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REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2025/05/03

    奥林洋樹

    H.L.C不動産コンサルティング

    • 50代
    • 北海道
    • 男性
    • 専門家

    ご相談を拝見しました。

    最近、相談が増加しているケースですね。理事会が「強制的に止めるのは難しい」と判断するのは、管理規約はあくまで区分所有者間の契約であり、違反者に対して直接的な強制力を持つわけではないからです。そのため、請求が聞き入れられない場合には裁判所の判断を仰ぐ必要があります。

    区分所有法第57条では、「共同に利益に反する行為の停止等の請求」が規定されています。そこでは区分所有者が共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をする恐れがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するために必要な措置を執ることを請求できる旨が規定されています。

    今回の相談ケースでは、民泊運営を原因として不特定多数の出入りがあり、騒音の発生が確認されているため、裁判所から「共同に利益に反する行為」と認定される可能性は高いでしょう。ただし、訴訟には証拠(騒音の記録、出入りの状況など)が必要となり、それを収集するための時間と費用もかかります。また、裁判所の判断によっては、必ずしも差止めが認められない可能性もあります。そのため、管理組合は可能な限り裁判を提訴しようとは考えません。

    個人的に、民泊行為を原因とした騒音によって睡眠を妨げられた、プライバシーを侵害されたなど、精神的な苦痛を受けたとして損害賠償請求(不法行為、民法709条)を提訴することも可能です。ただし、こちらも損害額の算定や因果関係の立証は困難であるとの課題があります。

    お勧めの方法としては、区分所有者が一丸となって具体的な迷惑行為の記録(日時、状況など)などの証拠を収集しつつ、管理組合を通じて、要望が聞き入れられなければ「提訴も辞さない」旨の注意喚起をする方法です。そのためには、早い段階で専門家である弁護士に相談しておくと良いでしょう。

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