不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/20

    定期借地権だから避けた方がいい、とまでは思いません。
    今回の物件は、「800万円安い」という価格差が、
    定期借地権による制約や将来負担を考えても
    本当に魅力的なのかを冷静に計算する物件だと思います。

    まず、銀行の反応が鈍いこと自体は、それほど不思議ではありません。

    定期借地権付きマンションは、土地を所有する一般的なマンションとは担保の考え方が違います。
    金融機関からすると、土地そのものを所有しているわけではなく、借地権の残存期間や契約内容、
    担保設定の可否などを確認する必要があります。

    そのため、金融機関によって
    「取り扱わない」「借入期間を残存期間以内にする」「一定の条件なら取り扱う」
    と対応が分かれることがあります。

    実際、フラット35でも定期借地権については、
    通常の借入期間と借地権の残存期間の短い方が借入期間の上限とされています。
    今回の残存期間が約50年であれば、45歳の相談者の場合、
    年齢による上限の方が先に来る可能性が高く、年齢だけで考えれば35年という選択肢はあります。
    もっとも、実際の融資は取扱金融機関や物件の条件によって判断されます。

    ですから、「定期借地権だから35年ローンは組めない」という話でもありませんし、

    「残り50年あるから普通のマンションと同じようにどこの銀行でも35年組める」
    という話でもありません。

    ここは、購入を決める前に具体的な物件資料を銀行に見せて、
    実際にいくら・何年で借りられるのかを確認するのが一番です。

    そして、私はむしろこちらの方を重要視します。

    今回、周辺相場より800万円安いとのことですが、
    その800万円をそのまま「お得」と考えない方がいいです。

    定期借地権には、毎月の地代1万2,000円と解体準備金3,000円があります。
    これだけで年間18万円です。
    例えば35年間単純に支払えば630万円になります。

    もちろん地代の改定や将来の支払条件、解体準備金の扱いなどがありますので、
    単純に630万円と決めつけることはできません。

    それでも、「800万円安いけれど、毎月1万5,000円の負担がある」という事実は、
    購入判断ではきちんと見ておいた方がいいでしょう。

    さらに、定期借地権は期間満了時に土地を返還することを前提とした権利です。
    一般的な所有権マンションのように
    「土地も含めて自分の資産として残る」というものではありません。

    したがって、今回の相談者の場合、45歳で残存期間50年ということだけを見れば、
    自分が住む期間としては十分と考えるのは自然です。

    ただし、私は「自分が50年生きるかどうか」だけでは考えません。

    むしろ、「20年後、30年後にこのマンションをどうするのか」を考えます。

    例えば65歳、75歳になったときに売却する可能性はないでしょうか。

    そのとき、残存期間が30年、20年となっていれば、今より買主が限定される可能性があります。
    特に住宅ローンを利用する買主が多い市場では、
    金融機関の融資条件が売却のしやすさに影響します。

    つまり、購入時に安いことと、将来売りやすいことは別問題です。

    今回のような物件なら、私は契約前に少なくとも次のことを確認します。

    「この物件を実際に扱える金融機関はどこか」
    「自分の場合、35年借りられるのか」
    「借入可能額はいくらなのか」
    「地代は将来改定されるのか」
    「解体準備金は将来増額される可能性があるのか」
    「借地期間満了時の解体費用は誰がどのように負担するのか」
    「残存期間が短くなったとき、過去にこのマンションで売買事例があるのか」
    「現在の管理費・修繕積立金を含めた毎月の総支払額はいくらなのか」

    ここまで確認してから判断します。

    特に銀行については、3行に断られたことだけで「この物件は危険」と判断する必要もありません。

    逆に、1行でも通ればいいという考え方も危険です。

    実際に自分が希望する借入額・借入期間で融資してくれる金融機関があるかが重要です。

    フラット35についても、定期借地権を一律に対象外としているわけではなく、
    一定の条件を満たせば利用できる場合があります。
    ただし、借地権の担保設定などの条件があるため、こちらも物件ごとの確認が必要です。

