不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/05/22

    まず、今回の問題は、「法律だけ」で整理しようとすると、逆にまとまりづらくなるケースだと思います。

    なぜなら、相続は、“感情”がかなり強く絡むからです。

    特に、
    ・同居介護
    ・看取り
    ・葬儀対応
    ・親との距離感

    この辺りは、数字だけでは整理しきれません。

    なので、お兄様が「自分が介護してきた」という感情になること自体は、ある意味自然です。

    実際、寄与分という制度自体も、“特別な貢献”を一定程度考慮するためにあります。

    ただし、ここで誤解されやすいのですが、「同居して介護した=全部自分のもの」と、自動的になるわけではありません。

    寄与分が認められるには、
    ・どの程度の介護だったか
    ・無償性
    ・継続性
    ・財産維持への貢献
    ・通常期待される範囲を超えていたか

    など、かなり具体的に見られます。

    そして実務上は、「法定相続分を大きく覆すほど認められる」ケースは、そこまで多くありません。

    一方で、ご相談内容を見る限り、
    ・最後の2年同居
    ・日常介護
    ・精神的負担
    ・生活拘束

    は、お兄様側に実際あった可能性は高いと思います。

    ここは、「ヘルパーがいたから同じ」とは、少し切り分けて考えた方が良い部分でもあります。

    通う介護と、同居介護は、精神的負担がかなり違うケースも多いからです。

    なので今回、完全に「兄がおかしい」とも言い切れませんし、逆に、「全部兄のもの」とも当然なりません。

    問題は、“どこで落としどころを作るか”だと思います。

    例えば実際には、
    ・寄与分として一定額上乗せ
    ・実家取得+代償金支払い
    ・預貯金配分調整

    などで、合意するご家族もかなり多いです。

    逆に、「法定相続分だけで完全に白黒つける」方向に行くと、調停・審判まで長引きやすく、感情対立も深くなりやすいです。

    特に今回、現段階では、遺産分割協議そのものが、まだ成立しにくい状態だと思われます。

    相続は、相続人全員の合意がないと、基本的には前へ進みません。

    なのでまずは、
    ・財産全体の整理
    ・不動産評価
    ・介護実態
    ・お兄様の希望
    ・皆様がどこまで譲れるか

    ここを、一度冷静に整理した方が良いと思います。

    もし、「法的権利をきっちり整理したい」のであれば、早めに相続に強い弁護士や司法書士へ相談するのも一つです。

    特に、感情対立が深くなる前の方が、実はまとまりやすいケースも多いです。

    逆に、「多少寄与分を認めても関係性を壊したくない」という方向なら、まずはお兄様の話をしっかり聞きながら、“何を求めているのか”を整理していくことも大切です。

    相続は、法律だけでは終わりません。

    だからこそ、「権利」と「感情」を切り分けながら、でも片方だけ無視しないことが、結果的には一番揉めにくい進め方だと思います。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/05/23

    質問を拝見いたしました。

    ■寄与分について
    寄与分という言葉だけ知って、
    解釈を拡大して捉えていらっしゃるようです。

    介護自体は身体的に精神的に大変なことではありますが、

    価値に換算すると微々たるものなので
    そこまで大きく法定相続分を変えるものではありません。

    ■裁判所以外の方法
    家庭裁判所に申し立てる以外の方法は兄弟間で話し合いを行い決めるか、中立的な立場で相続のことをお話し出来る人が間に立つ必要があります。

    お兄様が自宅にこだわっていて、
    妹の2人が現金でよろしければ遺留分侵害額請求という方法もあります。

    現金の他に、不動産を売却した時の想定金額も含めた金額も含めた全財産から、
    各人の法定相続分のさらに1/2が最低限確保できる現金です。

    それらを交渉する余地があることを説明しながら折り合いを付けることになります。


    ■相続相談の分割について
    相続は誰もが満足した形で分けることは経験上出来ません。
    互いに自分が少し欠けていると感じて分けるくらいでないと難しいです。

