マンションの売却と賃貸、どっちがお得? 費用やメリット・デメリットを徹底比較!
転勤や転職、家族構成の変化などがあると、今住んでいるマンションから引っ越さなくてはいけなくなることもあります。そんなとき、今まで住んでいたマンションは「売却」すべきか、「賃貸」に出すべきか悩んでしまう方も少なくありません。
本記事では、マンションの「売却」「賃貸」それぞれの費用やメリット・デメリットを徹底比較。「売却」「賃貸」それぞれに向いているケースも挙げますので、どちらか悩んでいる方はお役立てください。

マンションの売却と賃貸の費用比較

マンションを完全に手放す売却と、所有はしつつ人に貸し出して収入を得る賃貸では、必要な費用が大きく異なります。まずは、費用面でどのような違いがあるのか見ていきましょう。
マンション売却にかかる費用
マンションの売却にかかる費用は、主に「売却時に発生する費用」と「売却後にかかる費用」に分かれます。
売却期間中の費用
マンションの売却期間中に発生する費用は、次の通りです。これらの費用の合計は、マンションを売った金額のおよそ4%といわれています。
売却期間中に発生する費用 | |
仲介手数料 | 売却金額×3%+6万円(税別)が一般的 |
印紙税 | 売却金額によって数万円 ※電子契約の場合は非課税 |
抵当権抹消費用 | 1〜4万円程度 ※売却と同時に住宅ローンを完済する場合 |
住宅ローンの完済手数料 | 1〜5万円程度 ※売却と同時に住宅ローンを完済する場合 |

売却後の費用
マンションの売却に際して「譲渡所得(≒売却益)」が発生した場合には、譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得には、5年超の所有で20.135%、5年以下の所有で39.63%の税金が課税されるため、決して安くない費用です。ただし、マイホームの売却時には譲渡所得を3,000万円まで控除できる特例があるため、余程の利益が出ない限り課税されることはありません。また、居住中のマンションを売却した場合には、引っ越し費用もかかります。

