不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/08

    率直に言うと、今回の進め方は、あまりきれいな進め方とは思いません。

    特に気になるのは、
    「住信SBIネット銀行だけです」とLINEではっきり説明されていたにもかかわらず、
    実際には事前の説明や承諾がないまま複数の金融機関へ審査を進めていた、という部分です。

    ただ、ここは「他の銀行にも審査を出したから即アウト」という単純な話ではありません。

    住宅ローンの申込書や融資関係書類の中に、
    複数の金融機関への申込みや審査に関する包括的な同意が記載されていて、
    あなたが署名していたのであれば、
    業者側は「契約時に承諾を得ていた」と主張してくる可能性があります。

    逆に、その書類を見ても今回の複数行への審査まで承諾したとは読み取れない、
    しかも担当者自身が「住信だけです」と明確に回答していたのであれば、話は変わってきます。

    ですから、まず確認してほしいのは「担当者が何を言ったか」だけではなく、
    「あなたが何に署名していたのか」です。

    今回のケースでは、契約時に大量の書類へ署名したとのことなので、
    ここを一つずつ確認した方がいいです。

    「この書類は何だったのか」
    「この署名によって何をすることを承諾していたのか」
    「第四北越銀行を含む複数金融機関への審査について、この書類から承諾したことになるのか」
    「約4,000万円の催告書につながる手続きについて、どの段階で何を承諾していたのか」

    これを担当者本人ではなく、できれば会社の責任者に書面で説明してもらうのがいいと思います。

    もう一つ大事なのが、
    住宅ローン審査の結果をあなたから問い合わせないと知らされなかったという点です。

    これも、すべてのケースで直ちに宅建業法違反になるとは言えません。

    ただ、住宅ローンが購入の前提になっている取引であれば、
    否決や減額といった結果は、買主にとって非常に重要な情報です。

    まして今回は、最初に「住信だけです」と説明され、その後に複数の金融機関へ審査が進められ、
    結果についても十分な報告がされていなかったということですから、
    少なくとも担当者の説明・報告の仕方としては、かなり問題があったのではないかと思います。

    宅建業法上の重要事項説明は、
    宅地建物取引業者が契約成立までに説明すべき事項を定めたものです。
    したがって、住宅ローンに関する担当者の説明不足が、
    そのまま第35条の重要事項説明義務違反になるとは限りません。

    一方で、宅建業者の説明義務は重要事項説明書に書かれている事項だけで終わるものではなく、
    取引の内容によっては、
    相手方の判断に重要な影響を与える事項について説明が問題になることがあります。
    国土交通省の宅建業法の解釈でも、
    第35条は説明すべき事項の最少限を定めたものとされています。

    ですから、今回の件は「宅建業法違反です」とここで決めつけるのではなく、
    実際の書類とLINE、契約解除に至った経緯を見て判断するべきです。

    そして、一番難しいのが最後の「手付金50万円を返してもらえるのか」というところです。

    すでに手付金を放棄する形で解除する書類に署名しているのであれば、
    原則として、その合意はかなり重く考える必要があります。

    単に「担当者の対応が悪かった」「説明が不十分だった」というだけで、
    当然に解除合意が無効になり、50万円が返還されるとは言えません。

    ただし、ここも絶対ではありません。

    例えば、重要な説明について事実と違う説明を受け、
    それを前提として契約や手続きを進めていた、
    あるいは本来承諾していない手続きを勝手に進められたなど、具体的な事情があり、
    それが契約や解除にどう影響したのかを立証できるのであれば、
    別途問題になる可能性があります。

    結局のところ、今回一番重要なのは「担当者が悪かったか」ではなく、「あなたが何を説明され」
    「何を承諾し」「どの書類に署名し」「その署名を根拠に業者が何を行い」
    「その結果、どういう経緯で契約解除に至ったのか」ここを時系列で一本につなげることです。

    私なら、今ある資料を全部整理します。
    まず契約書。
    次に解除合意書や電子署名した書類。
    住宅ローンの申込書、同意書、委任状、個人情報同意書など。
    そして住信SBIネット銀行だけと書かれたLINE。
    複数の銀行に審査を出したことが分かる資料。
    各銀行の審査結果。
    担当者とのメール。
    約4,000万円の催告書。

    そして担当者が「電話で説明した」と言っている部分についても、
    いつ、誰が、何を説明したのかを整理します。

    特に電話については、「言った、言わない」になりやすいので、
    相手が説明したという日時や内容を具体的に書面で確認しておくことが大切です。

    そのうえで、まず担当者ではなく、その会社の店長や責任者、
    できれば代表者に、「私は住信SBIネット銀行だけと説明を受けていたが、
    実際には複数の金融機関に審査が行われていた。この点について、どの書類を根拠として、
    いつ私の承諾を得ていたのか説明してほしい」

