【2024年最新】マンション売却の確定申告はすぐにするべき?必要書類や計算方法を解説

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マンション売却は取引金額が大きく、多くの人にとっては人生の中で何度も経験することではありません。マンションを売却した際には、多くの利益を得る人もいれば、逆に損失が生じてしまう人もいます。

いずれにせよ忘れてはいけないのが、マンションを売却した後の確定申告です。

確定申告は納税に関わる重要なことです。本来申告の義務がある人が手続きを怠ったり、申告した内容に間違いがあったりすれば、思いがけない損失やペナルティが生じるおそれがあります。

本記事では、マンション売却後の確定申告の方法や内容について、どこよりも分かりやすく解説します。確定申告を控えている方だけでなく、これからマンション売却を考えている方も知っておいて損はない内容ですので、ぜひ参考にしてください。

目次

マンション売却で確定申告を「する」「しない」の見分け方

マンション売却に伴う確定申告は、どんな状況でも必須というわけではありません。中には確定申告が不要なケースもあります。

まずは、確定申告が必要なケース・不要なケースの見分け方から解説します。

確定申告が必要なケース:「譲渡所得」が発生した場合

マンション売却で確定申告が必要なのは、「譲渡所得」が発生した場合です。要は、マンションを売ったことにより利益が出た場合のみ、確定申告が必要になります。

ただし、たとえば2,500万円で買ったマンションが3,000万円で売れたら確定申告が必要か?といえば、必ずしもそうではありません。不動産売却では、以下の計算式で「譲渡所得」がプラスになった場合のみ、利益が出たと見なされます。

譲渡所得の計算式

譲渡所得 = 譲渡収入金額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡所得の計算方法については、後ほど詳しく解説します。

確定申告が不要なケース:「譲渡所得」が発生しなかった場合

確定申告が不要なのは、マンション売却による利益が0円またはマイナスの場合、つまり譲渡所得が発生しなかった場合です。

先述のとおり、譲渡所得税は譲渡所得のプラス部分に対して課される税金です。譲渡所得が発生しないということは「課税対象がない」ということと同義のため、確定申告をする必要はありません。

「不要」でも確定申告「した方がいい」ケースがあるので注意!

マンション売却によって利益が出なかった場合、法律上は必ずしも確定申告をする必要はありません。

しかし、利益がでなかった場合でも、実は確定申告によって恩恵を受けられる可能性があります。

マンション売却で「損失」が生じた場合で、必要な要件を満たしていれば、確定申告することで給与所得など損益通算をすることができます。その結果、すでに納めた税金が還付金として返ってきたり、納める税金が安く済んだりする効果が見込めるのです。

マンション売却の確定申告の時期・タイミング

確定申告の時期は、マンションを売却して所得が発生した翌年の2月16日~3月15日の間です。

上記の期間内に、管轄の税務署に確定申告書と必要書類を提出します。申告書の提出は郵送でも行えますが、近年ではオンラインで申告書作成から提出までできるe-Taxの利用も増えています。

ここで注意したいのは、普段会社に勤務していて年末調整を受けている方でも、マンションを売却して譲渡所得が発生した場合は確定申告の義務があるということです。年末調整で申告できるのは、所得のうち「給与所得」についてのみで、「譲渡所得」は申告できないためです。

マンションを売却して確定申告しなかった時のリスク

譲渡所得が出て確定申告の必要があるのにも関わらず、期限までに手続きを行わなかった場合は、「無申告加算税」という税金が課されます。

無申告加算税額は、本来納付する税額に対し、50万円までの部分には15%、50万円を超える部分には20%を乗じて算出した金額です。算出した金額を、本来納付すべき税額に「加算」されるという仕組みです。

ただし、確定申告の期限を過ぎてしまっても、申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告を行い、かつ期限内に申告する意思があったとみなされた場合には、無申告加算税は加算されないとされています。

また、たとえ期限内に確定申告をしていたとしても、納付期限までに全額の納付探されなかった場合でも「延滞税」という税金が課せられます。延滞税は納付期限の翌日から、完納された日までの日数に応じた税金が発生するため注意が必要です。

確定申告の目的は適正に税金を納めることです。上記の期間内に確定申告を行わないと、無申告加算税などの無駄な税金の支払いが発生するだけでなく、想定していたよりも高い税金を支払わなければならなくなる可能性もあるのです

