きされた」という印象が強まり、心理的なお得感を演出できます。
このテクニックは「価格帯のキリの良さ」が相手の印象に残りやすいという人間心理を利用したもので、交渉において価格インパクトを強調したい場面で特に有効です。
また、売出価格の設定時点で「3,280万円 → 交渉時に3,180万円」など、あらかじめ調整余地を織り込んでおくと、最終的に本当に売りたい価格に自然と誘導することも可能です。
価格交渉は不動産売却における重要な過程ですが、慣れていないと不安も多いものです。
ここでは、売主からよく寄せられるQ&Aをまとめました。
必ずしも値引きに応じる必要はありません。大切なのは、買主の提示価格が市場相場と比べて適正かどうかを見極めることです。たとえば、相場より大きく下回る希望価格であれば、根拠を持って「値引きには応じられません」と丁寧に伝えましょう。一方で、購入意欲が高く、条件次第で契約に至りそうな場合には、多少の値下げを検討するのも一つの判断です。
売主側が納得できないまま応じると、後悔につながる可能性があるため、自分の中の「最低ライン」を持っておくことが重要です。
可能性はありますが、現実的には難しいケースが多いです。特に中古物件市場では、「多少の値下げがあること」を前提に買主が動く傾向があるため、まったく交渉を受け付けない姿勢だと購入を見送られてしまうことも。
とはいえ、以下のような工夫をすれば、交渉なしで売却できる可能性は高まります。
こうした戦略で「買主に価格以上の価値を感じてもらうこと」が、交渉なしでの売却成功につながります。
交渉が思うように進まず、決裂しそうなときこそ冷静な対応が求められます。
以下のような視点を持って交渉を見直しましょう。
また、無理に交渉を成立させても、後々トラブルになったり契約解除に発展したりすることもあるため、「縁がなかった」と割り切る判断も時には必要です。
不動産売却における価格交渉は、成功すれば満足のいく取引につながりますが、対応を誤ると大きな損失につながるリスクもあります。
交渉は「避けられないもの」として捉え、売出価格の設定から準備を始めましょう。
そして、交渉のタイミングや手法をしっかりと理解し、主導権を握る姿勢が大切です。
最後に、「価格交渉=譲歩すること」ではなく、「希望条件に近づけるための対話の場」と考えることで、交渉に対するストレスも減り、冷静な判断ができるようになるでしょう。
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