    そして、ファイナンシャルプランニングの観点では、45歳という年齢もかなり大事です。

    35年ローンなら完済は80歳。
    「35年借りられる」ことと「35年で返すのが良い」ことは別です。

    退職後の返済をどうするのか、退職金をあてにするのか、
    65歳までにどの程度繰り上げ返済するのかまで考えておいた方がいいでしょう。
    住宅金融支援機構も、
    借入期間を決める際には退職時期や退職後の返済を考える必要があるとしています。

    今回の物件について私なら、「定期借地権だからやめる」ではなく、
    「800万円安い理由を全部数字にして、それでも欲しい物件なのか」を考えます。

    駅徒歩7分、築5年、周辺より800万円安いという条件だけを見ると、かなり魅力的です。

    一方で、
    購入価格の安さ
    +地代
    +解体準備金
    +管理費・修繕積立金
    +将来の売却しやすさ
    +住宅ローンの選択肢
    +老後の返済
    ここまで全部並べてみてください。

    その結果、
    「所有権マンションより800万円安いから、この制約を受け入れてでも住みたい」
    と思えるのであれば、
    定期借地権だからという理由だけで見送る必要はないと思います。

    反対に、「800万円安いから」という理由だけで選んでいるのであれば、私は一度立ち止まります。

    定期借地権マンションは、万人におすすめできる商品ではありません。
    でも、条件を理解したうえで「自分の住み方には合っている」と判断できる人にとっては、
    所有権より安く駅近のマンションを購入できる選択肢にもなります。

    今回一番避けたいのは、
    「銀行が嫌がっているからやめる」でも「800万円安いから買う」でもなく、
    仕組みを十分理解しないまま契約することだと思います。

    まずは担当者に
    「この物件を実際に35年で融資してくれる金融機関を具体的に確認してください」とお願いして、
    その回答をもらってから、毎月の総支払額と老後までの返済計画を一度並べてみる。

    そこまでやって、それでも欲しいと思えるなら、私は十分検討していい物件だと思います。

  • 私が回答します

    福島

    関計株式会社

    • 40代
    • 大阪府
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/20

    ご相談内容を拝見いたしました。

    結論から申し上げますと、今回ご検討されている定期借地権付きマンションのご購入は見送ることを強くお勧めします。

    定期借地権付き物件は、将来的に資産価値がゼロに向かうリスクを追う代わりに「超好立地」と「圧倒的な居住コストの安さ」を得るための選択肢です。今回の物件はこのどちらの条件も満たしていません。

    見送りを推奨する主な理由
    1.「駅徒歩7分」は定期借地権の立地として弱い
    定借物件の最大の強みは、所有権では手が出ない駅至近(徒歩1〜3分圏内)の立地を安く手に入れられる点にあります。徒歩7分は所有権であれば良好ですが、定借物件としては利便性の強みが乏しく、将来売りたい・貸したいと思った際に流動性が著しく低下します。(例:JR福島駅徒歩2分といった極めて利便性の高い立地であって初めて検討価値が生まれます。)

    2.「総コスト」が近隣賃料より安くならなければメリットがない
    毎月の住居費(住宅ローン返済額 + 管理費・修繕積立金 + 地代1.2万円 + 解体準備金0.3万円)の合計額が、近隣の同等賃貸物件の家賃よりも明確に安く収まっていないのであれば、購入する意味はありません。800万円の価格差も、50年間の地代・解体費の累計(900万円)で完全に相殺されます。

    銀行のローン審査・担保評価が厳しい
    土地の担保価値がないため民間銀行の取り扱いは限定され、融資期間が制限されるケースも多くなります。フラット35は利用可能ですが、将来この物件を誰かに売却しようとした際、次の買い手もローンが組みづらくなるという出口リスクを抱えることになります。

    ★ご相談者様へのアドバイス
    独身で将来の負担を抑えたいお立場であれば、資産として手元に残らず、毎月追加の維持費(地代等)が発生し、売却も難しい今回の定借物件はリスクが高すぎます。

    同等の毎月支払額で収まる「通常の所有権付き中古マンション」に条件を変更するか、柔軟に住み替えができる「賃貸」を継続しながら資産形成を図る方が、老後に向けた安心感に繋がります。

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所在地:品川区〇〇
築年数:15年
間取り:3LDK
専有面積:72㎡
階数/総階数:8階/20階建
管理費・修繕積立金:25,000円/月
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