マンション売却後により損失が発生した場合、確定申告自体は義務とはされていません。しかし税金の還付が受けられる点や、知らないうちに無申告加算税が課されているリスクを避けられるという点で、損失が出た場合でも確定申告は行ったほうがいいと言えます。

確定申告の手続きの流れ

確定申告の流れは、大きく分けて次の4ステップです。

  1. 確定申告に必要な書類を集める
  2. 譲渡所得税の計算をする
  3. 書類を作成する
  4. 税務署での手続きをする

確定申告の期間は1カ月しかありません。マンションの売却が完了したら、まずは確定申告の流れと必要書類を確認し、始められるところは早めに着手することをおすすめします。

確定申告に必要な書類一覧

譲渡所得が発生した場合の確定申告に必要な書類は、自分で用意するものと税務署から調達するものに分けられます。また、後述する控除や特例の適用を受けるためには、法務局で取得する書類も必要です。申告時に書類が不足していて慌てることのないよう、事前に確認しておきましょう。

自分で用意する書類

自分で用意する書類は、以下の3つです。

  1. マンションを売却した際の売買契約書
  2. マンションを購入した際の売買契約書
  3. 仲介手数料や印紙税などの諸経費の領収書

売買契約書に関しては、いずれもコピーで問題ありません。

諸経費の領収書は、譲渡所得を算出する際に必要です。諸経費が多くかかったことを証明できれば譲渡所得を減らせ、結果的に譲渡所得税額も抑えられます。売却時に発行された書類は、必ず手元に残しておくようにしましょう。

税務署から調達する書類

税務署から調達する書類は、以下の3つです。

  1. 確定申告書B様式
  2. 分離課税用の確定申告書
  3. 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表と計算明細書)

上記の書類は、税務署の窓口で受け取れるほか、国税庁のホームページからもダウンロード可能です。

マンション売却の譲渡所得税を計算する方法

ここからは、確定申告で多くの方がつまずく「譲渡所得税」の算出方法を解説していきます。確定申告で提出する「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表県計算明細書)」の記載内容でもあります。

まずは「譲渡所得税」を求める計算式を頭に入れておきましょう。

譲渡所得税の計算式

④譲渡所得 =①譲渡価格 - ②取得費 - ③譲渡費用

⑤譲渡所得税=④譲渡所得×税率

上記の計算を行うためには、それぞれの項目を順番に算出する必要があります。

  1. 「譲渡価格」を算出
  2. 「取得費」を算出
  3. 「譲渡費用」を算出
  4. 「譲渡所得」を算出
  5. 「譲渡所得税額」を算出

見慣れない用語ばかりで難しい印象を受けるかもしれませんが、以降で詳しく解説しますのでご安心ください。正しい手順で計算すれば、確定申告に慣れていない方でも自分で譲渡所得税を算出できます。落ち着いて慎重に取り組んでみましょう。

手順1.「譲渡価格」を算出する

計算式の①「譲渡価格」は、マンション売却によって得た金額の総額です。

具体的には、以下の計算式で算出します。

譲渡価格の計算式

譲渡価格 = マンションの売却金額 + 固定資産税・都市計画税清算金

「マンションの売却金額」は、そのままマンションを売った金額です。

「固定資産税・都市計画税清算金」とは、売主が前払いで納税していた固定資産税・都市計画税を、日割り計算して清算した金額となります。引き渡し日以降の固定資産税・都市計画税は買主が負担するため、引き渡しの清算で税金の一部が戻ってくるということです。

たとえば、1年分の固定資産税・都市計画税10万円を売主が前払いしており、6月末に買主にマンションを引き渡した場合、日割り清算した5万円が買主から売主に支払われます。この金額をマンションを売った金額に足したものが、「譲渡価格」です。

