マンション売却の際に避けるべき主要な注意点

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マンション売却の失敗は、金銭的な損失にも直結します。失敗を回避するためには、マンション売却の流れや費用、失敗事例などの事前知識を付けることが非常に重要です。

そこで本記事では、マンション売却時に避けるべき主要な注意点していきます。

目次

注意点①適切な価格設定を行う

中古マンションには「定価」がないため、売主が自由に値付けすることができます。とはいえ、相場を逸脱する金額ではなく「適正」な価格で売り出してこそ、売主の利益が最大化します。

過大評価と過小評価のリスク

相場を上回る金額で売り出すと、やはり売却には時間を要します。時間がかかることを覚悟して高値で売り出すのも戦略の一つではありますが、価格の微妙な調整ができるのも「適正価格」を把握してこそです。

逆に相場より安い金額で売り出せば早期売却も見込めますが、売主の利益が損なわれてしまうというのは言うまでもありません。

「早く売りたい」「高く売りたい」など売主にも事情や意向があるでしょうが、その希望を叶えるためにもまずは適正価格を知ったうえで戦略を練る必要があるのです。

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マンション相場分析の重要性

不動産会社に査定を依頼する前には、売主自身もある程度、相場観を養っておくべきです。

「いくらで売れるか」は、不動産会社に査定依頼をすることで知ることはできるものの、査定額は各社によって差が生じます。マンションナビをご利用いただいた方の中でも、査定額に800万円もの差が生じたケースがありました。

査定額とは、その金額で売れることが保証された金額ではありません。各社の見解を聞いて、その内容を理解し、適切な不動産会社を選定するためにも、売主も次のような方法である程度の相場観を養っておきましょう。

注意点②媒介契約の選択を自身のニーズに合わせて選ぶ

信頼できる不動産会社が見つかれば、続いて「媒介契約」を締結します。

媒介契約とは、簡単にいえば「このマンションの売却をお願いしますよ」と依頼するための売主と不動産会社の契約です媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」という3つの種類があります。

媒介契約ごとの違い

媒介契約ごとの違い
レインズとは?

レインズとは、不動産業者のみが閲覧できる物件情報共有システムのこと。不動産取引の適正化と円滑化を目的としており、市場に流通している物件情報を登録・検索することができる。

上記のように、媒介契約の種類によって売主・不動産会社の義務や制限の範囲が異なります。最も大きな違いは、売主が複数の不動産会社と媒介契約を締結できるかどうか。すなわち、媒介契約の種類によって1社にしか売却を任せられないのか、2社、3社……に売却を任せられるのかが決まるわけです。

複数社と媒介契約が締結できるのは、一般媒介契約のみです。一見すると、複数社に任せられる一般媒介契約が売主のメリットが大きい契約だと考えられますが「売却しなければならない」という責任が複数社に分散される契約との見方もあります。

マンションの特徴や売主の意向によって、向き不向きの媒介契約は異なります。不動産会社は基本的に自社のみに依頼してもらえる専属専任媒介や専任媒介を勧めてくるものですが、それぞれの媒介契約の特徴をよく理解して選択するようにしましょう。

媒介契約を選ぶ際のチェックリスト

媒介契約の種類に悩む方は、以下のチェックリストから自分にあった媒介契約を見極めてみましょう。

チェックリスト向いている媒介契約
複数社に依頼したい一般媒介契約
レインズに登録してほしくない一般媒介契約
親戚や知人にマンションを買ってもらう可能性がある一般媒介契約・専任媒介契約
売却に注力してもらいたい専任媒介契約・専属専任媒介契約

注意点③不動産会社の選び方を知っておく

不動産会社は、マンションを売却するうえでの重要なパートナーとなります。実際に値付けをしたり、誰に売るか決めたりするのは売主ですが、不動産会社の姿勢や能力によって売却時期や金額は大きく変わってきます。

評判と実績のチェック

一口に不動産会社といっても、主に投資物件を扱っている不動産会社もあれば、売却より購入の仲介を得意としてい流不動産会社もあります。居住用のマンションを売るなら、その実績が多い不動産会社に依頼することが大切です。

不動産会社のホームページやチラシを見れば、大体の特徴はつかめます。また、中立性の高いメディアやサービスを活用すれば、その不動産会社を利用した方の生の声も見ることもできるでしょう。

「規模」や「知名度」だけで不動産会社を選ぶのではなく、評判や実績を見たうえで自分に合っているかどうか判断することが大切です。

不動産会社を選ぶ際に気を付けること

不動産会社を選ぶ際には査定依頼をするのが一般的ですが、査定依頼の目的は少しでも高い査定額を出してくれる不動産会社を探すためではありません。査定額は、その金額で売れることが保証されているものではなく「これくらいで売れるであろう」という目安にすぎないからです。マンションを査定する目的は、いくらで売れるかを予測し、販売価格および販売戦略を練ることにあります。

