不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/09/06

    ご相談を拝見しました。

    契約不適合責任の免責を了解したうえで、構造耐力上主要な部分の欠陥、雨漏りの有無、室内・バルコニーの劣化、配管の漏水痕、換気・給排水の稼働状態などを事前に確認するために、「建物状況調査(インスペクション)」の実施を願いでてみられてはいかがでしょうか。

    5万円〜8万円程度の費用負担が発生すると同時に売主の同意は不可欠で、さらに設備機器等の劣化については確認されないものの、それ以外の問題については事前に確認できるため一定の安心材料とはなり得るからです。

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/09/06

    このケースは、売主が高齢で「分からないから一切負わない」という事情自体は理解できます。
    ただし、買主が不安なまま契約する必要はありません。
    インスペクションを入れて、調べられるところまで調べ、
    その結果と価格を踏まえて最終的に「それでも欲しいか」で判断するのが、
    実務的には一番分かりやすいと思います。

    築31年の中古マンションで、売主が契約不適合責任を負わない条件を希望しているのであれば、
    慎重に検討する必要はあります。

    ただ、「契約不適合責任を負わない=購入してはいけない物件」ということではありません。

    中古住宅、特に築年数が経過した物件では、
    売主自身も設備の細かい状態まで把握していないことがあります。
    今回のように売主がかなり高齢であるなら、
    「知らないことについてまで責任を負えない」という考え方にも一定の理解はできます。

    一方で、買主としては「買った後に何が出てくるか分からない」という不安があります。

    そこで私なら、契約する前にできるだけ調べます。

    一番分かりやすいのは、第三者によるインスペクション、
    いわゆる建物状況調査を入れることです。

    国土交通省も中古住宅の取引においてインスペクションの活用を進めており、
    共同住宅についても建物状況調査の制度があります。
    基本的には目視や非破壊検査が中心になりますので、
    建物のすべての不具合を発見できるものではありませんが、
    少なくとも自分の目だけで確認するよりは、専門家に見てもらう意味があります。

    また、インスペクションをお願いする際には、
    「何を調べてもらえるのか」を事前に確認した方がいいです。

    例えば、室内だけではなく、給排水設備、漏水の痕跡、床や壁の状態、バルコニー、
    共用部分で確認できる範囲など、今回のマンションでどこまで調査できるのかを確認します。

    ただし、
    インスペクションをしたから「欠陥がないことが保証される」という意味ではありません。

    国土交通省も、建物状況調査は建物の瑕疵の有無をすべて判定するものではないとしています。
    つまり、インスペクションは「安心を買う」というより、
    「契約前に分かる範囲をできるだけ確認して、知らないリスクを減らすためのもの」
    と考えた方がいいでしょう。

    そして、もし売主がインスペクションそのものを嫌がるのであれば、私は少し気になります。

    もちろん、売主が「検査費用をかけたくない」「日程を合わせるのが難しい」など、
    合理的な理由で断ることもあります。

    ですから、「インスペクションを拒否した=何か隠している」と決めつけることはできません。

    ただ、買主が費用を負担してでも契約前に状態を確認したいと言っているのに、
    合理的な理由なく売主が頑なに拒否するのであれば、私ならその理由は確認します。

    「何かあるのでは?」と疑うというより、
    「なぜ確認することまで嫌なのか」を考えるということです。

    それと同時に、契約不適合責任を免責するなら、価格とのバランスも非常に重要です。

    例えば、周辺の同程度のマンションが3,500万円で、
    今回の物件も3,500万円なのに、「契約不適合責任は一切負いません」というのであれば、
    買主側が負うリスクに対して価格が見合っているのかを考える必要があります。

    反対に、築年数や設備の状態、免責条件などを踏まえて十分に価格が抑えられているのであれば、
    「そのリスクを承知で購入する」という判断もできます。

    つまり、「契約不適合責任がないから買わない」でも、「立地がいいから買う」でもなく、
    「どこまで調べたか」「どんなリスクが残っているか」
    「そのリスクを価格がどこまで織り込んでいるか」を見て判断することです。

    なお、売主が個人の場合は、契約不適合責任の範囲や期間を契約で限定したり、
    免責したりすること自体は、契約内容として設定されることがあります。

    ただし、売主が知っていた不具合を意図的に告げなかった場合などまで、
    「一切責任を負わない」として当然にすべて免責できるとは限りません。
    契約書の免責条項や告知内容は、契約前にしっかり確認してください。

    また、マンションの場合は専有部分だけを見ればいいわけではありません。

    長期修繕計画、修繕積立金の状況、大規模修繕の履歴や予定、
    管理組合の議事録なども確認した方がいいです。

    室内がきれいでも、マンション全体として今後大きな修繕が予定されていたり、
    修繕積立金が不足していたりすれば、購入後の負担につながる可能性があります。

    私なら今回のケースでは、
    ①売主の契約不適合責任免責の具体的な内容を確認する
    ②告知書・付帯設備表などで売主が把握している不具合を確認する
    ③管理状況、修繕履歴、長期修繕計画、修繕積立金などを確認する
    ④可能であれば第三者によるインスペクションを契約前に実施する
    ⑤それらを踏まえて価格を検討する
    という順番で進めます。

    そして最後は、少し現実的な話になります。

    どれだけ調べても、築31年の中古マンションで「将来一切壊れない」ということはありません。

    給湯器、エアコン、キッチン、浴室、トイレなどの設備は、いつか交換時期が来ます。
    インスペクションでも将来の故障まですべて予測できるわけではありません。

    だからこそ、最後に大事なのは、
    「そこまで確認して、残ったリスクも含めて、それでも自分はこのマンションが欲しいのか」
    ということだと思います。

    立地が非常に気に入っていて、価格も納得でき、調べられるところはしっかり調べた。
    その上で、ある程度の修繕費や設備交換費が発生する可能性も受け入れられるのであれば、
    契約不適合責任の免責だけを理由に諦める必要はありません。

    逆に、インスペクションをしても不安が残る、売主が必要な確認に協力してくれない、
    価格もリスクに見合っていないということであれば、私は無理して買わない方がいいと思います。

    不動産は、完全にリスクをなくしてから買うことはできません。

    大切なのは、分からないことを分からないまま契約するのではなく、できる限り確認した上で、
    「この条件、この価格、このリスクなら自分は買う」と納得して決めることです。

    今回の物件が本当に気に入っているのであれば、
    まずはインスペクション等で確認できるところまで確認してみる。
    その結果を見て、必要なら価格交渉もする。

    そこまでやった最後に、それでも欲しいと思えるかどうか。

    私は、それが今回の一番大切な判断だと思います。

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