不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/09/04

    この相談は、
    FPとしてはかなりはっきり「私はおすすめしません」と答えていいケースだと思います。
    「兄を応援したい」という気持ちと、
    「母の住まいを事業リスクにさらすこと」は分けて考えた方がいいです。

    私なら、かなり慎重に考えます。

    結論から言えば、お母さまの実家を担保に入れて、
    お兄さまの事業資金1,500万円を借りることは、私は基本的におすすめしません。

    お兄さまが「迷惑をかけない」「きちんと返す」
    と言っていることを疑っているわけではありません。

    ただ、借金の怖いところは、最初から返すつもりがない人が返せなくなることではなく、
    返すつもりで借りた人が、事業環境の変化などによって返せなくなることです。

    特に今回は「事業拡大」のためのお金です。

    現在の事業が順調で、さらに規模を大きくするために1,500万円を借りるということであれば、
    まず考えるべきなのは「なぜ金融機関から通常の事業融資として借りられないのか」です。

    金融機関が「実家を担保に入れなければ融資できない」という判断をしているのであれば、
    それは少なくとも金融機関から見て、
    事業そのものや返済可能性について十分な評価を得られていない可能性があります。

    もちろん、事業融資では担保を求められること自体は珍しくありませんし、
    「担保が必要=事業が悪い」と決めつけることもできません。

    ただ、家族の住む実家を担保に差し出さなければ事業拡大資金を調達できないのであれば、
    私は「それでも家を担保にしてまで拡大する必要がある事業なのか」を一度立ち止まって考えます。

    事業拡大には成功する可能性もあります。

    うまくいけば利益が大きくなり、1,500万円を十分返済できるかもしれません。

    ただし、うまくいかなかった場合、その損失を負うのはお兄さまだけではありません。

    実家に抵当権を設定して融資を受け、返済できなくなれば、
    最終的には担保となっている実家が売却・競売の対象となる可能性があります。

    お母さまが現在住んでいる家ですから、
    単なる「兄の事業の借金」では済まなくなる可能性があります。

    また、将来お兄さまと相談者さんが相続する予定だからこそ、余計に注意が必要です。

    「どうせ将来相続する家だから」という考え方は危険です。

    相続する予定の財産を、
    まだ相続していない段階でお兄さまの事業リスクにさらすことになるからです。

    そして、私ならもう一つ確認します。

    そもそも、その実家はいくらの担保価値があるのでしょうか。

    例えば市場価格が2,000万円の家だからといって、
    金融機関が2,000万円をそのまま貸してくれるわけではありません。

    土地・建物の評価方法や、
    建物の築年数、立地、再建築の可否、権利関係などによって担保評価は変わります。

    1,500万円の融資に対して、実家を担保に入れることが本当に金融機関にとって十分な担保なのか、
    そもそもどの程度の評価をされている物件なのかも確認した方がいいでしょう。

    そして、お母さまが「息子を応援したい」と考えていることも、とてもよく分かります。

    ただ、応援することと、自宅を担保にすることは別問題です。

    お兄さまの事業が失敗した場合、
    お母さまの住まいを失う可能性まで背負って応援する必要があるのか。

    私はそこは分けて考えた方がいいと思います。

    私だったら、原則として拒否します。

    「兄の事業を応援したくない」のではなく、
    「母の住まいを事業の担保にすることには賛成できない」という判断です。

    どうしてもお兄さまが実家を担保にしなければ事業を続けられないというのであれば、
    私はむしろ「そこまでしなければ成り立たない事業拡大なら、今回はやめる」
    という判断も必要だと思います。

    事業には一発逆転のように大きく成功する可能性もあります。

    しかし、家族の生活基盤をその一発に賭ける必要はありません。

    どうしても検討するのであれば、最低でも、
    ・1,500万円を何に使うのか
    ・その投資によって年間いくら利益が増える想定なのか
    ・売上が計画の70%になった場合でも返済できるのか
    ・現在の借入はいくらあるのか
    ・毎月の返済額はいくらになるのか
    ・事業が赤字になった場合、誰が返済するのか
    ・実家の担保評価はいくらなのか
    ・お母さまが住み続けられるような別の方法はないのか
    くらいは、数字で確認してから判断すべきです。

