不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/09/19

    お兄様が実家に住み続けたいというお気持ちがあり、
    相談者様もそれに納得されているのであれば、お兄様が実家を相続し、
    相談者様に代償金を支払うという分け方自体は、相続ではよくある方法です。

    いわゆる「代償分割」という方法で、相続人の一人が不動産を取得する代わりに、
    他の相続人へ金銭を支払う形です。税務上も正式に認められている分割方法です。

    ただ、
    今回の場合、私は「毎月5万円を20年間」という部分をかなり慎重に考えた方がいいと思います。

    1,200万円を20年間ということは、
    20年間ずっとお兄様から相談者様への債務が残ることになります。

    兄弟仲が今は良くても、20年という期間はかなり長いです。
    その間に、お兄様が病気になったり、収入が減ったり、介護が必要になったり、結婚したり、
    逆に生活環境が変わったりすることもあります。

    そして一番気になるのは、途中でお兄様が実家を売ることになった場合です。

    ここは「売るときは残りを払ってもらう」と口頭で決めるのではなく、
    最初から遺産分割協議書や別の契約書に、残額の扱いまで明確に書いておくべきです。

    例えば、「兄は実家を取得する代償として、妹に代償金1,200万円を支払う」
    というだけでは足りません。

    「支払方法は毎月5万円、毎月○日までに指定口座へ振り込む」
    「支払期限」
    「振込手数料は兄が負担する」
    「一度でも支払いを怠った場合にどうするか」
    「実家を売却する場合には、その売却代金から残額を一括して支払う」
    「残額がいくら残っているのかをどのように確認するか」
    「兄が亡くなった場合に残りの債務をどう扱うか」
    といったところまで決めておいた方がいいです。

    特に大事なのは、相談者様が心配されている「途中で払えなくなった場合」です。

    公正証書には、金銭の支払いについて
    「支払わない場合には直ちに強制執行を受けても異議がない」
    という執行認諾文言を入れることができます。
    このような公正証書であれば、一定の条件の下で、
    通常の裁判を経ずに強制執行の手続きへ進むことができます。

    ですから、今回のように1,200万円を20年間かけて支払うのであれば、
    私は公正証書まで作っておくことを考えます。

    ただし、公正証書を作れば「必ず1,200万円を回収できる」という意味ではありません。

    お兄様に支払える財産がなければ、強制執行をしても回収できないことがあります。

    そこで、もう一つ考えておきたいのが「実家そのものを支払いの担保にする」という方法です。

    例えば、司法書士などに相談して、
    代償金の残額を担保するために実家に抵当権を設定できないかを検討する方法があります。

    そうしておけば、単なる「兄が妹に1,200万円を払う」という約束よりも、
    実家という資産と代償金の債務を結び付けて考えることができます。

    お兄様が途中で実家を売ることになった場合にも、「売った後に残りを払ってください」ではなく、
    売却時に残っている代償金を精算することをあらかじめ決めておけば、
    かなり話が明確になります。

    このあたりは、遺産分割協議書、公正証書、抵当権設定の組み合わせも含めて、
    司法書士や弁護士に具体的な書面を作ってもらうのがいいと思います。

    また、税金について一つ大事なのは、1,200万円を20年間かけて受け取るからといって、
    それぞれの5万円が毎年「兄から妹への贈与」になる、という単純な話ではありません。

    今回の1,200万円が遺産分割協議によって決まった代償金であることが明確になっていれば、
    相続に伴う代償分割として扱われます。
    国税庁も、代償分割の場合には、現物の不動産を取得した人と代償金を受け取る人について、
    それぞれの相続税上の課税価格を計算する取り扱いを示しています。

    ただし、「実家の評価額2,400万円だから1,200万円」というところは少し注意が必要です。

    相続税の計算で使う土地・建物の評価額と、実際の市場価格は同じではありません。
    今回の「2,400万円」が相続税評価額なのか、
    一般的な不動産価格なのかによっても意味が変わります。

    なお、相続人が本当にお兄様と相談者様の2人だけで、
    相続財産が実家2,400万円と少額の預金程度であれば、
    相続税については基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となるため、
    他の財産や生前贈与などがなければ、そもそも相続税が発生しない可能性が高いです。
    2人なら基礎控除は4,200万円です。

    ただ、これは「実家2,400万円」という数字が相続税上の財産評価として妥当で、生命保険や預金、
    その他の財産、一定期間内の贈与なども含めて4,200万円を超えない場合の話です。

    そして、実務上もう一つ大事なのが、実家の名義をいつお兄様に移すかです。

    遺産分割が成立してお兄様が実家を取得するのであれば、
    その内容に従って相続登記をすることになります。
    現在は相続登記が義務化されており、遺産分割が成立した場合は、
    原則として成立した日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

    今回のように「名義は兄にするけれど、代償金は20年間残る」という形にするのであれば、
    名義だけ先にお兄様へ移して、相談者様が無担保で1,200万円を20年間待つ、
    という形には私はしません。

    兄弟仲が良いからこそ、きちんと書面にしておいた方がいいと思います。

    むしろ、今回のケースでは「兄を信用しているから公正証書を作らない」のではなく、
    「兄弟仲が良い状態を20年間維持するために、最初にきちんと決めておく」
    と考えた方がいいです。

    私なら、遺産分割協議書には実家をお兄様が取得することと、
    相談者様への代償金1,200万円の発生を明確に記載し、その支払条件についても具体的に定めます。

    そのうえで、代償金の支払いについては執行認諾文言付きの公正証書を作り、
    さらに実家を担保にできるかを司法書士に確認します。

    ここまでやっておけば、万一20年の途中で何かあった場合にも、
    「そんな約束はしていない」「あと何年払うのか分からない」
    という兄弟間の揉め事をかなり防ぐことができます。

    20年という長い期間の1,200万円ですから、「兄弟だから大丈夫」ではなく、
    「兄弟だからこそ、後でお互いに嫌な思いをしないように最初にきちんと決めておく」。
    私はその考え方が一番現実的だと思います。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/09/21

    代償金を分割払とする場合の遺産分割協議書の主な注意点としては

    ① 分割返済条件をしっかりと明記する。
    ② 期限の利益喪失特約(●円以上滞納があった場合に全額請求ができるという条件)を付けておく
    ③ 滞納に関する違約条項を付けておく
    ④ 不動産に抵当権を設定しておく

    等という方法が考えられます。
    また、この合意を公正証書(強制執行受諾文言付き)にすることで、いざ強制執行をする際に別途訴訟をするという手間を省くこともできます。

    このように、代償金分割精算型の場合には、注意点が多くありますので、一度お住まいの地域の弁護士による正式な法律相談を受けるようにして下さい。

以下の記事もよく読まれています

相談先を選択してください

個人情報保護方針に同意の上、送信ください。

相談テンプレート

住み替えを検討しています。下記物件を売りたいのですが、いくらで売れるでしょうか。
直接◯◯さんに相談したいです。

所在地:品川区〇〇
築年数:15年
間取り:3LDK
専有面積:72㎡
階数/総階数:8階/20階建
管理費・修繕積立金:25,000円/月
現在この物件に住んでいます。

無料で不動産の相談をする