なお、売却時に買主から受領する金銭に、マンションの管理費や修繕積立金を日割り清算したものが含まれる場合もありますが、これは譲渡価格としては扱えません。

手順2.「取得費」を算出

譲渡所得税の計算式

④譲渡所得 =①譲渡価格 - ②取得費 - ③譲渡費用

⑤譲渡所得税=④譲渡所得×税率

「取得費」は簡単にいえば、売却したマンションを取得(購入)した際にかかった費用のことで、下記の計算式で求めます。

取得費の計算式

取得費 = 売却したマンションの取得費用 - 減価償却費相当額 

マンションの取得費用には、物件の購入代金のほか、不動産会社に支払った仲介手数料や登録免許税などの税金、リフォーム代や設備費なども含まれます。

さらに取得費の計算時には、マンションの経年劣化分=資産価値の減少分も考慮されるというのも重要なポイントです。この建物の価値の減少分のことを「減価償却費」と呼び、マンションの取得費用から減価償却費を差し引くことで、「取得費」を算出します

「減価償却費相当額」の算出方法

マンションの建物部分は、築年数が経過するほど劣化するものであり、価値も低下していきます。一方、土地部分は経年によって劣化するものではありません。

つまり、減価償却費を算出するのはマンションの建物部分だけとということです。

減価償却費相当額(居住用マンション)の計算式

減価償却費相当額(居住用マンション) = 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

償却率は、建物の構造別に以下の数値をあてはめます。

木造0.031
木骨モルタル造0.034
金属造(骨格材の肉厚4mm超)0.020
金属造(骨格材の肉厚3mm超4mm以下)0.025
金属造(骨格材の肉厚3mm以下)0.036
れんが造、石造、またはブロック造0.018
鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造0.015
出典:国税庁

たとえば、鉄筋コンクリート造のマンションを10年前に5,000万円で購入し、その内、建物部分の購入額が2,500万円だったときの減価償却費相当額は、以下のようになります。

2,500万円[建物部分]×0.9×0.015[償却率]×10年[経過年数]=337.5万円

手順3.「譲渡費用」を算出

譲渡所得税の計算式

④譲渡所得 =①譲渡価格 - ②取得費 - ③譲渡費用

⑤譲渡所得税=④譲渡所得×税率

「譲渡費用」とは、マンションを売却するにかかった経費のことです。先ほど説明した取得費の経費と同様に、次のようなものが含まれます。

  • 仲介手数料
  • 印紙税

取得時の経費として「登録免許税」は認められますが、売却時の「抵当権抹消費」は含まれませんのでご注意ください。

手順4.「譲渡所得」を算出

譲渡所得税の計算式

④譲渡所得 =①譲渡価格 - ②取得費 - ③譲渡費用

⑤譲渡所得税=④譲渡所得×税率

上記で算出した「譲渡価格」「取得費」「譲渡費用」を基に、譲渡所得を計算します。

手順5. 「譲渡所得税額」を算出する

譲渡所得税額は、譲渡所得の金額に決まった税率を乗じることで算出します。税率はマンションを所有していた期間によって以下のように異なります。

所有期間区分税率
5年以下短期譲渡所得39.63%
5年超長期譲渡所得20.315%

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譲渡所得税計算のシミュレーション

それではここで簡単に、譲渡所得税の計算シミュレーションをしてみましょう。

モデルケース
  • 鉄筋コンクリート造のマンションを10年前に5,000万円で購入し、その内、建物部分の購入代金が2,500万円
  • 5,000万円で売却
  • 売却にかかった経費は150万円
  • 固定資産税・都市計画税清算金は5万円

まず、「譲渡価格」から算出します。

譲渡価格の計算式

譲渡価格 = マンションの売却金額 + 固定資産税・都市計画税清算金

5,000万円+5万円=5,005万円(譲渡価格)

続いて、「取得費」を算出します取得費を算出するにあたっては、まず「減価償却費相当額」を出しましょう。

減価償却費相当額(居住用マンション)の計算式

減価償却費相当額(居住用マンション)= 建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

2,500万円×0.9×0.015×10年=337.5万円(減価償却費)

取得費の算出式にあてはめます。

取得費の計算式

取得費 = マンションを取得した費用 - 減価償却費相当額 

5,000万円-337.5万円=4,662.5万円(取得費)

