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REAL ESTATE Q&A

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    長岡 理知

    長岡FP事務所

    • 50代
    • 青森県
    • 男性
    • 専門家
    投稿日
    2025/08/10

    この度は、奥様のこと心よりお悔やみ申し上げます。大変な状況の中、ご不安な気持ちお察しいたします。

    最初に、法律上の相続関係を正確に理解することが大切です。

    法定相続人について
    奥様の遺産を相続する権利があるのは、相談者様と前夫との間のお子さんの2人です。

    法定相続分について
    法律で定められた相続分の割合は、あなたが1/2、お子さんが1/2です。これは遺産全体に対しての割合です。

    今回の遺産分割協議は、この法定相続分をベースに、具体的に誰がどの財産を相続するかを決めるための話し合いです。

    前夫の立場について
    お子さんは未成年(高校生)のため、法律行為を一人で行うことができません。そのため、親権者である前夫が法定代理人として同席することになります。
    ただし、ここには重要な注意点があります。遺産分割協議では、相談者様とお子さんの利害が対立する(利益相反)関係になります。この場合、親権者である前夫がお子さんを代理することはできません。

    そのため、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらう必要があります。特別代理人とは、今回のようなケースで、未成年者であるお子さんの利益を守るために選ばれる中立的な立場の人です(弁護士や司法書士、親族などが選ばれることが多いです)。

    話し合いの前提として、まずはこの「特別代理人」の選任手続きが必要になることを覚えておいてください。

    相手方が家の相続を希望した場合の対処法
    万が一、お子さん側が「家を相続したい」と主張した場合、考えられる解決策は主に以下の3つです。ご自身の希望と状況に合わせて、どの方法が良いか検討することになります。

    1. 代償分割

    これが最も現実的で、よく取られる方法です。
    相談者様が家を単独で相続する代わりに、お子さんの相続分(家の価値の1/2)に相当する現金を相談者様が支払う方法です。

    自宅の価値の半分の現金を用意する必要があります。

    2. 共有

    相談者様とお子さんが、それぞれの相続分(1/2ずつ)に応じて家の名義を共有する方法です。
    これは現金の支払いがありません。

    しかし将来的に家を売却したり、リフォームしたりする際に、必ず共有者であるお子さんの同意が必要になります。将来的なトラブルの原因になりやすいため、この方法はあまりお勧めできません。

    3.「配偶者居住権」のみを主張する

    2020年4月から施行された「配偶者居住権」4という権利があります。
    これは、あなたが家の所有権を完全に相続しなくても、終身または一定期間、無償でその家に住み続けることができる権利です。

    例えば、家の所有権はお子さんが相続するけれど、「住む権利(配偶者居住権)」はあなたが持つ、という分け方が可能です。この場合、家の価値は「所有権」と「居住権」に分けて評価されるため、あなたが他の預貯金などを多く相続しやすくなる可能性があります。
    この権利は少し複雑ですが、あなたの「住む場所」を法的に強く保護してくれるものです。弁護士に相談する際に、この権利についても確認してみてください。

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