- 譲渡所得税
賃貸運用時にかかる費用
マンションを賃貸に出すのにも、もちろん費用がかかります。マンションの賃貸にかかる費用を、賃貸前・賃貸中・賃貸後に分けて解説します。
賃貸開始前の費用
管理会社や仲介会社にマンションの入居者募集や賃貸借契約の仲介をお願いする場合は、仲介手数料がかかります。さらに、入居前には清掃や修繕が必要です。また、居住中のマンションを賃貸に出す場合は、引っ越し費用がかかります。
- 仲介手数料
- 修繕・清掃費
- 引っ越し費用
賃貸中の費用
マンションを賃貸している間は、当然ながら所有権を所持したままです。そのため、固定資産税が毎年かかり、毎月、管理費や修繕積立金が徴収されることは忘れないようにしましょう。
居室内の設備が故障した場合、修繕の義務は基本的に家主にあります。さらに、マンションを賃貸して収入を得たときの所得税や管理会社に支払う管理手数料も継続的にかかる費用です。
また、マンションの管理を管理会社に委託する場合は、委託手数料を支払わなければなりません。管理が不要の場合は管理会社に委託する必要はありませんが、賃貸物件が遠方にあったり、賃貸経営に不慣れであったりすれば管理会社に管理を委託した方が良いでしょう。
- 固定資産税
- 管理費・修繕積立金
- 所得税
- 設備修繕費
- 管理委託料
賃貸終了時の費用
マンションを次に借りてくれる人を探すためにも、入居者が退去したタイミングでは清掃や修繕が必要になります。また、改めて入居者を募集しなければならないため「賃貸前」にかかる費用と同様の費用がかかります。
- 清掃費
- 修繕費
- 仲介手数料
このように、賃貸に出す場合は収入が得られるだけでなく、なにかと経費がかさむ点に注意が必要です。
売却と賃貸、それぞれのメリット・デメリット
続いては、売却・賃貸のそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
マンションを売却するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・手離れがいい ・資産価値が低減する前に手放せる ・売却時に3,000万円特別控除を受けられる | ・現金が手に入る・賃料収入が得られるチャンスをなくす ・自身が再び住むこともできない |
マンションを売却する大きなメリットは、まとまった費用が得られることです。マンションを売れば、新居の購入費用の足しにもできます。また、売却後には納税や経営などの手間が一切なくなるため、手離れもいいといえるでしょう。
マンションを売却すれば賃料収入のチャンスがなくなりますが、マンションは基本的に売却時期が早ければ早いほど高額で売れるものです。もちろん景気や物価などにも左右されますが、マンションは基本的に築年数を重ねるごとに価値を落としていきます。数年後に売却したときには、資産価値が数百万円程度落ちている可能性も否めません。
さらに売却で譲渡所得が出た場合、3,000万円の特別控除が使えるのは「マイホーム」のマンションの売却に限られます。つまり、住まなくなってから3年を経過する日が属する年末以降に売却しても、3,000万円の控除の適用外となり、高額の納税を強いられる可能性があります。
そのため、マンションの「売却」か「賃貸」かを考えるときには、まず「今」いくらで売れるのかを把握し、将来的な資産価値の推移を含めて不動産会社と相談することをおすすめします。マンションナビなら、最短45秒で複数の不動産会社に査定依頼が可能。「売却と賃貸で悩んでいる」ということも伝え、プロの判断を仰いでみましょう。
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マンションを賃貸に出すメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・自己負担なしにローンが返せる | ・不労所得が得られる・賃貸管理には手間がかかる ・完全な不労所得とするには管理委託や税理士への委託が必要で費用がかかる ・空室で赤字になる可能性もある |
マンションを賃貸に出すメリットは、なんといっても不労所得が得られることでしょう。しかしそれは「100%」ではなく、赤字経営になってしまうリスクがあることを忘れてはいけません。
マンションを賃貸に出す上で難しいのは、空室リスクや手間を減らしながら収支のバランスを取ることです。空室リスクを減らすためには、不動産会社に仲介を依頼しなけばならず、管理や確定申告の手間を減らすためには、管理会社や税理士に業務を委託しなければなりません。
業務を委託しすぎても、経費がかさんで赤字になってしまうおそれがあります。一方、誰にも頼らず賃貸経営するとなると、自分の手間が増えるとともに、健全な経営ができなくなってしまう可能性が。このバランスをどう差配するかが経営手腕ともいえます。
投資家などマンション経営に慣れた人ならまだしも、居住用マンションの売却か賃貸で悩んでいる人が満足な経営をするのはなかなか難しいと言わざるを得ません。

売却が向いているケースとは?
それではここからは、マンションの「売却」「賃貸」それぞれに向いているケースについて解説していきます。まずは、マンションの「売却」に向いている3つのケースを見ていきましょう。
ケース1.賃貸需要が低いエリアにあるマンション
賃貸経営で成功するには「立地」がなにより重要です。いくら管理会社や不動産会社の能力が高くても、借りてくれる人が少ないエリアでは収益化できません。
日本では、すでに人口減少が始まっています。少子高齢化も顕著で、今後ますます賃貸需要は低減していくものと考えられます。賃貸経営には、少なからず費用がかかります。「貸せば儲かる」と考えがちですが、賃貸需要が低いエリアでは逆に赤字になってしまうおそれがあります。
ケース2.築年数が古く、資産価値が下がりやすい場合
高経年のマンションは賃貸需要が低いことに加え、マンションの建て替えや取り壊しの話になれば、一時金として数百万円から一千万円単位のお金が必要になることもあります。修繕積立金も、経年につれて増額していく傾向にあります。
「今」売っておかなければ将来的に売却が難しくなると考えられるマンションは、売却価格や維持・管理費用を踏まえれば、できるだけ早くに手放してしまった方がいいでしょう。