「譲渡費用」は、売却にかかった経費なので150万円(譲渡費用)となります。

では、ここまで算出してきた譲渡価格・取得費・譲渡費用を譲渡所得の算出式にあてはめます。

譲渡所得の計算式

譲渡所得 =① 譲渡価格 -② 取得費 -③ 譲渡費用

5,005万円-4662.5万円-150万円=192.5万円

このシミュレーションでは、譲渡所得が192.5万円と算出できました。譲渡所得がプラスになっていますので、この場合は確定申告が必須となります。

続いて、導き出した譲渡所得から税額を算出していきます。

譲渡所得税の計算式

譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

今回のシミュレーションではマンションの所有期間が10年のため、使用する税率は「長期譲渡所得」の20.315%です。

譲渡所得192.5万円に長期譲渡所得税率をかけることで、譲渡所得税が以下のように算出できます。

192.5万×20.315%≒39.10万円

マンション売却の際の確定申告書の書き方とは

マンション売却後は、多くの場合売主自身で申告書を作成して確定申告を行います。ここでは譲渡所得が出た場合の内訳書および確定申告の書き方を解説します。

譲渡所得の内訳書の書き方

まずは、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算書)の1面・2面に以下を記載します。

  • 現住所および1月1日以降に転居した場合は前住所
  • 氏名
  • 電話番号
  • 職業
  • 売却した土地や建物の情報
  • 売却先
  • 売却金額
  • 売却理由
出典:国税庁

続いて、マンションを取得した費用、減価償却費、控除特例などを記載し、譲渡所得を算出します。上記記載例は、以下のモデルケースの場合を想定しています。

モデルケース
  • 2017年1月10日に8,000万円で土地と建物(木造)を売却
  • 売却した土地と建物は1984年10月に5,000万円で購入
  • 売却時に2,656,800円の仲介手数料と3万円の印紙代がかかった

確定申告書の書き方

出典:国税庁

確定申告書は「B様式」を使います。

第一表には給与や年金などの収入金額と所得金額などを、第二表には社会保険料控除などを記載します。

出典:国税庁

第三表は、内訳書から転記し、売却したマンションの収入金額や所得金額、特別控除額などを記載します。最後に納める税金を計算して、確定申告書および内訳書の記載は終了です。

マンション売却で「譲渡所得」が出たときの3つの控除特例

マンション売却によって利益が出た場合は、「譲渡所得税」を納めるために確定申告をしなければなりません。

ただし、自宅マンションの売却では、一定の要件を満たすことで譲渡所得が控除される特例が3つ存在します。控除特例の適用にも確定申告が必須となっていますので、ぜひ最後までご確認ください。

1.マイホーム売却の際の3,000万円特別控除特例

自分が住んでいた不動産を売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円の控除を受けられる特例です。

適用要件

3,000万円特別控除特例の適用を受けるためには、以下の6つの要件を満たしている必要があります。

  1. 自らが住んでいた不動産を売却した
  2. 過去2年間で当該の特例もしくは譲渡損失に関しての特例が適用されていない
  3. 過去2年間でマイホーム買い替えや交換に関しての特例が適用されていない
  4. 売却した不動産や土地において、収用などの場合の特例が適用されていない
  5. 災害による滅失家屋の敷地の場合は、退去時から3年以内に売却している
  6. 売主と買主が、親子や夫婦などの特別に近しい関係でない

以上は概略した文言ですが、これらを満たす場合に3,000万円特別控除特例が認められます。

必要な書類

3,000万円特別控除特例の適用には、先述の自分で用意する書類と併せて「住民票除票」を提出する必要があります。

住民票除票は売却から2ヶ月経過後に、所在地の役所で受け取れます。

控除後の税額の算出方法

3,000万円特別控除特例を受ける場合、控除後の譲渡所得税額を算出するための計算式は、以下のとおりです。

譲渡所得税の計算式

譲渡所得税=(譲渡所得−3,000万円)×税率

課税対象となる譲渡所得から3,000万円を差し引き、その額に譲渡所得の税率をかけた金額が譲渡所得税額となります。

2.10年以上所有していた場合の軽減税率特例

売却したマンションを10年以上所有していた場合に、軽減税率の適用を受けられるという特例です。

適用要件

軽減税率特例が認められるためには、以下の5つの要件を満たしている必要があります。

  1. 国内にある自ら居住していた不動産を売却する、もしくは
    不動産と併せてその土地も売却する
  2. 売却した年の元日時点で当該の不動産や土地を所有している期間が10年を超えている
  3. 過去2年間で当該の特例もしくは譲渡損失に関しての特例が適用されていない
  4. 当該の不動産や土地でマイホーム買い替えや交換に関しての特例が適用されていない
  5. 売主と買主が、親子や夫婦などの特別に近しい関係でない