    特に「返せると思う」ではなく、
    「売上が○%落ちても返せる」「利益が○万円減っても返せる」というところまで
    確認することが大切です。

    私なら、
    その数字を見たうえでもなお「実家を担保にしなければ事業拡大できない」
    という結論になるのであれば、今回はやめてもらいます。

    事業は失敗しても、またやり直すことができます。

    しかし、お母さまの住まいを失ってしまえば、取り戻すことは簡単ではありません。

    「兄を信じるか、信じないか」という問題ではありません。

    信じているからこそ、家族の生活基盤まで事業リスクに巻き込まないという考え方もあります。

    どうしてもお兄さまを応援したいのであれば、
    実家を担保にする以外の資金調達方法を金融機関や公的な創業・事業支援制度なども含めて
    検討して、それでも必要性があるのかを確認するのが先だと思います。

    そして、私なら「将来相続する家だから」という理由ではなく、
    「今、お母さまが安心して住み続けられる家なのか」という視点で判断します。

    家族のために残すはずの実家を、
    家族の事業のために失う可能性があるのであれば、それは本末転倒だと思います。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/09/05

    以下回答いたします。

    ◆手続き上の現実と「物上保証人」のリスク
    手続き上は、不動産の所有者であるお母様が承諾して、抵当権設定に関する契約を締結すれば、その不動産を担保に、融資を受けることは物理的に可能です。
    このように、自分の債務(借金)ではないのに他人のために担保を提供する人を「物上保証人」と呼びます。
     •返済できなくなった場合
      金融機関は担保である実家を差し押さえ、競売にかけて換金します。
      売却代金は借金の返済に充てられ、お母様は立ち退きを迫られ大切な不動産を失います。
     •「迷惑はかけない」の限界
      お兄様に悪気がなくても、景気の悪化や体調不良など、予期せぬ事態で事業が傾く可能性は誰にでもあります。
      なので「返済する」という言葉だけで防げるリスクではありません。
      「迷惑をかけない」というのなら、お母様の不動産をあてするのではなく、自力で何とかしましょう。

    ◆すでに抵当権が設定されている場合はどうなるか?
    もし実家に、過去の住宅ローンなどの「先順位の抵当権」がすでに設定されている場合、以下の状況になります。
     •借り入れが難しくなる(もしくは融資限度額が下がる)
      金融機関は、実家が競売にかけられた際に「1番目の抵当権者」から優先して未払い金を回収します。
      お兄様が新たに借りる金融機関は後順位の「2番手」になるため、実家の担保価値から1番目の借入残高を差し引いた金額までしか貸してくれないか、もしくは、最悪の場合は審査に落ちます。
     •1,500万円の満額融資は厳しい可能性
      実家にすでに抵当権がある場合、よほど実家の土地・建物に高い価値がない限り、2番手の抵当権で1,500万円を借り入れるのは困難なケースが多いです。

    ◆将来の「相続」への影響
    実家はお兄様とあなたで将来相続する予定とのことですが、担保に入っている状態で相続が発生すると、以下のような大きなトラブルに発展します。
     •借金がついたまま相続することになる
      お母様が亡くなった時点で、実家にはお兄様の借金の担保(抵当権)がついたまま、となります。
     •不公平な相続になる
      実家を2人で分けるにしても、お兄様のせいで担保に入っている実家をあなたが相続するのはリスクしかありません。
      かといって実家をお兄様が1人で相続する場合、あなたへの代償金(現金など)を支払う余裕がお兄様にあるかという問題が生じます。(代償分割)


    家族・関係者間で 包み隠さずしっかり話し合った上で、決断されることをおすすめします。

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