不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/09/22

    火災保険を解約してしまったからといって、それだけで相続放棄ができなくなるとは限りません。

    相続放棄ができなくなるのは、
    相続人が相続財産を処分するなどして「法定単純承認」に当たる場合です。
    民法では、
    相続財産を処分した場合などに単純承認したものとみなされることが定められています。
    相続放棄は、
    原則として自分が相続人になったことを知った時から
    3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。

    今回のポイントは、「火災保険を解約した」という行為そのものより、
    解約によって何が起きたのかです。

    例えば、解約によって解約返戻金が発生し、
    そのお金を自分のものとして受け取って使ったのであれば、
    相続財産を処分・取得したと評価される可能性があり、相続放棄との関係で問題になります。

    一方で、火災保険を解約しただけで、解約返戻金もなく、
    単純に今後の保険料の支払いを止めるために解約したということであれば、
    それだけで直ちに相続放棄ができなくなると決まっているわけではありません。

    ただ、ここは「大丈夫」と断言してしまうのも危険です。

    特に、保険契約そのものや解約返戻金が相続財産に当たるのか、
    誰が契約者・被保険者だったのか、
    解約後に返戻金を受け取っているのかなどによって判断が変わります。

    今回、「実家の物を処分していない」「預金も使っていない」というのは重要な事情です。
    少なくとも、相続財産を積極的に処分したという事情が他にあるわけではなさそうです。

    ですから、
    火災保険を解約したことだけで「もう相続放棄はできない」と考えてしまう必要はありません。

    ただし、これ以上、父親名義の預金を引き出したり、
    家財を売却・処分したり、不動産を売ったりすることはせず、
    相続財産にはできるだけ手を付けない方がいいです。

    そして、相続放棄を考えているのであれば、3か月という期間もあります。
    借金がある可能性があるとのことなので、
    火災保険を解約した経緯、解約返戻金の有無や金額、
    解約返戻金を受け取った場合にはそのお金をどうしたのかを整理して、
    できるだけ早く家庭裁判所または相続を扱う弁護士・司法書士に確認するのが安全です。

    特に今回のようなケースでは、
    「保険を解約してしまったから相続放棄できない」と自己判断して放棄を諦めるのも、
    「何をしても大丈夫」と考えるのも、どちらも避けた方がいいと思います。

    私なら、まず保険会社から解約返戻金の有無と金額が分かる資料を取り寄せ、
    その資料を持って専門家に確認します。そのうえで、相続放棄の申述を進めるか判断します。

    相続放棄をするかどうかを判断する前に、
    必要な範囲で相続財産を調査すること自体は認められています。
    ですから、今の段階で「もう手遅れ」と考える必要はありません。

    今回の事情だけを見る限り、
    火災保険を解約したという一点だけで相続放棄ができなくなったとは言えません。
    ただ、解約返戻金が発生しているのであれば話が変わる可能性がありますので、
    そこだけは早めに確認した方がいいと思います。

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