不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

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    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/09/18

    ご相談のケースでは、
    「頭金を800万円出したから、売却して残る1,000万円も8対2で分けられる」
    と単純には考えられませんし、
    逆に「登記が2分の1だから、必ず500万円ずつ」とも言い切れません。

    ここは、購入時の資金負担と、8年間の住宅ローンの負担、
    そして離婚に伴う財産分与を分けて考える必要があります。

    まず登記上の持分が夫婦それぞれ2分の1であれば、マンションそのものについては、
    原則として夫婦それぞれが2分の1の持分を持っています。

    ただし、離婚の場合は「登記持分だけで財産分与が決まる」というわけではありません。
    夫婦で協力して形成した財産については、名義にかかわらず財産分与の対象となり、
    最終的な分け方は夫婦で話し合って決めることになります。
    話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の財産分与の手続で判断されることになります。

    今回特に重要なのは、800万円の頭金だけを見ないことです。

    例えば、購入時に奥様が800万円、ご主人が200万円を出したとしても、
    その後の住宅ローンを夫婦でどのような割合で負担してきたのかによって、
    実質的な負担割合は変わります。

    しかも、住宅ローンを夫婦それぞれの収入を合わせて返済してきたとのことですから、
    8年間のローン返済分も含めて考える必要があります。

    したがって、
    「800万円対200万円だったから、残った1,000万円も800万円対200万円」という計算だけでは、
    法的にそのまま認められるとは考えない方がいいです。

    一方で、奥様が独身時代から貯めていた800万円については、
    購入時に奥様自身が負担したことを証明できれば、
    財産形成の経緯を考える上で意味のある資料になります。

    問題は、現在その証拠がどこまで残っているかです。

    当時の通帳を処分してしまったとのことですが、通帳だけが証拠というわけではありません。

    例えば、

    ・マンションの売買契約書
    ・購入時の決済明細や精算書
    ・残代金の支払明細
    ・住宅ローンの契約書や借入申込書
    ・金融機関からの融資実行に関する資料
    ・購入時の振込記録や取引履歴
    ・司法書士から受け取った登記関係書類
    ・不動産会社や金融機関との当時のやり取り
    ・確定申告や住宅ローン控除に関する資料

    などを確認してみる価値があります。

    特に購入時の「売買代金をどうやって支払ったのか」が分かる資料は重要です。

    ただし、これらの資料が見つかったとしても、
    それだけで「売却後の1,000万円を8対2で分けることが確定する」という話ではありません。

    今回のように夫婦共有名義で購入し、その後も夫婦でローンを返済してきた住宅については、
    購入時の頭金だけではなく、
    婚姻期間中に夫婦がどのように住宅を取得・維持してきたのかを含めて整理することになります。
    法務省も、財産分与では夫婦双方の財産形成への寄与や婚姻期間、
    収入など一切の事情を考慮するとしています。

    また、税金についても少し注意が必要です。

    購入当時、実際の資金負担と登記持分が違っていた場合、
    国税庁は、その差額について夫婦間の贈与の問題が生じることがあるとしています。
    例えば、実際の負担は夫2,000万円・妻1,000万円なのに、登記を2分の1ずつにした場合には、
    持分の差額について贈与と扱われる考え方があります。

    もっとも、今回のケースでは住宅ローンも夫婦で組み、
    8年間にわたって夫婦の収入から返済しているとのことなので、
    頭金だけを取り出して贈与額を判断することはできません。
    ローンの契約形態やそれぞれの実際の返済負担なども確認する必要があります。

    そして、離婚に伴って財産を分ける場合には、通常の贈与とは違い、
    財産分与として適正に行われる限り、受け取った側に贈与税がかかるものではありません。

    ですから、今回の問題は「登記が2分の1だから半分で決まり」と考えるより、
    購入時から現在までのお金の流れを一度整理するのが先だと思います。

    私なら、まず購入時の売買契約書、決済関係書類、住宅ローンの契約書、
    住宅ローン控除関係の資料などを全部集めます。
    その上で、
    800万円の頭金を奥様が独身時代の預金から支払ったことを裏付けられる資料が残っていないか、
    金融機関にも過去の取引明細が取得できないか確認します。

    その資料を揃えた上で、売却代金から住宅ローンや売却費用を差し引いた後の金額を、
    どのように財産分与するのが妥当なのかを夫婦で話し合うことになります。

    ここは不動産会社だけで
    「奥様が800万円出したから800万円分多く受け取れます」と判断する問題ではありません。
    夫婦間で金額について争いになっているのであれば、資料を揃えた上で、
    離婚・財産分与を扱う弁護士や税理士に確認してもらった方が安全です。

    なお、マンションを売却すること自体は、
    登記上の共有持分に従って手続きを進めることになりますが、
    売却後のお金を夫婦間で最終的にどう分けるかは、
    離婚に伴う財産分与の問題として別に整理できます。

    「自分が800万円出した」という記憶だけで8対2と主張するのも、
    「登記が2分の1だから絶対に500万円ずつ」と決めつけるのも、どちらも少し早いと思います。

    今回一番大切なのは、購入時の800万円を含め、
    住宅を購入してから現在までのお金の流れをできるだけ資料で確認することです。
    その資料が揃えば、ご夫婦の話し合いをする上でも、
    専門家に相談する上でも、かなり整理しやすくなります。

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