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「マンションを売却する年の固定資産税も支払う必要はあるのだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか?
マンションを売却する場合も固定資産税を支払いますが、全額を負担する必要はありません。
今回は、固定資産税の計算方法や、マンション売却時の精算方法をまとめました。
固定資産税とは、土地や建物などの不動産(固定資産)を所有する人に対して、自治体(市区町村)が課税する税金です。毎年1月1日時点で、固定資産課税台帳に登録されている人に課税されます。
固定資産税の納税通知書は、毎年4〜6月ごろに不動産を所有する人に対して振込用紙とともに郵送されます。
納付期限は、自治体によって異なります。東京都における2022年(令和4年)の納付期限は、以下の通りです。
固定資産税は、毎年1月1日の時点で固定資産を所有している人の全員に課税されます。
対して都市計画税は、市街化区域にある土地や建物(マンション・戸建)を所有している人に課税される税金です。所有する固定資産が市街化区域外にある場合、都市計画税はかかりません。
「市街化調整区域」は市街化を抑制するための規制のあるエリアで、基本的には建物を建てられない地域です。
固定資産税と都市計画税のどちらも、該当する固定資産を所有する限り、毎年支払いが必要となります。
マンションを売却する年の固定資産税は、売主に納税する義務があります。そのため、売却の際は一般的に売主と買主のあいだで固定資産税の精算が行われます。
固定資産税の納税通知書は、1月1日時点でマンションを所有していた人に送付されます。そのため、マンションを売却する年の固定資産税を納める義務があるのは、買主ではなく売主となります。
しかし、マンションを1年間所有するわけではないにもかかわらず、売主が1年分の固定資産税をすべて負担するのは納得ができませんよね。
そこで、マンションの売買では、売主と買主の所有日数に応じて固定資産税をお互いに負担するのが一般的です。
固定資産税を日割り計算する際は、起算日を決める必要があります。たとえば、起算日が1月1日の場合、1月1日から引渡し日の前日までの分を売主が、引渡し日以降から年末までの分を買主がそれぞれ負担します。
起算日は、1月1日または4月1日のどちらかで不動産会社によって異なります。関東では1月1日、関西では4月1日が一般的です。
マンションを売却する際は、固定資産税を精算する際の起算日がいつなのかを、不動産会社に確認しておきましょう。
固定資産税や都市計画税は、土地と建物それぞれの課税標準額に、所定の税率をかけて算出されます。
課税標準額は、税額を計算する際に基礎となる金額のことです。固定資産税評価額をもとに、軽減措置や経年減価などが考慮されて決まります。
固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際の基準となる評価額です。固定資産税や都市計画税だけでなく、不動産登記をする際の「登録免許税」や、不動産を購入した人が納める「不動産取得税」などを算出する際にも用いられます。
固定資産税評価額の目安は、土地の場合、公示地価の約70%です。仮に公示地価が1,000万円前後であれば、土地部分の固定資産税評価額は700万円が目安です。
公示地価とは、適正な地価の形成に役立てるために国が公表しているもので、一般的な土地売買の際の指標や、公共事業の取得価格の基準になります。
建物の固定資産税評価額は、マンションの規模や構造、築年数などによって決まります。建物は土地と違って経年劣化していくため、築年数の経過したマンションは、固定資産税評価額が低くなるのです。
なお、固定資産税評価額は、3年に1度の頻度で評価替えによって金額が変更されます。
固定資産税は、土地と建物のそれぞれで税負担を軽減できる措置が実施されています。
住宅が居住用である場合、土地部分の固定資産税は、以下のように土地面積に応じた軽減税率が適用されます。
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
小規模住宅用地 (200m²以下の住宅用地) | 固定資産税評価額 × 1/6 | 固定資産税評価額 × 1/3 |
一般住宅用地 (200m²を超える住宅用地) | 固定資産税評価額 × 1/3 | 固定資産税評価額 × 2/3 |
建物部分の固定資産税については、2024年(令和6年)3月31日までに新築された物件で、は、固定資産税額が1/2となります。軽減税率が適用される年数は、以下の通りです。
