不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/06/22

    ご相談内容を拝見すると、
    これは「買えるかどうか」の話ではなく、「今買うべきかどうか」の話だと思います。

    まず、ご主人がおっしゃる「広いキッチンが欲しい」「家賃を払うなら資産になる家を持ちたい」
    という考え方は、ごく自然なものです。

    実際に住まいは単なる投資商品ではなく、毎日の生活の質に直結します。

    家族が毎日過ごす場所ですから、QOLが上がること自体に十分価値があります。

    一方で、今回のケースは少し冷静に考えた方が良い要素もあります。

    私が気になったのは、海外転勤の可能性と借り上げ社宅制度の存在です。

    借り上げ社宅制度は、使えるうちは非常に強力な福利厚生です。

    住宅ローン控除と比較しても、
    会社負担や節税効果を含めると、実質的な恩恵がかなり大きいケースも少なくありません。

    そのメリットを手放してまで購入する価値があるかは、一度数字で整理した方が良いと思います。

    また、海外転勤の可能性がある場合は話が変わってきます。

    よく「転勤になったら貸せばいい」と言われますが、実際はそれほど単純ではありません。

    賃料は住宅ローン返済額より高く取れることもあります。

    ただし、そこから管理費、修繕積立金、固定資産税、賃貸管理費用、
    空室リスクなどを差し引いて考えなければなりません。

    特に築30年超のマンションは、今後さらに修繕積立金が増額される可能性もあります。

    最近は建築費や人件費の上昇で修繕コストも上がっていますので、
    将来的な負担が読みにくくなっています。

    さらに、海外赴任中に空室が発生した場合は、
    その期間のローン返済や管理費等を全て自己負担することになります。

    もし、その持ち出しが家計に大きく影響するようであれば、
    購入判断としては少し慎重になった方が良いかもしれません。

    個人的には、海外転勤の可能性が比較的高く、
    現在の借り上げ社宅制度の恩恵も大きいのであれば、
    無理に今購入する必要はないように感じます。

    その分、数年間しっかり貯蓄を増やし、
    転勤の有無がはっきりした段階で改めて購入を検討するという考え方も十分合理的です。

    住まい選びで大切なのは、「買うか借りるか」ではなく、
    「今の自分たちのライフプランに合っているか」です。

    仮に海外転勤がなくなり、この地域で長く暮らすことが見えているのであれば、
    広いキッチンや快適な住環境の価値は数字以上に大きいものになります。

    逆に数年以内にライフスタイルが大きく変わる可能性があるなら、
    今は福利厚生を最大限活用しながら資金を蓄える方が、結果的に選択肢は広がるかもしれません。

    ご主人の「暮らしを良くしたい」という気持ちも正しいですし、
    ご相談者様の「将来のリスクが気になる」という感覚も非常に健全です。

    今回のケースはどちらが正しいという話ではなく、将
    来の不確定要素に対してどこまでリスクを取るかという判断になると思います。

    少なくとも現時点の情報だけを見る限り、
    私は「急いで買わないと損をする状況」には見えません。

    むしろ、海外転勤の可能性と借り上げ社宅制度という大きな要素を
    整理してからでも遅くない案件だと思います。

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