適用に必要な書類

軽減税率特例の適用には、先述の「3,000万円特別控除特例」で必要な書類に加えて、当該の不動産の「登記事項証明書」を提出する必要があります。

控除後の税額の算出方法

軽減税率特例を受ける場合の控除後の譲渡所得税額を算出するための計算方法は、状況によって2パターンに分かれます。それぞれの計算式は以下のようになっています。

①譲渡所得額が6,000万円以下の場合

譲渡所得税=譲渡所得×税率(10%)
※他に住民税4%+復興特別所得税0.21%がかかります。

6,000万円に満たない場合は、課税対象となる譲渡所得に10%の税率をかけた金額が、譲渡所得税の額となります。

②譲渡所得額が6,000万円を超える場合

譲渡所得税=(譲渡所得−6,000万円)×税率(15%)+600万円
※他に住民税4%+復興特別所得税0.21%がかかります。

6,000万円を超える場合は、課税対象となる譲渡所得から6,000万円を差し引き、それに15%の税率をかけた金額に600万円を足した金額が譲渡所得税の額となります。

3.マイホームの買換え特例

自宅マンションの売却に合わせて、新たに住み替えるための不動産を購入した場合に、その年に発生した利益に対する課税を将来に繰り延べられるという特例です。

例えば3,000万円で購入した自宅マンションを5,000万円で売却したとします。この場合、通常であれば売買で発生した2,000万円を課税対象として譲渡所得税を算出します。しかし同時に新しくマイホームを購入して特例の適用を受けると、売却した年の譲渡益への課税はされず、新しいマンションを将来譲渡(売却)するときまで課税が繰り延べられる、という仕組みです。

適用要件

マイホームの買換え特例の適用を受けるためには、「3,000万円特別控除特例」や「軽減税率特例」などで挙げられたような要件に加え、以下の5つの要件を満たしている必要があります。

  1. 当該の不動産の売却額が1億円以下である
  2. 購入する不動産の延床面積やが50平方メートル以上、かつ土地の面積が500平方メートル以下である
  3. 売却した年を挟んで3年の間に新居とする不動産を購入する、また一定期限までに入居する
  4. 購入する不動産が耐火建築物の中古物件である場合、築25年以内のものである、もしくは一定の耐震基準を満たしている
  5. 購入する不動産が耐火建築物でない中古物件である場合、築25年以内のものである、もしくは取得期限までに一定の耐震基準を満たす見込みがある

適用に必要な書類

マイホームの買換え特例の適用には、先述の確定申告に必要な書類に加えて、以下の書類を提出する必要があります。

・買換資産の明細書
・先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書
・代替資産の取得期限延長承認申請書
・売却した不動産の「登記事項証明書」
・購入した不動産の関連書類(売買契約書など)

控除後の税額の算出方法

マンションの売却金額より高い値段で新居を購入した場合は、マイホームの買換え特例が適用されることで、売却した年の譲渡益に対する課税が将来に繰り延べられます。

反対に、購入額よりも売却額のほうが高かった場合には、差額を収入金額とみなして譲渡所得を算出します。

譲渡所得の計算方法

収入金額=マンションの売却金額-買い換えたマイホームの金額

必要経費=(売却したマンションの取得費+譲渡費用)×(収入金額÷売却金額)

譲渡所得=収入金額-必要経費

国税庁:「売った金額より少ない金額でマイホームを買い換えたとき」

マイホームの買換えは住宅ローン控除の対象でもあるため、併せて押さえておきましょう。

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マンション売却で「譲渡損失」が出たときの2つの控除

マンション売却においては、損失が発生してしまう(譲渡所得がマイナスになる)ケースも存在します。

マンション売却によって損失が発生した場合、同年度に発生したほかの所得(給与所得など)と損益通算することで、その年の税金が安くできる可能性があります。

またその年に損失を控除できなかった場合でも、場合によっては最大3年間は繰り越せるケースもあります。以下で控除の特例について、詳しく見ていきましょう。

1.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例

居住用の不動産を買い換えたことで譲渡損失が生じた場合に、同じ年のほかの所得(給与所得や事業所得から控除(損益通算)できる特例です。

適用要件

この特例が認められるためには、以下のそれぞれの要件を満たしている必要があります。

<売却したマンションに関して>

  • 5年以上所有していた

<購入した不動産に関して>

  • 延床面積が50平方メートル以上である
  • 売却した年を挟んで3年の間に購入した
  • 購入した年の大晦日の時点で、ローンが10年以上残っている
  • 購入した翌年の大晦日までに入居する見込みがある