ケース3.今後居住予定がない場合
現在、居住しているマンションは、賃貸に出すことを前提に選んでいないはずです。自分にとって魅力的な立地や条件のマンションであったとしても、家を借りたいと考えている方にとっても魅力的であるとは限りません。赤字にならなかったとしても、収益が出なかったり、手間ばかりがかかってしまったりする可能性は決して低くないと考えられます。
収益が出なかったとしても、今後住む予定があるのであれば、空き家になっている間の維持費の足しにすることもできることから利益があるといえるでしょう。一方、今後住む予定がないのであれば、初期費用やランニングコスト、運用中の手間を上回るだけの利益を出すのは容易ではありません。
賃貸が向いているケースとは?
一方で、マンションの「賃貸」に向いていると考えられるのは、次のようなケースです。
ケース1.賃貸需要が高いエリアにあるマンション
- 駅前
- 学校の近く
- 会社が多く集まるエリア
このようなエリアにあるマンションは、賃貸需要に期待できます。賃貸経営において最も重要なのは、いかに空室期間を短くできるかです。いくら利回りが高くても、空室期間の収入はゼロ。賃貸需要が高いエリアであれば、賃料設定さえ誤らなければ低い空室率を維持できます。
ケース2.転勤や一時的な転居で将来的に住む予定がある場合
転勤など期間が決まった転居で、将来的にマンションに戻ってくるのであれば、転勤の間だけ賃貸に出す選択をされてもいいでしょう。
マンションが空き家になっている間も、管理費や修繕積立金、固定資産税や都市計画税などの維持費はかかり続けます。また、人が住まなくなったことで日常的に清掃や換気がされなくなると、住まいは急速に劣化が進むものです。賃貸経営によって儲からなかったとしても、維持費の足しにすることができて住まいが自ずと維持・管理されるということを考えれば賃貸に出すメリットは大きいと考えられます。
ただし、その場合には「賃貸借契約」にお気を付けください。一般的な賃貸借契約は、基本的に家主の都合で入居者を退去させることはできません。2年や3年で退去してもらいたいときには「定期賃貸借契約」を締結し、戻ってきたときにはスムーズに退去してもらえるようにしておきましょう。

ケース3.賃貸運用後に高値で売却が見込める場合
- 近隣で再開発が予定されている
- ブランドマンション
- タワーマンション
これらのマンションは、今売却したとしても高価格で売れることに期待できますが、賃貸経営を終えてマンションを売却するときにも好条件で売却できる可能性が高いと考えられます。
価値が上がっていく間、あるいは維持されている間に収入が得られれば、すぐに売らずに所有し続ける価値は大きいといえるでしょう。
マンションを賃貸に出すときに気を付けたい「ローン」のこと

マンションを賃貸に出すときに住宅ローンが残っている状況では、基本的にそのままでは賃貸に出せません。
その理由は、住宅ローンは「自己居住用物件への融資」だからです。住宅ローンを借り入れたまま賃貸経営を始めるとなると、「違約」とみなされ金融機関から残債の一括返済を迫られることにもなりかねないため注意が必要です。
ローンの借り換えを検討する
ローンを借り換える場合は、住宅ローンを借りたときのように金利タイプや返済期間、借入額を検討し、改めてローンを契約します。今のローンは、新たな融資で完済する形となります。借り換え時には手数料などが改めてかかり、さらに投資用ローンの金利は住宅ローンより高い点もあらかじめ認識しておきましょう。
少しでも低い金利で投資用ローンに借り換えたい方はインベースの借り換えサービスをご検討ください。
オンライン上で、複数金融機関を比較して一番条件の良い銀行へ申込手続きのサポートを行ってくれます。まずは借り換え時にいくら費用がかかるか、今の状態で借り換えができるのか確認したいと思っている方も無料WEB診断で借り換えにかかる費用を含む提案書の作成や事前審査まで行ってもらえるため、一度申し込んでみることをおすすめします。
「一時的な転勤」では住宅ローンの継続利用が認められることも
転勤などで一時的にマンションを貸し出す場合には、住宅ローンのまま賃貸に出すことが認められる可能性があります。この場合は、ローンを借り換える必要はありません。
しかし、無断で貸し出すと契約違反になるため、どのような状況であっても住宅ローンを借りている金融機関に相談しましょう。また、賃貸に出している間は住宅ローン控除が受けられない点にも注意が必要です。
マンションの「売却」と「賃貸」を同時に検討する場合の注意点

賃貸と売却どちらがいいか判断できない!



