不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/10/09

    ご相談の件ですが、下の階の住人が「クレーマー体質である」という理由だけで、
    内見者に必ず伝えなければならないというわけではありません。

    ただし、実際にどのようなトラブルが発生しているのかによって、対応は変わってきます。

    今回のケースでは、下の階の住人から足音や騒音について何度も苦情を受けており、
    理事会にも相談されているとのことです。
    そのため、単に近隣住民との相性が悪いという話ではなく、
    買主が購入を判断するうえで知っておきたい事情に該当する可能性があります。

    一方で、売主が苦情を受けていたからといって、必ずしも売主側に問題があったとは限りません。
    管理組合に相談した結果、下の階の住人側にも問題があると考えられるのであれば、
    その経緯も含めて事実を整理することが大切です。

    私が実務上、特に注意したいのは、近隣住民の性格を評価することと、
    実際に起きているトラブルを説明することは別だという点です。

    例えば、「下の階の住人はクレーマーです」と伝えるのは適切ではありません。
    相手の性格については主観が入りますし、売主がそう感じていることと、
    客観的に問題のある住人であることは同じではないからです。

    一方で、繰り返し苦情を受けている事実や、
    管理組合への相談歴、現在もトラブルが続いているかどうかは、
    具体的な事情として整理しておく必要があります。

    では、内見者全員に最初から伝えなければならないのでしょうか。

    近隣トラブルについて、一律にすべて告知しなければならないというものではありません。
    ただし、トラブルの継続性や深刻さ、現在の状況などによっては、
    購入判断に影響する重要な情報となり、契約前に説明すべき場合があります。
    仲介会社にも、把握した事実に応じた適切な調査・説明が求められます。

    また、引き渡し後に買主から「契約違反だ」と言われることを心配されていますが、
    説明しなかったという事実だけで、直ちに契約違反になるわけではありません。
    ただし、説明すべき重要な事情を意図的に隠していた場合などには、
    契約の解除や損害賠償をめぐる問題に発展する可能性があります。

    そのため、売却を依頼している不動産会社には、
    これまでの苦情の内容や頻度、理事会への相談経緯、現在の状況を正確に伝えてください。
    そのうえで、告知書への記載や買主への説明が必要かどうかを、
    個別の事情に照らして判断することをおすすめします。

    不動産の売却では、売主にとって不利になりそうな情報をすべて伝えればよいというものでも、
    反対に、聞かれなければ伝えなくてよいというものでもありません。

    大切なのは、事実と主観を分け、
    買主が購入後に初めて知って困るような事情がないかを考えることです。
    売主自身を守るためにも、事前に経緯を整理し、
    適切な説明をしたうえで売買契約を進めることが、
    結果として安心できる取引につながると思います。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/10/10

    ご相談を拝見しました。

    告知をするタイミングについては、必ずしも内見時が最適とは限らないものの、遅くとも内見者が購入の判断をする前までに告知をしておく必要があります。売主には購入の判断に影響を及ぼす事項について告知する義務が、法律上存在するからです。

    もし告げずに売却し、引渡し後に買主が下階から同様のクレームを受けた場合、「重要な事実を告げずに売却した」として、損害賠償請求や契約解除を求められるリスクがあります。過去の裁判例でも、隣人や近隣住民との過度なトラブルを隠して売却した場合、売主の告知義務違反が認められたケースが多数存在します。知っているトラブルを隠して売るリスクに比べ、「事前に納得したうえで購入してもらう」方が、引渡し後の責任追及を防ぐ意味で圧倒的に安全です。

    内見者へ伝える際には、単に「下の人がクレーマーです」と感情的に伝えるのではなく、事実のみを客観的に記録して開示することが重要です。したがって、不動産仲介会社を通じて作成する「物件状況確認書」の近隣トラブルや騒音に関する項目に、具体的に事実を記入し、目を通してもらうようにした方が良いかもしれません。

    まずは媒介契約を結んでいる仲介会社の担当者に、過去の経緯と理事会への相談実績をそのままお話しください。プロの視点から、買主候補への適切な切り出し方や重要事項説明書への記載方法を提案してくれるはずです。

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