不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/31

    海外に住んでいる売主が、手付金の振込先として海外の銀行口座を指定すること自体は、
    必ずしも珍しいことでも、直ちに問題があることでもありません。

    ただ、買主としては「海外口座だから大丈夫かな」と漠然と心配するより、
    契約上の支払先として本当にその口座でよいのかを、
    契約前に不動産会社と司法書士、必要に応じて金融機関に確認してもらうことが大切です。

    特に確認しておきたいのは、売買契約書に記載される売主本人と、
    振込先の口座名義が一致しているかどうかです。
    海外に住んでいる売主本人の口座なのか、代理人や第三者の口座なのかによって話は変わります。
    もし第三者名義の口座への振込みを求められるのであれば、なぜその口座なのか、
    売主からの正式な指示があるのかなどを、より慎重に確認した方がいいでしょう。

    また、海外送金の場合は、日本国内の口座への振込みとは違って、
    送金手数料や中継銀行の手数料、為替レートなどによって、
    売主が実際に受け取る金額が変わる可能性があります。

    例えば手付金を500万円と決めていても、「500万円を送れば契約上の支払いが完了する」のか、
    「売主の口座に500万円が着金する必要がある」のかでは意味が違います。
    この点は契約書や仲介会社を通して、あらかじめ明確にしておいた方が安心です。

    そして、万一、契約解除などによって手付金を返還してもらうことになった場合についても、
    どの口座に、どの通貨で、どの金額を返還するのかを確認しておくといいと思います。

    特に為替が絡む場合は、
    支払ったときと返還するときで円と外貨の価値が変わる可能性があります。
    ここは「手付金を返してもらえるか」だけでなく、
    「いくらを、どの基準で返してもらうのか」まで確認しておくと後で話が食い違いにくくなります。

    また、売主が海外居住者の場合、手付金の問題だけでなく、売買代金の残代金決済、本人確認、
    印鑑証明書等の書類、納税関係、司法書士による本人確認など、
    通常の国内居住者の売買とは違って確認事項が増えることがあります。

    ですから、今回のケースでは、買主が自分で海外送金について判断する必要はありません。

    むしろ契約前に、
    「海外口座への手付金送金で問題ないことを、仲介会社と司法書士、
    必要であれば金融機関にも確認してもらった上で進めたい」
    と伝えておけば十分です。

    不動産取引では、売主が海外に住んでいること自体よりも、
    「その条件で安全に契約・決済まで完了できる体制ができているか」の方が重要です。

    不動産会社が売主の本人確認、振込先の確認、契約書上の支払方法、
    決済方法まできちんと整理してくれるのであれば、
    海外口座への送金というだけで過度に心配する必要はないと思います。

    反対に、「売主がそう言っているから海外口座に振り込んでください」だけで、
    手数料や着金額、返還時の扱い、本人確認などが曖昧なままなら、
    そこは契約前に確認しておくべきところです。

    買主としては、海外送金そのものを怖がるというより、
    「誰の口座に、いくらを、いつまでに、どの費用負担で振り込み、
    その支払いをもって契約上の手付金の支払いが完了するのか」
    を明確にしてから進める。
    この考え方でいいと思います。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/09/01

    ご相談を拝見しました。

    海外居住の売主に対し、手付金を直接海外口座へ振り込むケースは存在しますが、国内振込と比べてリスクや手続上の注意点が非常に多いため、通常の国内取引と同等には扱えません。少なくとも、次の点についてどのように取り扱うかを協議したうえで、契約書等にその内容を盛り込んでおく必要があります。

    1.契約解除時のリスク
    住宅ローンの不成立や相手方の都合で契約が白紙解除になった場合、海外口座から手付金を無事に返還してもらえるかが最大の懸念です。海外送金の手続遅延や、最悪の場合「返還に応じない」といったトラブルが起きた場合、日本の裁判所の効力が及びにくく、法的回収のコストや手間が非常に大きくなります。

    2.送金手数料と為替リスク
    海外送金では「送金銀行手数料」「中継銀行手数料」「受取銀行手数料」が発生し、着金時には差額が生じやすくなります。「誰が手数料を負担するのか」「為替レートの適用タイミング(日本円指定か外貨指定か)」 を明確に決めておかなければ、手付金の充当金額に不足が出るなどの問題に繋がります。

    3.税金の問題
    売主が非居住者である、あるいは海外居住者や外国法人などの場合、条件にもよりますが、買主が売買代金から10.21%を源泉徴収して税務署へ納付する義務が発生する場合があります。全額を売主に送金してしまうと、後から買主が自腹で税金を納める事態になりかねないため、税理士や不動産会社への事前確認が不可欠です。

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