どっちでもいいから、買い手or借り手がついたら決断してしまいたい
このような状況では、「売却」と「賃貸」いずれの募集も同時にかけることが可能です。ただし売却と賃貸の同時進行には次のような注意点があります。
注意点1.媒介契約の選び方が重要
マンションの「売却」と「賃貸」の同時募集は可能なものの、不動産会社と締結する媒介契約の種類によっては「違約」と判断されてしまう可能性があります。
不動産会社に売却を依頼するときの媒介契約の種類は、次の通りです。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
このうち、「専任」と「専属専任」については、同時に複数社への依頼が禁止されています。
これは売却に限ったものではありますが、専任や専属専任媒介契約を締結した不動産会社が、賃貸が先に決まってしまった場合に「話が違う!」と言ってこないとも限りません。そのため、トラブルを避けるためには一般媒介契約で売却を依頼した方が賢明といえるでしょう。


注意点2.同じ不動産会社に依頼すると売却を優先させられてしまうことも
売買仲介、賃貸仲介いずれも行っている不動産会社には、1社に売却も賃貸も任せることができます。しかし、賃貸仲介の手数料は売買と比較して安いため、売却の方を優先して販促する不動産会社がいるかもしれません。参考までに、「売買金額3,000万円」と「家賃12万円」の物件を仲介したときの一般的な仲介手数料の差は次の通りです。
- 売買金額3,000万円の仲介手数料:96万円(税別)
- 家賃12万円の仲介手数料:6万円~12万円(税別)
やはり実際の手数料を見ても、売買仲介の方が不動産会社にとって魅力的に映ってしまう可能性は否めません。売却を優先してほしくないのなら、売却と賃貸の仲介を別業者に頼むことも検討しましょう。その場合には、先述した媒介契約の種類にお気をつけください。
注意点3.居住中の内覧対応
売却と賃貸、同時に募集をかけるとすると、内覧対応の数が多くなりがちです。売却だけだとしても、成約までに10件以上の内覧を対応するのは珍しくありません。賃貸の内覧と合わせたら、短期間のうちに20件、30件の内覧を対応しなければならない可能性もあります。
よくある質問
売却か賃貸かを決める際に役立つシミュレーション
売却と賃貸、どちらが得かどうかはマンションによって異なります。経済的にどちらが得か見極めるには、以下のシミュレーションをしてみましょう。
手残りと利回り
手残り額=査定額ー(査定額×4%)
利回り=(賃料査定額×12)÷売却査定額
たとえば、3,000万円の査定額の不動産の手残りは「3,000万円−120万円」で2,880万円程度と推測できます。ただし、「査定額=売れる金額」ではないため、あくまで目安として認識しておきましょう。
一方、売却査定額が3,000万円、賃料査定額が8万円/月だった場合の利回りは「96万円÷3,000万円」で3.2%となります。中古マンションの利回りは4〜5%程度のため、この割合を下回り、なおかつ賃貸需要が見込めないようであれば、貸すことがお得とは言いがたいといえるでしょう。
長期的なリスクとリターン
マンションを賃貸に出す場合は、査定時の賃料が維持できるとは限りません。一概にはいえませんが、賃料は10年経過するとと1割程度低くなると言われています。つまり、年間1%程度の減価です。また、一定程度、空室率も加味しておく必要があるでしょう。空室率も一概にはいえませんが、区分マンションは5%程度を想定しておくのが無難です。加えて、経費率は賃料収入の15〜20%が目安となっています。
以上のことを踏まえると、運用期間の収益は以下の算式でざっくりと試算できます。
N年目の年間純収益 = 初期月額賃料 × (1 – (N-1) × 家賃下落率<1%程度>) × 12ヶ月 × (1 – 空室率<5%程度>) × (1 – 経費率<15〜20%程度>)
ただし、家賃の下落率や空室率、経費率については地域や築年帯によって大きな差があります。詳細な試算は、地域の不動産流通に詳しい不動産会社に任せたほうが良いでしょう。
マンションの「売却」と「賃貸」どっちがお得?まとめ
マンションの売却と賃貸どっちがお得?という疑問に対しては「物件や状況による」としか回答できません。
ただ、賃貸経営にはリスクがつきものです。売却せずに賃貸に出せば、家賃収入が得られる可能性はあるものの、逆に赤字経営になってしまう可能性あります。
さらに賃貸に出すには、ローンの借り換えや管理会社への業務委託、確定申告が必要となり、大きな手間にもなります。賃貸経営は、リスクと労力を把握した上で始めなければなりません。
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