不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/10/01

    今回のケースで一番大事なのは、
    「新居の完成が遅れたから、マンションの引渡しも当然1か月延ばせる」
    という話ではないことです。

    すでにマンションの売買契約が終わっているのであれば、
    引渡し日は売主と買主との契約で決まっています。

    したがって、
    売主側の都合で一方的に「11月の引渡しを12月に変更します」とすることはできません。

    ただし、買主が事情を理解して合意してくれれば、引渡し日を変更すること自体は可能です。

    今回なら、まず買主に早めに事情を説明して、
    「新居の完成が約1か月遅れるため、引渡しをどこまで延ばせるか」
    を協議するのが先だと思います。

    ここで大切なのは、買主にも賃貸住宅の退去期限が迫っているという事情があることです。

    売主としては「こちらも仮住まいするお金がない」という事情がありますが、
    買主からすれば、それによって自分が住む場所を失うことになるので、
    単純に売主側の都合だけで引渡しを延ばすのは難しいでしょう。

    もし買主が引渡し延期に応じてくれるのであれば、変更後の引渡し日だけでなく、
    その間に発生する家賃や引越し費用などをどうするのかも含めて、
    きちんと話をした方がいいです。

    そして、その費用を最終的に誰が負担するのかは、
    新居を建築している施工会社との契約関係とは別に考えます。

    「新居の完成が遅れたのだから、施工会社が仮住まいを用意してくれるはず」とは限りません。

    施工会社との契約書に工期遅延の場合の違約金や損害賠償、工期延長についての定めがあるか、
    また今回の遅延が施工会社側の責任によるものなのか、
    天候や資材調達などやむを得ない事情なのかによっても変わります。

    民法上も、契約どおりに履行できず損害が発生した場合には、
    一定の要件のもとで損害賠償の問題が生じますが、
    債務者側に責任を負わせられない事情がある場合には扱いが異なります。

    ですから、施工会社には「仮住まいを用意してください」とだけ言うのではなく、
    「完成予定が約1か月遅れることで、
    現在のマンションの引渡しと次の住居への入居がつながらなくなる」
    「そのため、仮住まいや引越しなどの追加費用が発生する可能性がある」
    「今回の遅延について、契約上どのような補償があるのか」
    ここを具体的に確認した方がいいです。

    特に確認したいのは、新居の契約書に書かれている完成・引渡し予定日と、
    工期遅延の場合の取り決めです。

    一方で、マンションの買主との話は施工会社の回答を待ってからでは遅い可能性があります。

    買主も賃貸の退去期限が迫っているとのことなので、売主側の事情を伝え、
    まずは「現時点では新居の完成が約1か月遅れる見込みである」
    ことを共有した方がいいと思います。

    そのうえで、買主が引渡し延期に応じられるのか、何日程度なら待てるのかを確認する。

    もし買主がどうしても待てないのであれば、
    売主側が仮住まいを確保してでも契約どおり引き渡すという選択も出てきます。

    ここは「仮住まいする余裕がないから延期する」という順番ではなく、
    契約上の引渡し義務をどう守るか、
    そのために発生する費用を誰に負担してもらえるのかという順番で考えた方がいいです。

    私なら、施工会社との交渉と買主との調整を同時に進めます。

    新居については、契約書を確認して遅延の原因と補償の有無を確認する。

    マンションについては、買主に事情を早めに説明し、引渡し日の変更が可能なのかを協議する。

    そして、もし延期することで買主に追加の賃料や引越し費用が発生するのであれば、
    その負担についても含めて合意しておく。

    単に口頭で「1か月待ってください」ではなく、引渡し日を変更するのであれば、
    売買契約の変更について書面で残しておいた方がいいでしょう。

    今回のような住み替えでは、
    「自分の新居が遅れた」という一つの問題だけを見てしまうと判断を誤ります。

    すでに売却したマンションの買主にも生活があります。

    だからこそ、買主に迷惑をかけない方法を考えながら、同時に新居の施工会社には、
    自分たちが被る追加費用をきちんと負担してもらえるのかを確認する。

    この2本立てで動くのが、一番現実的だと思います。

    そして、施工会社が仮住まいを用意するかどうかは「遅れたから当然」ではなく、
    まず契約内容と遅延原因を確認したうえでの話です。

    今回なら、施工会社から具体的な補償内容が出るのを待つだけではなく、
    マンションの買主との調整もすぐに始める。

    この順番が大切だと思います。

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