査定額は各社によって差があり、さらに販売戦略の見解も各社によって分かれます。したがって、査定依頼をするときは1社ではなく、必ず複数社に依頼するようにしましょう。1社のみの査定額や見解を鵜呑みにしてしまうのは危険です。

複数社の査定を受け、マンションのどんなところが評価されるのか、市況はどうなのか、いくらで売り出していくらで成約にいたるのか……といったことを売主自らが判断するため、必ず複数社に査定を依頼するようにしましょう。一括査定は、複数社に査定する手間と不動産会社選びを助けるための仕組みです。マンションナビは、マンション専門の一括査定サイト。最大6社にまで一括で査定依頼が可能です。マンション売却をお考えの方はぜひご活用ください。

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注意点④内覧の準備を念入りにしておく

不動産会社と媒介契約を締結したら、いよいよマンションの販売活動が始まります。

販売が始まると、程なくしてマンションに興味を持った人から「実際に見てみたい」という申込みが入ります。子運輸検討者が実際に物件を見ることを「内覧(内見)」といいます。内覧をせずにマンションを購入する人はまずいません。内覧は「検討者」を「買主」に変えるための最重要局面です。内覧の成功なくしてマンションの売却はありません。

良い印象を与えるためのポイント

内覧で好印象を与えるコツは、月並みですができる限り部屋を綺麗に見せることです。とくに内覧者がまず最初に目をする玄関、そして汚れていると「不潔」な印象を与えてしまう水回りなどは、徹底的に掃除しましょう。

内覧に際しては、過度な「おもてなし」は不要です。内覧に来ていただいて挨拶を交わしたら、できる限り自由に見ていただく時間を設けましょう。

建具の不具合や設備不良を隠さない

  • ドアが開きにくい
  • 設備が故障している
  • 見えにくい床に損傷がある

このようなマイナスの評価につながるものは、つい不動産会社や購入検討者に隠したくなるものだと思います。しかし、マンションを売却するにあたり、建具の不具合や設備不良、故障を隠したまま契約してはいけません。最悪の場合、契約の取り消しや損害賠償請求にまで発展してしまう可能性があります。

注意点⑤契約内容の細部に注意して確認する

不動産の売買契約とは、法律のうえに成り立つものです。「こんなはずじゃなかった」と言っても、契約書に明記してあったり、法律で定められている売主の責任上、仕方ないものだったりすれば、覆すには相応の手間や不利益を被らなければなりません。契約前には、自分と相手の責任や権利などをよく確認しておくことが大切です。

「契約不適合責任」を理解する

マンションは、売って終わりではありません。売買契約後に契約内容に適合しない傷や不具合、故障がある場合、基本的には売主が責任を負うこととなります。

この責任のことを「契約不適合責任」といいます。契約内容によっては、売主が意図しない責任範囲や期間になってしまうこともあります。契約不適合責任は任意規定であるため、契約内容をしっかり確認し、場合によっては責任の範囲や期間について交渉することが大切です。

解約条件とペナルティ

民法では、次のような原因があれば契約を解除できるとしています。

  • 契約の相手方の債務不履行があった場合
  • 買主の手付放棄・売主の手付倍返し
  • 契約不適合責任に基づく買主の解除権の行使

上記に加え、売主・買主の間で合意した解除条件を契約に盛り込むことも可能です。たとえば、買主が融資の本審査に通らなかった場合に白紙解除となる特約などは、少なからず見られます。

契約時には、自分にとって不利な解除条件となっていないかよく確認するようにしましょう。

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注意点⑥マンション売却引渡し時は解約手続きを忘れない

マンションの売却では、売買契約から引き渡しまでに1~2ヶ月ほどの期間を要するのが一般的です。この間に、買主はローンの本審査を受け、売主は引っ越しの手続きをします。

ライフラインの解約

引っ越しの手配を忘れてしまう人は少ないですが、電気やガス、ネット回線などの解約・移転手続きは漏れが生じがちです。いずれも、インターネットや電話で解約手続きが可能です。引越しの1〜2週間前頃までに手続きをしておくと良いでしょう。

引渡しの準備と手続き

物件の引き渡し時は、基本的に空室にしなければなりません。エアコンやカーテンなどを取りはずしも忘れないようにしましょう。ただし「エアコンを残して引き渡す」など、買主と取り決めをしている場合はこの限りではありません。

引き渡しまでに空室にすれば問題ありませんが、引越し料金は土日など引越しが集中する時期に高くなります。少しでも安く引越したい場合は、早めに引越し業者に相見積もりを取ることをおすすめします。