長期優良住宅 | 左記以外の一般住宅 | |
---|---|---|
戸建て | 新築から3年 | 新築から5年 |
マンション等 | 新築から5年 | 新築から7年 |
※長期優良住宅とは劣化対策、耐震性、可変性、バリアフリー性などが所定の基準を満たした住宅
※マンション等とは3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅
ただし軽減措置を受けるためには、新築物件が以下の両方を満たしている必要があります。
また軽減措置の対象となるのは、床面積1戸あたり120㎡相当分までです。
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ここで、固定資産税の計算方法を、以下のモデルケースを用いて解説します。
以上のケースで、新築マンションを購入した場合と築6年の長期優良住宅ではないマンションを購入した場合とで、固定資産税を比較していきます。
新築マンションにおける固定資産税を計算した結果は、以下の通りです。
築6年の中古マンションでは、建物部分の固定資産税評価額に、経年による減価を考慮する必要があります。
東京都の「経年減価補正率表」によると、6年後の非木造建物減価補正率は0.8335であるため、建物部分の固定資産税評価額は833万円となります。
また築6年の長期優良住宅ではない中古マンションの固定資産税は、土地部分の軽減措置は適用されますが、建物部分には適用されません。
このように築6年目の中古マンションは、建物の軽減措置がなくなるため、新築時よりも固定資産税が高額になることがあります。
では、固定資産税の日割り計算は、どのように行うのでしょうか?以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
上記の条件におけるマンションの所有期間は、売主が1月1日〜5月31日までの150日間、買主が6月1日〜12月31日までの215日間です。よって、売主と買主が負担する固定資産税は、それぞれ以下の通りです。
すでに売主が1年分の固定資産税を支払っている場合、買主が売主に70,685円を支払って精算します。
固定資産税の計算方法は複雑なため、自分で計算するよりも、マンションの仲介を依頼している不動産会社に聞くのがスムーズです。
不動産会社は、契約の際に必要となる「重要事項説明書」に記載する固定資産税評価額をもとに固定資産税を計算しています。信頼できる不動産会社の担当者は、固定資産税の税額や買主との精算方法をわかりやすく説明してくれるでしょう。
また信頼できる不動産会社を探して仲介を依頼することで、マンションを高値で売却してもらえる可能性が高まります。
信頼できる不動産会社を探すときは、複数社にマンションの査定を依頼すると良いでしょう。良い不動産会社ほど、査定の根拠が明確であり、売却までの道筋をわかりやすく提案してくれるためです。
一度の査定依頼で複数社を比較できる一括査定サービスを活用すると、効率的に売却活動を進めることができます。
マンションを売却する年の固定資産税は、売主が全額を支払うためです。売主と買主が公平に固定資産税を負担するために精算が行われます。
固定資産税の精算金額は、引渡し日と起算日をもとに日割り計算します。買主が売主に支払う金額は、マンションの引渡し日から起算日の前日までの期間分となります。起算日は、一般的に1月1日または4月1日のどちらかです。
売却するマンションが市街化区域にある場合、都市計画税も精算の対象となります。精算する金額の計算方法は、固定資産税と同じです。
固定資産税の日割り計算による精算は、法律で定められているわけではありません。そのため、精算を行わず売却する年の固定資産税をすべて売主が負担することも可能です。
マンションを売却して得た利益(譲渡所得)は、譲渡所得税の課税対象です。固定資産税の精算金は、マンションの売却金額とともに譲渡所得の収入金額に加えられるため、譲渡所得税がかかることがあります。
固定資産税の計算方法や軽減措置の適用条件、売主と買主での精算などを正確に知るには、不動産会社の協力が不可欠です。
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保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。
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