マンション売却時に固定資産税はどうなる?計算方法・シミュレーションも解説!
固定資産税は、1月1日時点で固定資産を所有する人に課せられる税金です。そのため、マンションの売主は原則として売却する年の分の固定資産税を納める義務があります。
しかし、マンションの売買契約を結ぶ際は、売主と買主のそれぞれが負担する固定資産税を計算して精算するのが一般的です。
今回は、固定資産税の精算金や税額の計算方法などについて詳しく解説します。

固定資産税とは不動産を所有している人が支払う税金
固定資産税は、毎年1月1日時点でマンションや土地などの不動産(固定資産)を所有する人に対して、自治体(市区町村)が課税する地方税の1種です。
固定資産税の税額は、土地と建物それぞれの固定資産税評価額に所定の税率をかけて計算します。
固定資産税評価額は、各自治体が算出する土地や建物の評価額であり、固定資産課税台帳に記載されています。
固定資産税の納税通知書は、毎年4〜6月ごろに不動産を所有する人に対して振込用紙とともに郵送されます。
納付期限は、自治体によって異なります。東京都における2024年(令和6年)の納付期限は、以下のとおりです。
- 第1期:2024年(令和6年)6月1日から7月1日まで(納期限7月1日)
- 第2期:2024年(令和6年)9月1日から9月30日まで(納期限9月30日)
- 第3期:2024年(令和6年)12月1日から12月27日まで(納期限12月27日)
- 第4期:2024年(令和6年)2月1日から2月28日まで(納期限2月28日)
※出典:東京都主税局
固定資産税と都市計画税の違い
所有するマンションが市街化区域にある場合は都市計画税も課税されます。
固定資産税は、不動産を所有する人のすべてに課税されます。それに対し、都市計画税が課税されるのは、市街化区域にある不動産を所有する人のみです。
売主と買主のどちらが払う?マンション売却時の固定資産税
本来、マンションを売却する年の固定資産税を納める義務があるのは売主であり、買主に納税義務はありません。
しかし、ほとんどの不動産取引では、売主と買主が負担する割合を取り決めて契約の際に精算します。
売主と買主で日割り精算が基本
マンションの売却時に固定資産税を精算する場合、引き渡し日を基準として売主と買主が負担する金額を日割り計算して決めるのが一般的です。
日割り計算によって負担割合を決める場合、売主は引き渡し日以降の日数に相当する分を精算金として買主に支払ってもらえます。
負担割合は起算日をもとに決められる
売主と買主が負担する割合を計算する際は、起算日を設定します。
起算日の設定は不動産会社や地域などで異なりますが、通常は1月1日と4月1日のどちらかです。関東では1月1日、関西では4月1日に設定されるケースが多いようです。
たとえば、起算日が1月1日の場合、1月1日から引渡し日の前日までの分を売主が、引渡し日以降から年末までの分を買主がそれぞれ負担します。
固定資産税の計算方法
固定資産税や都市計画税は、土地と建物それぞれの課税標準額に所定の税率をかけて算出されます。
- 固定資産税:課税標準額×1.4%
- 都市計画税:課税標準額×0.3%
※税率は自治体によって異なる場合があります
課税標準額は、税額を計算する際に基礎となる金額のことです。固定資産税評価額をもとに、軽減措置や経年減価などが考慮されて決まります。
固定資産税評価額とは、固定資産税や不動産取得税などを決める際の基準となる評価額です。
固定資産税評価額の決まり方
固定資産税評価額は、市町村が算出する不動産の価格であり、実際の不動産の価値や市場価格などとは異なります。
固定資産税評価額の目安は、土地の場合、公示地価の約70%です。仮に公示地価が1,000万円前後であれば、土地部分の固定資産税評価額は700万円が目安です。
建物の固定資産税評価額は、マンションの規模や構造、築年数などによって決まります。建物は土地と違って経年劣化していくため、築年数の経過したマンションは、固定資産税評価額が低くなるのです。
なお、固定資産税評価額は、3年に1度の頻度で評価替えによって金額が変更されます。
マンションの土地部分の固定資産税
マンションの場合、土地(敷地)部分の固定資産税は「全体の敷地面積×持分割合(敷地権割合)」に課税されます。
敷地権割合は、区分所有者が権利を持つ敷地の割合です。「所有するマンションの床面積÷マンション全体の専有部分の床面積」で求められます。
固定資産税の軽減措置
固定資産税には税負担を軽減できる措置があります。
ここでは、固定資産税の軽減措置である「住宅用地の課税標準の特例措置」と「新築住宅に係る税額の減額措置」について解説します。
住宅用地の課税標準の特例措置(土地)
住宅が居住用である場合、土地部分の固定資産税は、以下のように土地面積に応じた軽減税率が適用されます。