注意点⑦確定申告が必要なケースを理解しておく

マンションの売却によって譲渡所得が出た場合は、マンションを売却した年の翌年に必ず確定申告をしなければなりません。

譲渡所得税の計算

「譲渡所得」とは、簡単にいえばマンション売却によって得られた利益ですが、計算方法は少々複雑です。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得 = 譲渡収入金額 - 譲渡費用 - 取得費用

 内容
譲渡収入金額マンションの売却価格+固定資産税・都市計画税の清算金
譲渡費用マンション売却の諸費用(仲介手数料・印紙税・登録免許税)
取得費用マンションの購入代金+購入時の仲介手数料+設備費から減価償却累計費※を差し引いた金額
減価償却の計算方法

減価償却費(定額法)=建物購入代金×0.9×償却率×経過年数

譲渡所得に税率をかけて課税額が算出できますが、税率はマンションを所有していた期間によって以下のように異なります。所有期間は、マンションを売却した年の1月1日時点のものです。

所有期間区分税率
5年以下短期譲渡所得39.630%(所得税30%+住民税9%+特別復興所得税0.63%)
5年超長期譲渡所得20.315%(所得税15%+住民税5%+特別復興所得税0.315%)

節税対策の検討

マイホームの売却では、次のような控除特例が適用になる可能性があります。控除特例は自動的に適用されるわけではないため、確定申告時に申請しなければなりません。

控除特例概要
3,000万円特別控除(マイホーム特例)譲渡所得を最大3,000万円控除できる
マイホームを売ったときの軽減税率の特例譲渡所得6,000万円以下の部分に軽減税率が適用される
特定の居住用財産の買い換えの特例譲渡所得税の納税を買い換えたマイホームを売却するときまで繰り越せる

確定申告が必須なのは譲渡所得が出た場合に限られますが、譲渡損失が出た場合も次のような控除特例を適用することにより節税になる可能性があります。ただし、下記特例を適用する場合には確定申告が求められます。

  • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除特例

注意点⑧マンション売却後の生活設計を立てておく

マンションは、希望する金額で売却できるとは限りません。マンションを売った後の住まいを購入するのか、賃貸するのかは人それぞれですが、売却後も豊かな暮らしができるよう、資金計画および住み替えのスケジュールもしっかり立てておくようにしましょう。

資金計画の重要性

「資金計画」というとマンションを購入する人が立てるイメージがあるかもしれませんが、マンションの売却にも少なからず諸費用や税金がかかります。また、不動産の買い替えが伴う場合は、マンションがいつ・いくらで売れるかによってローンの組み方や物件選びにも影響が出るはずです。

従って、マンションの売却に際しても、しっかり資金計画を立てておくことが重要です。大体の相場が分かれば、諸費用や税金がどの程度か事前に把握することができます。売却にかかる諸費用は、物件価格の4%程度といわれています。基本的に諸費用は現金で用意する必要があるため、事前に計算し、準備しておきましょう。

次のマンション・住居への移住

居住中のマンションを売却する場合は、住み替え先も探しておかなければなりません。マンションがいつ売れるか予測するのは難しいものですが、マンションの売買契約から引き渡しまでには一定の期間があります。また、買主が了承してくれれば、売主の都合に合わせて「引き渡し猶予の特約」を付けることも可能です。

引き渡し猶予の特約とは?

引き渡し日から実際に物件を空にして引き渡す日まで猶予を設けてもらう特約

住み替えの計画に合わせて、このような特約を付けることも買主に打診してみましょう。

マンション売却でよくあるFAQ

マンション売却にかかる期間は?

「3ヶ月」ほどが平均です。ただし、マンションの立地や築年数等の条件、売出価格、売却方法によって売却期間は大きく異なります。

マンション売却にかかる費用は?

売却金額の「4%」ほどとなるのが一般的です。ただし、住宅ローン残債の有無、不動産会社の仲介手数料などによって異なります。

マンションの売却方法は?

「仲介」と「買取」に大別されます。仲介は一般的な方法。買取は、不動産会社に買い取ってもらう方法です。

マンション売却の注意点まとめ

マンションという高額な資産のご売却は、人生の転換期ともなりえる一大局面でしょう。

売却方法によって、1割や2割の価格差は簡単についてしまうものです。今回お伝えした不動産会社の選び方や相場を把握する方法、内覧対応などをあらかじめ知っているか知っていないかによっても売却スピードや売却価格が変わってくる可能性があります。

マンション売却は不動産会社に仲介してもらうのが一般的ですが、それは「丸投げ」とは異なります。やはり、要所要所で売主が決断しなければならないことは多々あり、その決断こそがマンション売却を成功に導くはずです。

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この記事を書いた人

亀梨奈美のアバター 亀梨奈美 不動産ジャーナリスト/株式会社realwave代表取締役

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。

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