不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/09/08

    ご相談を拝見しました。

    不動産取引においては、決済時まで直接顔を合わせないどころか一度も対面をせずに取引が完了することもあります。媒介や所有権移転登記を担う業者や司法書士が本人確認を実施して問題がないと判断をしたのなら、それほど心配される必要はないかもしれません。

    とはいえ、それは取引を担うプロフェッショナルの見解で、相談者様の心配な気持ちは理解できます。

    まず、仲介会社に「具体的にどのような書類(マイナンバーカード、運転免許証等の顔写真付き公的証明書)で、どうやって(対面かオンラインか等)本人確認を行ったか」のプロセスを詳しく確認してみると良いでしょう。また、不安であれば売買契約時には売主本人の同席を原則とするよう仲介会社に事前に伝えておくのも心配を解消するための一つの方法です。

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/09/08

    結論から言えば、「売主と一度も会っていない」というだけで、
    なりすましを心配する必要はそれほどないと思います。

    不動産の売買では、売主と買主が一度も直接顔を合わせないまま、
    仲介会社を通して契約・決済まで進むことは普通にあります。

    特に中古マンションの場合、
    内覧に売主本人が立ち会わず、仲介会社が鍵を開けて案内することも珍しくありません。

    売主が「自分は立ち会わない」というケースもありますし、遠方に住んでいる、
    仕事の都合がつかない、すでに空室になっているなど、理由はいくらでもあります。

    ですから、「売主の顔を見ていない」「メールと電話だけでやり取りしている」という事実だけで、
    怪しい取引だと考える必要はありません。

    そもそも、だからこそ仲介会社が間に入っています。

    不動産の仲介業者は、単に物件を紹介して内覧に連れて行くためだけにいるわけではありません。

    売主・買主それぞれの本人確認を行い、登記関係や物件の権利関係を確認し、
    契約書や重要事項説明書を作成し、
    契約から決済、引渡しまでの手続きを調整するのが仲介業者の仕事です。
    国土交通省も、不動産取引では宅建業者が関与する一般的な取引の流れを示しています。

    また、宅地建物取引業者には、犯罪収益移転防止法に基づく本人確認などの義務もあります。
    不動産取引における本人確認は、単なる形式的な確認ではなく、
    なりすましや不正な取引を防ぐ意味もあります。

    そして、最後に非常に重要なのが司法書士です。

    不動産の売買では、最終的に所有権を買主へ移転する登記手続が必要になります。

    その際、売主が本当に登記名義人本人なのか、所有権を移転する意思があるのか、
    登記に必要な本人確認や書類が整っているのかなどを確認した上で手続きを進めます。

    所有権移転登記については、司法書士が専門家として申請手続を代理するのが一般的です。
    法務局も、所有権移転などの不動産の権利に関する登記について、
    司法書士を専門家として案内しています。

    つまり、今回の取引で、
    「仲介会社が売主の本人確認をしている」

    「売買契約を正式に締結する」

    「決済時に司法書士が本人確認・登記関係を確認する」

    「問題がなければ所有権移転登記を行う」
    という流れであれば、「売主の顔を一度も見ていない」ということ自体は、
    それほど心配する話ではありません。

    逆に言えば、ここまでの仕組みを何も通さず、
    「登記名義人とは直接会わない」
    「仲介会社も本人確認をしていない」
    「司法書士も関与しない」
    「代金だけ先に個人口座へ振り込んでほしい」
    というような話であれば、これは当然警戒すべきです。

    ですから、今回の質問で私が一番気になるのは「売主と会ったかどうか」ではありません。
    「仲介会社が本当に本人確認をしているのか」
    「契約から決済まで通常の手続きで進むのか」
    「決済時に司法書士が本人確認を行うのか」
    この3点です。

    仲介会社に、
    「売主さんとは一度もお会いしていないので少し気になっているのですが、
    売主様の本人確認は済んでいますか。
    また、決済時には司法書士による本人確認を行う予定でしょうか」と聞いてみれば十分です。

    きちんとした仲介会社であれば、普通に説明してくれるはずです。

    そして、少し意地悪な言い方をすると、
    「仲介会社が詐欺集団だったら心配ですよね」という話になります。

    そこまで疑い始めれば、売主本人に会ったとしても、
    本当に本人なのかを自分だけで完全に確認することはできません。

    だから不動産取引には、登記制度があり、宅建業者がいて、司法書士がいて、契約書があり、
    本人確認があり、決済の手続きがあります。

    一人の人間を信用することで取引を成立させるのではなく、
    いくつもの確認と手続きを重ねて取引の安全性を確保する仕組みになっています。

    もちろん、仲介会社がいるから何も確認しなくていいという意味ではありません。

    買主としては、仲介会社の免許情報や会社情報を確認しておくこと、
    契約前に重要事項説明をしっかり受けること、
    登記事項証明書で所有者や抵当権などを確認することは大切です。

    ただ、今回のように「売主と会ったことがない」という一点だけを取り上げて、
    なりすましを強く心配する必要はないと思います。

    不動産取引では、売主と買主が直接会わないことは普通にあります。

    大事なのは「会ったかどうか」ではなく、
    「誰が、どの段階で、どのように本人確認をしているか」です。

    そして、最終的に所有権を移すところでは司法書士が確認します。

    そこまで通常の手続きで進む取引であれば、売主と一度も対面していないことを理由に、
    過度に不安になる必要はないと思います。

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