不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/13

    これは、「15年以上タダで使わせていたから、もう返してもらえないのでは?」
    と考えて余裕を持っているのは危ないと思います。

    今回のように、父親が近所の方に無償で畑を使わせていたのであれば、
    一般的には「使用貸借」に当たる可能性があります。
    使用貸借は、賃料を取っていないこと自体から直ちに「永久に使わせる」
    という権利が発生するものではありません。
    期間や使用目的をどう取り決めていたかによって、終了時期や返還請求の可否が変わります。

    特に、期間も使用目的も具体的に決めていなかったのであれば、
    貸主は契約を解除できると民法598条2項に定められています。

    ですから、
    「父が15年以上使わせていた=相続した自分も、そのまま使わせ続けなければならない」
    という話ではありません。

    ただし、ここで一つ注意したいのは、
    「口約束だから今日から使うな」といきなり言えばいい、というほど単純でもないことです。

    15年間も継続して畑として使っているのであれば、
    実際に父と相手との間で「いつまで」「何のために」「どういう条件で」
    使わせていたのかを確認する必要があります。

    お母様の記憶や、相手方からの説明も含めて、
    「父からどのような話をされていましたか」「いつまで使っていいという話でしたか」
    「売却するときには返してもらう話になっていませんでしたか」などを確認しておくことです。

    そして、将来的に売却するつもりなら、私なら「そのうち返してもらえばいい」とは考えません。

    売却の話が具体的になってから、
    「実は15年間使わせています」「返してもらう話はまだしていません」となると、
    買主を探す側からすると非常に扱いにくい土地になります。

    理想は、売却を考え始めた段階で、相手の方に事情を説明して、
    「父から使っていただいていたことは承知しています。
    ただ、相続した土地について今後売却も考えているため、○月末を目途に返していただきたい」
    という形で、返還時期を明確にしておくことです。

    15年という期間が長いので、
    「長年使わせてもらっていたのだから、今さら返してと言われても困る」
    と相手が考える可能性もあります。
    そこを無視して感情的に進めるより、まずは父との約束がどうだったのかを確認して、
    できれば話し合いで返還時期を決める方が、売却まで考えれば圧倒的に進めやすいです。

    また、相続したから使用貸借関係を一から作り直すわけではありません。
    相続人として父の財産関係を引き継いでいるので、
    父がどのような条件で土地を使わせていたのかが重要になります。

    今回のポイントは、「タダで貸していたから返してもらえない」のではなく、
    「どんな約束で使わせていたのか」が重要ということです。

    そして、売却を考えているのであれば、私なら後回しにはしません。

    不動産は、売ろうと思ったときにすぐ売れる状態になっている方が強いです。
    買主が決まってから使用者との返還交渉を始めるのではなく、
    売却を考えた時点で使用関係を整理しておく。これが実務的には一番安全だと思います。

    もし相手が返還に応じない、
    あるいは「父からずっと使っていいと言われている」などと主張してきた場合は、
    そこで初めて弁護士等に契約関係を確認してもらう段階です。
    15年間という長さもありますので、
    そこは「口約束だから簡単」と決めつけない方がいいでしょう。

    今回のケースなら、
    まず父と相手との間にどんな話があったのかを整理する → 返還時期を話し合う → 売却活動に入る
    という順番をおすすめします。
    「まだ売るか決めていないから」と何年も放置するより、
    将来売る可能性があるなら、今のうちに整理しておく方がずっと楽です。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/08/13

    無償で不動産を貸している場合には、法律上「使用貸借契約」という事になります。
     使用貸借契約の場合、条件次第では、速やかな解約が難しくなる場合もあります。
     そのため、存命の間に、きちんと返却の条件を契約書面にしておくことをお勧めします。
     また、相続後に自分が使わない農地の場合には、相続するとかえって処分にてこずるような場合もあります。そのような不動産であればは、現在の使用者に権利を有償(あるいは無償)で譲渡するような方針を立ててもよいかもしれません。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/08/15

    ◆相続後の返還請求
     相続後でも「返してほしい」と言えます。
     口約束(期間の定めなし)で15年以上経過していれば、目的達成に十分な期間が過ぎたとみなされ、いつでも解約を申し入れることが可能です。 
     ※民法598条 
       https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_3-Ch_2-Se_6-At_598

    ◆もし「もらった」と言われた場合の対策
     証拠がなくても、名義人であるこちらが圧倒的に有利です。
      •名義(登記)と固定資産税:土地の名義がお父様のままで、我が家が税金を払い続けている事実が「あげていない(貸している)」強力な証拠になります。「もらった」と主張するなら、その証拠を示す責任はお相手にあります。
      •初動の切り出し方:相手に「もらった」と言わせないため、「父の遺品整理で、長年タダでお貸ししていたと聞きました」と、貸し借り前提の既成事実を作って切り出しましょう。
      •「もらった」と主張されたら:「なぜ名義変更しなかったのか」「なぜ我が家が税金を払い続けているのか」を突きつけ、客観的な証拠の提示を求めましょう。

    ◆売却へのステップと着地点
     •相続登記:まずは畑の名義をお父様から相続人へ変更します。
      ※相続登記義務化 https://www.moj.go.jp/MINJI/souzokutouki-gimuka/index.html
     •話し合いと書面化:相手の収穫時期に配慮しつつ期限を決めて交渉します。合意できたら「解約合意書」を交わします。
     •妥協案(覚書):すぐの立ち退きを拒まれたら「あと1年貸す代わりに、これは借りている土地であるという覚書」にサインをもらいます。一通でも書類を書かせれば、土地を乗っ取られる時効のリスク(時効取得)は完全に消滅します。

    話がこじれそうな場合は少しでも早く、専門の弁護士へ相談することをおすすめします。

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