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REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2024/12/22

    奥林洋樹

    H.L.C不動産コンサルティング

    • 50代
    • 北海道
    • 男性
    • 専門家

    ご相談を拝見しました。

    「建物自体も築年数が経っているため『なぜこのタイミングで値上げ?』と疑問に感じています」とのことですが、賃料増減請求は建物の築後年数だけを根拠に行われるものではありません。

    借地借家法第32条で以下のように規定されているからです。

    「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」

    賃貸借契約の条項にも、賃料増減請求について記載されているはずです。

    したがって、「周辺賃料相場の上昇」を根拠とした値上げ請求は適法です。そのため争えるのは、賃料の増減額が妥当かどうかです。これについては当事者間で協議するほかありません。

    協議が整わない場合、貸主は、調停や訴訟を経て賃料の増額を実現する必要があります。その場合、裁判が確定するまで従前賃料を遅滞なく支払えば、いきなり賃貸借契約の解除や強制退去させられることはありません。ただし、訴訟の結果賃料の増額が認められた場合には、従前の賃料と増額分の差額(本件では1万円✕月数)に加え、年1割の利息を支払う必要があるので注意が必要です。

    まずは誠意を持って協議するのが先決でしょう。

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