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
小規模住宅用地 (200m²以下の住宅用地) | 固定資産税評価額 × 1/6 | 固定資産税評価額 × 1/3 |
一般住宅用地 (200m²を超える住宅用地) | 固定資産税評価額 × 1/3 | 固定資産税評価額 × 2/3 |
マンションのような集合住宅の場合、住戸の数×200㎡までが小規模住宅用地となります。
たとえば、マンションの総戸数が100戸の場合、小規模住宅用地となるのは「100戸×200㎡=20,000㎡」までの敷地です。
これは言い換えれば、区分所有者が敷地権を持つ敷地面積(マンション全体の敷地面積×持分割合)が200㎡以下の部分が小規模住宅用地になるということです。
新築住宅に係る税額の減額措置(建物)
建物部分の固定資産税については、2026年(令和8年)3月31日までに新築された場合、軽減措置により税額が1/2となります。
たとえば、建物部分の固定資産税評価額が1,000万円の場合、本来の税額は「1,000万円×1.4%=14万円」ですが、軽減措置が適用されるとその半額の7万円となります。
軽減税率が適用される年数は、以下のとおりです。
認定長期優良住宅※ | 左記以外の一般住宅 | |
---|---|---|
戸建て | 新築から5年 | 新築から3年 |
マンション等※ | 新築から7年 | 新築から5年 |
※長期優良住宅とは劣化対策、耐震性、可変性、バリアフリー性などが所定の基準を満たした住宅
※マンション等とは3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅
マンションが認定長期優良住宅の基準を満たしている場合、通常よりも2年長く軽減措置が受けられます。
固定資産税と精算金の計算シミュレーション
では、マンションを売却するとき固定資産税はいくら戻ってくるのでしょうか。以下のモデルケースを用いて固定資産税の税額と精算金額をシミュレーションしてみましょう。
- 築年数:8年
- 土地の固定資産税評価額:900万円
- 建物の固定資産税評価額:1,500万円
- 引き渡し日:7月1日
マンションの敷地はすべて小規模住宅用地であり、土地部分の固定資産税が1/6に減額されるとします。
起算日が1月1日と4月1日である場合の固定資産税と精算金は以下のとおりです。
固定資産税を計算
まずは当該マンションの固定資産税を求めます。計算結果は以下のとおりです。
- 土地:900万円×1/6×1.4%=21,000円
- 建物:1,500万円×1.4%=210,000円
- 合計:21,000円+210,000=231,000円
起算日が1月1日である場合の精算金
続いて、算出した税額を日割り計算します。
起算日が1月1日、引き渡し日が7月1日の場合、所有期間は、売主が1月1日〜6月30日までの181日間、買主が7月1日〜12月31日までの184日間です。
よって、売主と買主が負担する固定資産税は、それぞれ以下のとおりです。
- 売主:231,000円×181日/365日≒114,551円
- 買主:231,000円×184日/365日≒116,449円
このケースではマンションの売却時に買主から116,449円を支払ってもらえます。
起算日が4月1日である場合の精算金額
起算日が4月1日である場合、精算金はいくらになるのでしょうか。
先ほどのケースと同様に引き渡し日が7月1日の場合、売主は4月1日〜6月30日までの91日、買主は7月1日〜翌年3月31日までの274日分を負担します。
それぞれの負担金額は以下のとおりです。
- 売主:231,000円×91日÷365日≒57,592円
- 買主:231,000円×274日÷365日≒173,408円
固定資産税や引き渡し日が同じでも、起算日が4月1日になると買主から受け取れる精算金は173,408円に増えました。
このように、起算日の設定によって精算金は異なります。マンションを売却するときは、起算日がいつなのかを不動産会社に確認し、必要に応じて買主と交渉しましょう。
マンション売却時の固定資産税についてよくある質問
固定資産税まとめ
マンションを売却する年の固定資産税を納める義務があるのは原則として売主ですが、実際には売買契約時に買主が負担する分を支払ってもらえるケースがほとんどです。
多くの場合、精算金は引き渡し日と起算日を基準に日割り計算されます。起算日は1月1日または4月1日のどちらかが多いですが、買主との話し合いにより異なる日に設定することも可能です。
マンションを売却するときは、不動産会社にも相談のうえ固定資産税の精算方法を買主とよく話し合い、合意した内容を契約書に記載しましょう。
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