不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/10/13

    海外にお住まいとのことで、
    年に1〜2回帰国された際に過ごすご実家を手放したくないというお気持ちも、
    お兄様に管理の負担をかけ続けるのは申し訳ないというお気持ちも、どちらもよく分かります。

    私が気になったのは、今回のご相談が「売るか、買い取るか」という二択になっていることです。

    まず考えたいのは、ご実家を残すことに、今後どれだけの費用がかかり、
    それに見合う価値がご自身にあるのかという点です。

    例えば、ご自身で買い取って維持する場合、固定資産税や火災保険、建物の修繕費、
    庭や室内の管理費などが継続的にかかります。
    空き家は人が住んでいなくても傷みますし、給排水設備の不具合や雨漏りなど、
    気づくのが遅れることで修繕費が大きくなることもあります。

    一方で、年に1〜2回の帰国時に利用できることや、
    将来日本に戻る際の住まいとして使えることは、単純な金額だけでは測れない価値です。

    ですから、維持費がかかるから売却、という判断も、思い入れがあるから保持、
    という判断も、少し早いと思います。

    次に、お兄様の負担についてです。

    管理をお願いしていることに申し訳なさを感じていらっしゃるようですが、
    必ずしも売却だけが解決策ではありません。
    管理会社などに費用を払って管理を委託する方法もありますし、
    建物の状態や立地によっては、賃貸に出して収入を得ながら保有する方法も考えられます。

    ただし、賃貸にすれば必ず得になるわけではありません。
    入居者がいる間は、ご自身が帰国しても自由に使えませんし、
    修繕費や空室期間、賃貸管理の費用も考える必要があります。
    将来の帰国時期が決まっていないのであれば、貸す期間や契約形態も慎重に検討したいところです。

    また、海外在住の場合は、日本国内の不動産を売却したり、
    賃貸収入を得たりする際の税務や手続きについても、
    居住国や税務上の居住者区分などに応じた確認が必要です。

    そして、もう一つ大切なのは、ご実家を誰が所有するのがよいのか、という点です。

    お兄様が管理されているからといって、お兄様が保有する必要があるとは限りません。
    ご自身が買い取るのであれば、購入資金だけでなく、今後の維持費や修繕費も含めて、
    ご自身が責任を持って負担できる計画にしておくことが大切です。
    なお、名義や相続の状況によっては、売買の進め方や税金の確認も必要になります。

    私なら、まずご実家の現在の売却査定額、建物の状態、年間の維持費、
    今後必要になりそうな修繕費を整理します。
    そのうえで、管理を外部に委託した場合の費用や、賃貸にした場合の収支も比較します。

    さらに、ご自身が将来日本に戻る可能性と、
    その際に本当にこのご実家を住まいとして使いたいのかも考えます。

    その結果、費用を負担してでも残したいのであれば、保有することは十分に選択肢になります。
    反対に、将来の利用予定が曖昧で、維持すること自体が負担になるのであれば、
    売却して資金を確保し、将来帰国したときに改めて住まいを探す方法にも合理性があります。

    ご実家を残すことが正解なのでも、売却することが正解なのでもありません。
    大切なのは、ご自身が納得して選べる状態をつくることです。

    お兄様への負担を減らすことと、ご実家を手放すことは、必ずしも同じではありません。
    管理を任せきりにしない仕組みをつくることも含めて、
    一度選択肢を整理してみてはいかがでしょうか。

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