不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/20

    この相談は、まず「賃貸暮らしだから使える」と単純に考えない方がいいです。
    小規模宅地等の特例は税額への影響が大きい一方、適用要件が細かいため、
    ここは税法上の条件を整理して確認するのが先です。

    今回のケースで重要なのは、亡くなったお父様が住んでいた土地を、
    同居していなかった一人っ子の相談者が相続するという点です。

    いわゆる「家なき子」の要件を満たせば、同居していない親族でも、
    被相続人が居住していた宅地について特例を使える可能性があります。

    ただし、単に「自分が賃貸マンションに15年間住んでいる」というだけでは足りません。

    代表的には、相続開始時に相談者自身が居住する持ち家を所有していないことに加え、
    過去の一定期間における住宅の所有状況や、親族等の持ち家に居住していないかなど、
    細かな要件があります。

    また、今回「父の実家に頻繁に通っていたが住民票は移していない」とありますが、
    頻繁に通っていたことと、生活の本拠として同居していたことは別の話です。

    住民票だけで判断するわけではありませんが、実際にお父様と同居していたのか、
    それともあくまで別居していて通っていたのかは、きちんと整理しておいた方がいいでしょう。

    そして、もう一つ大事なのが
    「誰がその土地を相続するのか」と「相続後もその土地をどのように利用するのか」です。

    小規模宅地等の特例は、相続税の計算上、
    一定の要件を満たした宅地について評価額を大幅に減額できる制度です。
    今回のように地価の高い地域であれば、
    適用できるかどうかで相続税額が大きく変わる可能性があります。

    一方で、要件を満たしているつもりで申告して、
    後から要件を満たしていなかったとなると困ります。

    相続税の申告期限は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月です。

    ですから、今回については「私は賃貸だから大丈夫そう」と考えて相続手続きを進めるより、
    お父様の土地・建物の名義と評価額
    相続開始時のお父様の居住状況
    相談者自身の現在の住宅所有状況
    過去の住宅所有状況
    配偶者や親族の持ち家との関係
    相続後にその実家をどうする予定なのか
    このあたりを資料で確認して、小規模宅地等の特例が使える前提で計算した場合と、
    使えない場合の両方で相続税を試算してみるのが現実的です。

    特に今回は一人っ子とのことなので、遺産分割の問題は比較的シンプルかもしれませんが、
    相続税については「不動産の評価」と「特例の適用」をセットで考えた方がいいです。

    私なら、まず税理士に相談します。
    司法書士は相続登記などの手続きには強いですが、
    相続税の申告や小規模宅地等の特例の適用判断は税理士の領域です。

    そして不動産会社にも、相続した実家を将来売却する可能性があるなら、
    その予定を早めに伝えておきます。

    というのも、相続税だけを見て「特例が使えるから実家を残した方が得」と判断してしまうと、
    実際の生活や売却計画と合わなくなることがあります。

    相続税がいくらになるのかを確認することと、その家を今後どうするのかを決めることは、
    分けて考えた方がいいです。

    今回のケースは、家なき子に該当する可能性は十分検討する価値がありますが、
    「賃貸暮らしだから使える」というところで止めず、
    税理士に具体的な所有関係と居住状況を見てもらうのが一番確実だと思います。

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