    「各金融機関の審査結果について、いつ、どのような方法で私に報告したのか、
    記録を含めて説明してほしい」

    「契約時に署名した各書類について、
    それぞれ何の手続きを承諾する書類だったのか説明してほしい」
    「これらを踏まえて、
    今回の解除及び手付金50万円の扱いについて会社としてどう考えているのか」
    と、書面で回答を求めてみるのがいいと思います。

    ここまでやって会社側が「契約時に署名をもらったので問題ない」の一点張りであれば、
    次の段階です。

    宅建業者を監督する行政庁への相談、所属している宅建業者団体への相談、
    そして必要であれば弁護士への相談です。

    ただ、
    行政庁への相談は「50万円を返してくれるよう交渉してくれるところ」と考えない方がいいです。

    宅建業法上の問題があるかどうかを確認するところと、
    あなた自身が50万円の返還請求をできるかどうかは別問題です。

    今回50万円という金額だけを見ると、「そこまでやるのか」と思う人もいるかもしれません。

    でも、私は金額だけで泣き寝入りする必要はないと思います。

    むしろ今回の場合は、50万円そのものより、
    「何の説明もなく手続きを進められた」
    という部分を曖昧なまま終わらせないことの方が大事だと思います。

    一方で、感情的になって「絶対に返してもらう」と決めてしまうのも違います。

    契約書、解除合意書、ローン関係書類を全部確認した結果、
    あなた自身が複数金融機関への審査を承諾したと判断できる書類が出てくるのであれば、
    担当者の説明が雑だったとしても、手付金返還まで認められる可能性は高くないかもしれません。

    逆に、書類上は承諾したことになっていないのに、
    「住信だけです」と言われていたにもかかわらず、勝手に複数行へ審査を進めていたのであれば、
    きちんと問題として整理する価値があります。

    今回、すでに解除まで進んでいるからこそ、
    これ以上は担当者本人とのやり取りだけで終わらせない方がいいと思います。

    担当者が外れだった可能性も含めて、会社として事実関係を整理してもらう。
    その回答と手元の資料を持って、必要なら行政や法律の専門家に確認する。
    この順番が現実的です。

    そして、今後同じようなことが起きないためにも、
    住宅ローン関係は「担当者に任せておけば大丈夫」とせず、どこの銀行に、
    いつ、何の目的で申込みをするのかを、
    その都度メールやLINEなど記録が残る形で確認することをおすすめします。

    不動産の契約は、数千万円の取引です。

    今回のように、担当者との認識が違ったまま手続きが進んでしまうと、
    後になって「そんなつもりではなかった」では済まなくなることがあります。

    今回の件は、
    まず「自分が署名した書類に何が書かれているのか」
    を全部確認するところから始めるのが一番です。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/08/09

    ご相談を拝見しました。

    売主が業者であり、かつ宅地建物取引業者であると仮したうえで、①から④の質問にき見解を申し上げます。

    ① まず、相談者様への説明もなく複数行へ住宅ローンの申込みを行うこと自体が問題行動です。そもそも、ローン審査には個人信用情報の照会を伴います。本人の明確な認識・同意なく他社へ審査を提出する行為は、媒介契約上の善管注意義務違反および個人情報保護の観点からも大きな問題となる可能性があります。

    さらに、LINEで「住信だけ」と明確に回答していた以上、それを撤回・変更する場合は後発的なトラブルを防ぐため文書やメッセージに残すのが実務上の当然の対応です。「電話で伝えた」という弁明は、業者側の立証責任を果たせていません。

    ② 宅建業者は、単に「サインをもらったから」という形式上の事実だけであらゆる手続きを無断で進めてよいわけではありません。顧客が「その書面に署名することで、具体的にどのような法的・金銭的効果が発生するか」を理解できるよう説明する義務を負っています。加えて、約4,000万円規模の催告書(履行の催告)が届く状態に至るまで、進捗やリスクの報告がないまま手続きを進めたことは、顧客の利益を守るべき宅建業者の信義誠実義務(宅建業法第31条第1項)に著しく反していると見解されます。

    ③ ①及び②の見解から、取引の当事者に対し、誠実かつ公正に業務を行わなければならない信義誠実義務違反(宅建業法第31条第1項)に反していると考えれらます。さらに、住宅ローンの否決・減額は契約の成否を左右する最重要事項です。客観的記録を残さず、相談者様からの問合せで初めて開示する姿勢は、明らかに媒介業者としての注意義務を怠っていると考えられます。

    ④ 形式上は「手付放棄による契約解除」の電子署名を行っているため、純粋な「手付金の返還」という名目での請求は困難かもしれません。しかし、売買契約書に住宅ローン特約が盛り込まれていれば、住信SBIネット銀行の承認が否決された時点で特約に基づく権利を行使できるはずです。

    まずは住宅ローン特約の記載について確認されると良いでしょう。

    もし記載がなかったとしても、「業者側の説明義務違反・不法行為によって損害(50万円の手付放棄を余儀なくされたこと)が生じた」とする損害賠償請求の形で50万円の返還を求める道があるでしょう。必要に応じて弁護士に相談し、相手方と交渉をされては如何でしょうか。

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