    精神的に大変かと思いますが頑張ってください。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/07/15

    はじめまして、イエステーション ㈱コムハウス 角田と申します。

    結論として、長男が2年間同居して介護したという事実だけで、
    実家全部を取得できるとは限りません。

    寄与分は、単に「親の世話をした」「長男として葬儀を仕切った」というだけではなく、通常の親族間の扶養・協力を超える特別な貢献によって、お母様の財産が維持・増加したことを具体的に証明する必要があります。裁判所も、寄与分を「被相続人の財産の維持または増加について特別に寄与した相続人」に認める制度としています。

    1.長男の介護に寄与分が認められる可能性

    介護による寄与分が認められるかは、主に次の事情で判断されます。

    お母様の要介護度や認知症の程度
    長男が実際に行っていた介護内容
    介護の期間・頻度・拘束時間
    ヘルパー、デイサービス、施設など外部サービスの利用状況
    長男が仕事を辞めたり勤務を減らしたりしたか
    本来必要だった介護費用をどの程度節約できたか
    あなたと妹さんが行った介護や通院支援
    お母様から長男に生活費、報酬、贈与などが支払われていたか

    今回の事情では、長男が最後の2年間同居していた点は寄与分を主張する材料になります。一方で、ヘルパーが入っていたこと、あなたと妹さんも交代で通っていたことは、長男だけが全面的に介護を担ったわけではないことを示す重要な事情です。

    そのため、寄与分が一定額認められる可能性はあっても、当然に「実家全部が長男のもの」となる事案ではありません。

    また、葬儀の手配や喪主を務めたことは、通常、財産の維持・増加に直接つながる行為ではないため、それだけで寄与分になるとは考えにくいです。

    2.寄与分は「実家をもらう権利」ではありません

    寄与分が認められたとしても、長男に実家そのものを優先的に与える制度ではありません。

    基本的には、相続財産全体に寄与分を反映させて、各人の取得額を再計算します。

    仮に、相続人がお子さん3人だけで、実家の時価が4,500万円、預貯金が1,500万円、遺産総額が6,000万円だったとします。寄与分がなければ、原則として1人2,000万円ずつです。

    仮に長男の寄与分を600万円と合意した場合には、概算上、

    遺産6,000万円から寄与分600万円を控除
    残り5,400万円を3人で分ける
    1人当たり1,800万円
    長男は1,800万円+寄与分600万円=2,400万円

    という考え方になります。

    長男が実家4,500万円を取得したいなら、預貯金の配分だけでは不足するため、原則として長男からあなたと妹さんへ代償金を支払う必要があります。

    3.公平な分割方法

    現実的には、次の3つが考えられます。

    長男が実家を取得し、代償金を支払う

    長男が住み続けたい場合には、最も分かりやすい方法です。

    まず実家の時価を査定し、寄与分を話し合ったうえで、長男が預貯金を取得しない、または長男が不足分を現金で支払います。

    注意点は、長男に代償金を支払う資力があるかどうかです。支払えないのに実家だけ長男名義にすると、後から回収できない危険があります。

    分割払いにする場合は、支払期限、遅延損害金、期限の利益喪失、担保設定などを遺産分割協議書に明記する必要があります。

    実家を売却し、売却代金を分ける

    長男に代償金を支払う資力がない場合、最も公平で紛争を終わらせやすい方法です。

    売却代金と預貯金を合算し、認めるべき寄与分があれば調整したうえで分けます。

    ただし、長男が居住中で売却に協力しない場合は、すぐには進まない可能性があります。

    3人の共有名義にする

    一時的な方法としては可能ですが、基本的にはお勧めしません。

    売却、賃貸、大規模修繕、建替えなどのたびに兄妹間の協議が必要になり、次の相続が起きると共有者がさらに増える可能性があります。今回のように既に対立がある場合、共有は問題の先送りになりやすいです。

