不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/09/22

    遠方にある相続不動産だからといって、相続人ご本人が何度も現地へ行って、
    遺品整理から売却まで全部自分でやらなければならないわけではありません。

    今回のようなケースであれば、
    私は「現地に行けないこと」を理由に一人で抱え込まない方がいいと思います。

    不動産会社に売却を依頼し、現地の遺品整理業者、残置物の処分業者、
    必要に応じて司法書士などを手配してもらい、
    できるだけ現地対応をまとめてもらうことは実務上可能です。

    ただし、不動産会社が相続人の代わりに何でもできるわけではありません。

    例えば、
    遺品の中から何を処分するかという最終判断は
    所有者である相続人にしてもらう必要がありますし、
    相続登記や売却に必要な本人確認、売買契約など、
    法律上本人の関与が必要になる部分もあります。

    今回の場合、特に注意したいのが相続関係です。

    お祖母様が亡くなった時点ではお母様が相続人だったものの、
    その後お母様も亡くなられているのであれば、いわゆる数次相続になっている可能性があります。
    お祖母様からお母様、そしてお母様から相談者様へという権利関係を整理したうえで、
    最終的に相談者様が売却できる状態にする必要があります。

    現在は相続登記も義務化されており、
    相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内が原則です。
    相続登記をしないまま売却を進めると、権利関係の整理に時間がかかってしまうこともあります。
    今回のような数次相続では、最初に司法書士へ相続関係を確認してもらうのが現実的です。

    そして、ここからが今回一番大事なところです。

    「不動産会社に売却まで任せたい」という希望自体は、十分現実的です。

    例えば、相談者様は宮城県にいながら、鹿児島の不動産会社に現地を確認してもらう。
    室内の状況を写真や動画で報告してもらう。
    残置物についても、処分業者に見積もりを取ってもらう。
    必要なものが残っていないかを相談者様とオンラインで確認し、処分について了承を出す。

    そのうえで、売却方法を相談し、
    購入希望者が決まったら契約から決済までを司法書士などと連携して進めてもらう。

    こういう進め方はできます。

    ただ、最初から「売却だけお願いします」と不動産会社を探すより、
    「相続した家で、所有者は宮城県在住。現地に頻繁に行けないので、
    相続登記、遺品整理、残置物処分、売却まで現地で段取りを組んでくれる会社を探している」
    と伝えた方がいいです。

    不動産会社によって、そこまで対応できる範囲にはかなり差があります。

    また、遺品整理についても、単純に「全部捨てればいい」という話ではありません。

    すでに貴重品や重要書類を持ち帰ったとのことですが、
    通帳、権利証・登記識別情報、契約書、固定資産税関係の書類、保険関係の書類など、
    売却や相続手続きに関係するものが残っていないかは、
    処分前に現地業者と不動産会社に確認してもらった方がいいです。

    特に古い家の場合、家の中だけではなく、
    物置や倉庫、押し入れなどに書類が残っていることもあります。

    そして、売却方法についても、必ずしも「全部片付けてから普通に売る」必要はありません。

    建物の状態や土地の価値によっては、
    残置物をある程度整理したうえで中古住宅として売る方法もありますし、
    古家付き土地として売却した方がいい場合もあります。
    場合によっては、買主側で残置物処分をする条件で売却できることもあります。

    ここは現地を見て、いくらかけて片付ける価値があるのかまで含めて判断するところです。

    26歳で仕事が軌道に乗ってきた時期に、宮城から鹿児島まで何度も通って、
    遺品整理や不動産売却を全部自分でやる必要はありません。

    私なら、まず鹿児島の不動産会社を一社決めて、現地確認から始めてもらいます。

    その会社に「相続案件なので、売却だけでなく、
    残置物や遺品整理、司法書士との連携まで含めて、できるだけ現地で進めたい」
    と最初に伝えます。

    そのうえで、相談者様が現地に行くのは、
    どうしても本人で判断・対応しなければならない場面だけに絞ります。

    不動産会社が本人に代わって所有権を勝手に処分できるわけではありませんが、
    委任できる部分について委任状を用意し、司法書士などの専門家と連携することで、
    所有者が遠方にいても手続きを進めることはできます。
    法務局も、相続登記について司法書士に代理を依頼できることを案内しています。

    今回のケースは、「遠方だから売却できない」のではなく、
    「現地で動いてくれる人をどう組み合わせるか」の問題です。

    全部を自分でやろうとすると大変ですが、不動産会社を窓口にして、
    遺品整理業者、残置物処分業者、司法書士などをつないでもらえば、
    相談者様が鹿児島に何度も足を運ばなくても売却まで進められる可能性は十分あります。

    私なら、売却価格だけで不動産会社を選ばず、
    「宮城に住んでいる相続人に代わって、鹿児島の現地でどこまで段取りを組んでくれるのか」
    を一番重視して依頼先を決めます。

    今回必要なのは、単に家を売ってくれる不動産会社ではなく、
    遠方にいる相続人の負担まで考えて、
    売却までの面倒な部分を現地でまとめてくれる不動産会社だと思います。

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