適用に必要な書類

この特例の適用には、以下のような書類を提出する必要があります。

  • 確定申告書
  • 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書
  • 居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の対象となる金額の計算書
  • 売却した不動産の登記事項証明書
  • 売却した不動産の売買契約書
  • 住民票の除票
  • 購入した不動産の登記事項証明書
  • 購入した不動産の売買契約書
  • 年末時点での住宅ローンの残高証明書
  • 住民票

なお譲渡損失の額が大きく、損益通算を行っても控除しきれなかった分に関しては、マンションを売却した翌年から3年までであれば繰越すことが可能です。

2.特定居住用財産の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例

住宅ローンの返済が残っているマンションを売却して譲渡損失が生じた場合に、同じ年のほかの所得と損益通算できるという特例です。

適応要件

この特例が認められるためには、売却した不動産に関して以下のそれぞれの要件を満たしている必要があります。

  • 5年以上所有していた
  • 売買契約を結ぶ前日の段階で、住宅ローンが10年以上残っている

なおこちらの特例も、売却した年の損益通算で控除しきれなかった場合は、翌年から3年間までは繰り越して損益通算できます。

マンション売却の確定申告についてのよくある質問

確定申告をしないと罰則があるのでしょうか?

確定申告が必要にもかかわらず申告しなかった場合には、無申告加算税が課せられます。また確定申告した場合でも、期限内に税金の納付がなかった場合には延滞税が課せられます。

確定申告が不要なケースはありますか?

原則として、マンション売却によって譲渡所得(≒売却益)がでなければ確定申告は不要です。しかし、譲渡損失が出た場合には、確定申告することで損益通算により税負担を軽減できる可能性があります。

e-Taxで確定申告する場合はどのような手順で行えばいいのですか?

まずはe-Taxソフトをインストールし、申請書類を作成していきます。税務署への提出方法は「マイナンバーカード方式(2次元バーコード・ICカードリーダライタ)」「パスワード方式」「印刷して提出」の中から選択できます。詳しくは、国税庁サイトをご参照ください。

マンション売却後の確定申告の方法まとめ

まとめ
  • マンションを売却した後の確定申告は、譲渡所得(売却の利益)が出た時に必要
  • 確定申告をすることで税金が安くなる特例がある
  • 譲渡所得が出ない場合でも、確定申告により節税や税金還付を受けられる可能性もある
  • 譲渡益の有無や適用する特例によって、確定申告の手順と必要書類が異なる

マンション売却後の確定申告の方法や内容について解説してきました。

マンション売却の際には、利益が出るケースもあれば損失が出るケースもあり、それぞれすべき確定申告の内容も異なります。とはいえ、確定申告や納税が必須なのは、売却益(譲渡所得)が出たときのみです。

どれくらいで売れそうかが把握できていれば、確定申告の準備をしておく必要があるのかが分かります

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監修者
曾我隆二

保有資格:公認会計士・税理士
曾我隆二

神奈川県藤沢市出身、神奈川県立湘南高等学校卒業、一橋大学商学部卒業後、1986年に野村證券株式会社(3年間)、1989年に株式会社リクルート(4年半)を経て、公認会計士の世界へ。中央クーパース・アンド・ライブランド・アドバイザーズ株式会社(中央監査法人グループ)を経て、2003年に公認会計士曾我事務所として独立開業し、現在は千代田区二番町にてSKIP税理士法人に組織変更し、代表社員。2017年8月に社会福祉法人虹の会(川崎市)を設立し、理事長として保育事業にも携わる。また、2019年4月には、SKIP監査法人を設立し代表社員に就任。

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この記事を書いた人

【保有資格】宅地建物取引士
上智大学外を卒業後、不動産調査会社在籍中に宅地建物取引士試験に合格。宅建士として事業用不動産の仲介営業職に従事し、退職後はレンタルオフィスの運営会社で入居者・契約管理をするかたわら、売買・賃貸・住宅ローンを中心とした不動産関連の専門性が高い記事を多数執筆。不動産初心者でもわかりやすい文章に定評がある。

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