    4.調停の前に、まず行うこと
    遺産全体を開示させる

    長男に対して、感情的な話ではなく、書面またはメールで次の資料の共有を求めてください。

    お母様名義の預貯金一覧
    死亡日時点の残高証明書
    死亡前数年間の取引履歴
    不動産の登記事項証明書
    固定資産税納税通知書、評価証明書
    生命保険、証券、出資金等の有無
    借入金、未払金の有無
    葬儀費用の請求書、領収書
    長男が立て替えたとする介護費用の資料
    お母様から長男への送金や現金引出しの内容

    相続人であれば、金融機関に対して残高証明書等を請求できる場合があります。裁判所の遺産分割資料でも、預貯金の残高証明書や通帳、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書などが標準的資料とされています。

    長男が葬儀や財産管理を仕切っていたのであれば、特に死亡前後の多額の出金は確認してください。ただし、出金があっただけで直ちに使い込みとは断定できません。葬儀費用、医療費、生活費など使途の確認が必要です。

    実家の価格を客観的に査定する

    固定資産税評価額だけで分けると、実際の市場価格と大きく離れる場合があります。

    福岡市西区の不動産会社2~3社に査定を依頼し、

    現状のまま売却した場合の価格
    建物を解体して土地として売る場合の価格
    売却諸費用、解体費、測量費等

    を把握してください。

    長男が取得する場合も、原則として現実の市場価格を基準に代償金を計算する方が公平です。

    長男に「寄与分の根拠」を書面で出してもらう

    「介護したから家全部」という抽象的な主張ではなく、次を具体的に提示してもらいます。

    介護期間
    1日・1週間当たりの介護時間
    行った介護内容
    外部サービスの利用日数
    仕事への影響
    自己負担した費用
    主張する寄与分の金額
    金額の計算根拠
    証拠資料

    主張する側が、特別な寄与の内容と金額を具体化する必要があります。

    兄妹3人で協議書案を作る

    口頭だけで話すと、「言った・言わない」になります。

    例えば、次の3案を数字で示します。

    A案:実家を売却して現金分割
    B案:長男が実家を取得し、他の2人に代償金を支払う
    C案:一定額の寄与分を長男に認めたうえで売却・分割する

    寄与分の有無だけを先に争うより、具体的な解決案を並べた方が協議が進みやすくなります。

    5.兄妹だけで話が進まない場合

    家庭裁判所へ行く前に、相続に詳しい弁護士から長男宛てに通知書を送ってもらう方法があります。

    通知書には、

    遺産資料の開示要求
    実家の独占取得には同意しないこと
    寄与分の具体的根拠を求めること
    査定額を基準に協議したいこと
    無断で預金払戻しや不動産処分をしないこと

    などを記載します。

    弁護士が入ることで、長男も「介護したから全部自分のもの」という感情的な主張から、金額と証拠に基づく話へ移行しやすくなります。

    第三者を入れる方法として、弁護士同席の協議や民間ADRもありますが、長男が話合い自体を拒否する場合は、最終的には家庭裁判所の遺産分割調停が現実的です。

    6.家庭裁判所に進む場合

    長男が寄与分を主張し、協議が整わなければ、遺産分割調停の中で争うか、寄与分を定める処分調停が問題になります。寄与分調停では、裁判所が双方から事情を聞き、資料の提出を受け、合意を目指します。まとまらなければ審判による判断に進むことがあります。

    調停は「長男を訴える」というより、裁判所の調停委員を介して、遺産の範囲、評価額、寄与分、分割方法を整理する手続です。

    長男が資料を出さず、話合いを拒み続けるのであれば、調停を必要以上に避ける必要はありません。

    7.すぐに確認したい期限

    相続税の申告が必要な場合、原則として、お母様が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割が終わっていなくても期限は延びません。

