不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/09/06

    サブリース中の投資用ワンルームを売却する場合、
    私ならまず「サブリース契約を解除できるのか」を確認します。

    そのうえで、解除できるのであれば、基本的には違約金を払ってでも解除して、
    通常の投資用物件として売却することを検討します。

    理由は、サブリースが付いていること自体が悪いわけではありませんが、
    売却するときには大きな制約になりやすいからです。

    サブリース契約が付いたままでも売却はできます。
    いわゆるオーナーチェンジとして、買主にサブリース契約を引き継いでもらう方法です。

    ただ、買主からすると「自分で入居者を募集して家賃を決められる物件」ではなく、
    「サブリース会社との契約が付いた状態の物件」です。

    そのため、実際の入居者から得られる賃料とオーナーが受け取る保証賃料との差額、
    賃料の見直し条項、契約期間、解除条件などを確認したうえで価格を判断することになります。

    結果として、サブリースが付いていることで買主が限定されたり、
    価格が下がったりすることは十分にあります。

    ただし、ここで一つ注意したいのが、
    「契約書に中途解約できると書いてあるから、違約金を払えば簡単に解除できる」
    とは限らないことです。

    サブリースは、オーナーとサブリース会社との間では、
    いわゆるマスターリース契約という賃貸借契約になっています。

    そして、建物の賃貸借については借地借家法が関係するため、
    契約書の一文だけを見て「オーナーはいつでも解約できる」と判断するのは危険です。

    国土交通省も、サブリースについて、
    オーナーからの更新拒絶や解除には借地借家法上の正当事由が問題となることを明示しています。
    サブリース契約の解除条件などは、契約前に説明すべき重要事項として扱われています。

    つまり、サブリースで本当に怖いのは、「解除条項があるかないか」だけではありません。
    「解除できるような書き方になっているのに、実際には簡単に解除できない」
    というケースがあり得ることです。

    だから、サブリースを解除して売却したいのであれば、まず契約書だけで判断せず、
    実際にサブリース会社に解除を申し入れた場合に、
    いつ、どの条件で、いくらの負担で終了できるのかを確認することが大切です。

    そのうえで、
    ・違約金はいくらなのか
    ・何か月前までに申し入れる必要があるのか
    ・サブリース会社との契約期間はいつまでなのか
    ・賃料改定の条項はどうなっているのか
    ・解除について借地借家法上の問題がないか
    ・解除後に通常の賃貸募集へ切り替えられるのか
    などを確認します。

    ここまで確認して、本当に解除できるのであれば、
    次に「解除費用を払ってでも売却価格を上げる意味があるか」を考えます。

    例えば、サブリース付きのままだと2,000万円、
    解除して通常の投資物件として売れば2,200万円になるとします。

    解除費用が30万円なら、単純計算では170万円の差が残ります。

    この場合は解除して仲介で売る意味が十分あります。

    逆に、解除費用が100万円かかって、解除しても売却価格が50万円しか上がらないのであれば、
    わざわざ解除する意味は薄くなります。

    ですから、「違約金を払うのは損」と考えるのではなく、
    「解除費用を払って、売却時にどれだけ価値を取り戻せるのか」で判断するべきです。

    そして、もう一つ大事なのが「買取だから楽」という考え方です。

    確かに買取なら、仲介のように買主を探す必要がなく、
    売却までの時間や手間を抑えられる場合があります。

    ただし、それは「安く売る代わりに手間を減らす」という取引です。

    サブリース付きのまま買取業者に売ることが悪いわけではありません。

    早く現金化したい、手間をかけたくない、
    今後のサブリース契約から離れたいという事情が強いのであれば、それも合理的な選択です。

    一方で、時間に余裕があり、解除できるのであれば、私はまず解除後の仲介価格を確認します。

    大切なのは、最初から「仲介が正解」「買取が正解」と決めないことです。

    「サブリースを解除した場合、いくらで売れるのか」
    「解除費用はいくらなのか」
    「解除せずに売った場合、いくらなのか」
    「それぞれ売却までどのくらいの期間がかかりそうなのか」

    この4つを比較すれば、かなり判断しやすくなります。

    個人的には、サブリースは「家賃保証があるから安心」と考えて長く持つよりも、
    売却を考える段階で一度立ち止まって、契約そのものを見直した方がいいと思います。

    サブリース会社が悪いという話ではありません。

    オーナーにとって便利な仕組みである一方、賃料の見直しや修繕費負担、解除条件など、
    契約内容によってはオーナー側の自由度がかなり制限される仕組みだからです。
    国土交通省も、サブリースについて家賃減額の可能性やオーナー側の維持保全・修繕費負担などを重要なリスクとして挙げています。

    今回のように「そろそろ手放したい」と考えているのであれば、私なら、
    まずサブリース契約を確認する。

    実際に解除できる条件をサブリース会社に確認する。

    解除費用を確定させる。

    解除した場合の仲介価格を査定する。

    サブリース付きのまま買取した場合の価格も出してもらう。

    最終的な手取りと、売却までの時間・手間を比較する。
    という順番で考えます。

    そして、解除できることが確認でき、
    解除費用を払っても通常の仲介で売る方が手取りで有利になるのであれば、
    私なら解除してから売却します。

    逆に、解除が難しい、あるいは解除費用を払っても手取りがほとんど変わらないのであれば、
    サブリース付きのまま売却する選択も十分ありです。

    ただ、「サブリースを解除できるなら、私は基本的には解除してから売った方がいい」と考えます。

    一度サブリース契約を付けてしまうと、売却するときにその契約が物件そのものの価値ではなく、
    売却条件として付いて回ることがあります。

    だからこそ、売ると決めた時点で「違約金がもったいない」と考える前に、
    「その違約金を払って自由な状態に戻すことで、いくら取り戻せるのか」を計算する。

    それが、投資用不動産を売却するときの現実的な考え方だと思います。

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