不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/28

    相続登記がまだ終わっていないことだけで、「契約してはいけない」とまでは言えません。
    ただ、今回の相談では「相続で揉めている」という点があるので、
    そこは別問題として慎重に考えた方がいいと思います。

    相続登記は、相続人の間で遺産分割がまとまり、
    その不動産を誰が取得するのかが確定していれば、
    売却に向けて手続きを進めること自体は珍しいことではありません。
    相続登記は現在義務化されており、
    相続による取得を知ってから原則3年以内に申請する必要があります。
    また、実際に売却する場合には、相続登記をして権利関係を確定させておく必要があります。

    ですから、今回のポイントは「相続登記が終わっているか」より、「誰がその不動産を相続して、
    誰が売主になることについて相続人全員の合意ができているか」です。

    例えば、
    遺産分割協議がすでに成立している
    相続人全員が売却に同意している
    売主になる相続人も確定している
    司法書士が戸籍等を確認して相続登記の手続きを進めている
    決済・引渡しまでに相続登記を完了させる段取りができている
    という状況なら、
    相続登記がまだ申請中・未完了ということ自体は、そこまで珍しい話ではありません。

    一方で、今回のように「相続で揉めている」という話が本当なら、
    私は契約を急ぐ前に、何について揉めているのかを確認します。

    例えば、兄弟の一人が「この家は自分が相続する」と言っているのに、
    他の相続人が納得していないのであれば、これは単なる登記手続きの遅れではありません。

    その状態で「とりあえず契約して、相続登記と一緒に進めましょう」は、
    買主側としてはあまり気持ちのいい進め方ではありません。

    相続人が他にもいるのに、その人の同意が取れていない、遺産分割協議がまとまっていない、
    あるいは遺言の内容について争いがある、といった状況なら、相続登記がいつ終わるか以前に、
    売主として売却できる状態なのかを確認する必要があります。

    宅建業者には、契約成立までに重要事項を説明する義務がありますし、
    登記された権利関係なども重要事項の対象です。
    そもそも不動産取引は権利関係が複雑になりやすいため、
    そこを確認してから契約することが重要です。

    私なら、担当者に次のことを聞きます。
    「相続登記が未了なのは分かりましたが、遺産分割協議はもう成立しているのでしょうか。
    現在の相続人は誰で、今回の売主になる方が単独でこの不動産を取得することについて、
    相続人全員の合意は取れているのでしょうか。
    また、司法書士さんはその確認を済ませていますか?」
    ここが明確に答えられるのであれば、かなり安心できます。

    逆に、
    「そこはこれからです」
    「相続人の間でちょっと揉めています」
    「登記は契約と並行して進めます」
    「たぶん大丈夫です」
    という程度であれば、私は契約を急がない方がいいと思います。

    特に、相談者さんが心配されている「後から別の相続人が出てきたら」という点は、
    まさに事前確認すべきところです。
    司法書士が戸籍を遡って相続人を確認し、
    誰が所有権を取得するのかを整理してから相続登記をするので、
    そこを専門家に確認してもらうことが重要です。

    また、相続登記が終わる前に契約するのであれば、
    少なくとも
    「決済・引渡しまでに売主名義への相続登記を完了し、
    買主への所有権移転登記ができる状態にする」
    ことを契約上明確にしておくことが大切です。

    私なら、今回のケースでは、
    ①不動産会社から相続関係の説明を受ける
    ②司法書士が相続人・遺産分割の内容を確認
    ③相続人全員の売却意思を確認
    ④相続登記の具体的なスケジュールを確認
    ⑤そのうえで売買契約
    ⑥決済までに相続登記を完了
    ⑦買主への所有権移転登記**
    という順番にします。

    もちろん、実務上は②~④と売買契約の準備が並行して進むこともあります。

    ですから、「相続登記が完了してからでないと絶対に契約できない」というわけではありません。
    ただし、「相続で揉めている」という情報が出ている以上、
    今回は単なる登記未了物件として軽く考えない方がいいでしょう。

    不動産会社に疑念を持っているのであれば、
    なおさら、担当者に「大丈夫ですか?」と聞くだけではなく、
    相続人は誰なのか、遺産分割は成立しているのか、誰が売主になるのか、
    司法書士は何を確認済みなのか、
    いつまでにどの登記を完了させるのかを具体的に聞いてみてください。

    ここをきちんと説明できる会社・担当者なら、
    相続登記がまだ終わっているかどうかだけで過度に心配する必要はありません。

    反対に、
    ここが曖昧なまま「契約しておけば大丈夫です」と言われるのであれば、私は一旦止めます。

    登記がまだだから危険なのではなく、
    権利関係が整理されていないのに契約を急がされることが危険、
    という考え方をすると分かりやすいと思います。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/08/28

    売主の相続登記が終わっていない場合でも契約締結自体は可能です。

    しかし、相続紛争で揉めていて相続登記が進まないことが原因で、所有権移転や実際に不動産を利用できる時期が契約条件よりも大きくずれこんでしまう場合や、契約を解除して白紙にせざるを得ないような場合もあります。

    そのような状況に備え、経済的不利益が生じないような契約条件にしておくことも可能ですが、やはり一定のリスクは視野に入れておく必要があるものと考えます。

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