    また、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に相続登記を行う義務があります。遺産分割成立後にも、その内容に応じた登記が必要です。

    今回の進め方

    今回のケースでは、次の順番が適切です。

    ①遺産目録の作成
    ②預貯金の履歴・葬儀費用・介護資料の開示
    ③実家を2~3社で査定
    ④長男に寄与分の金額と根拠を書面提出させる
    ⑤3つの分割案を提示
    ⑥期限を決めて協議
    ⑦まとまらなければ弁護士通知または遺産分割調停

    長男の介護への貢献は、事実に応じて適切に評価すべきです。ただし、介護したことと、実家を無償で全部取得することは別問題です。介護への評価は「寄与分という金額」で調整し、実家の取得については時価と代償金で公平に調整するのが基本的な解決方法です。

    以上、参考になれば幸いです。
    最終的な判断は、弁護士さんへご相談下さい。
    宜しくお願いいたします。

  • 私が回答します

    山賀 達木

    株式会社トップトラスト

    • 30代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/07/17

    ご相談内容を拝見しました。
    まず結論からお伝えすると、「介護をしたから実家は自分のもの」という主張がそのまま通ることは、実務上まずありません。寄与分が認められるハードルはかなり高く、しかも認められても「実家を丸ごと取得できる」ような大きな金額になることは稀です。
    寄与分(療養看護型)が認められる要件
    介護を理由にした寄与分(療養看護型)は、次の要件をすべて満たす必要があります。

    ・介護の必要性:目安として要介護2以上の状態だったか
    ・特別の貢献:通常の親子の扶養義務を超える負担だったか
    ・無償性:対価を得ずに行っていたか
    ・継続性:一定期間以上続いていたか
    ・専従性:介護に専従していた(他の人に任せず自分が中心的に担っていた)か
    ・財産の維持・増加との因果関係:その介護によって、本来かかるはずだった介護費用の支出が抑えられたなど、財産面への影響があったか

    今回のケースでは、ヘルパーが入っていたこと、あなたと妹さんも交代で通っていたことは、まさに「専従性」と「特別の貢献」を弱める材料になります。同居していた事実だけで自動的に寄与分が認められるわけではなく、実際に認められても、計算上は「裁量的割合」という形でかなり控えめな金額に調整されるのが一般的です。「実家を独占できるほどの寄与分」というのは、通常は成立しにくい主張だと考えていいです。
    調停の前にできること
    1.遺産の全体像を確定させる:不動産の評価額(査定を取る)、預貯金の残高、そして見落としがちですが、生前贈与や使途不明金がないかを確認してください。葬儀を長男が単独で仕切っているので、通帳の取引履歴(特に亡くなる前後の出入金)を早めに取り寄せて確認しておくことをお勧めします。長男だけが生前贈与を受けていた場合、それは「特別受益」として長男の取り分から差し引く対象になります。
    2.兄に、介護の実態を裏付ける資料の提示を求める:要介護認定の結果、ヘルパーの利用記録、通所記録などを確認すれば、専従性がどの程度あったのか客観的に判断しやすくなります。
    3.遺産分割協議書を勝手に作らせない:遺産分割は相続人全員の合意がなければ成立しません。長男が単独で名義変更などを進めようとした場合に備えて、法務局に「遺産分割前の相続登記」の状況を確認しておくと安心です。
    4.早めに弁護士へ相談する:調停に進む前に、今の情報(要介護度、ヘルパーの利用状況、あなた方の関与状況)を整理して、寄与分の主張がどこまで現実的かを専門家に見立ててもらうと、話し合いの場でも冷静に対応できます。

    遺言もなく、情報の共有もされていない状況なので、まずは「相続財産の全体像」と「介護の実態を示す客観的な資料」の2つを揃えることが、公平な分割を実現するための土台になります。話し合いで折り合いがつかなければ、家庭裁判所の遺産分割調停に進むことになりますが、その前段階でできることはまだ十分にあります。

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