不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/21

    お父様が生前に「実家は売って、姉弟で分ければいい」と何度も話していたのであれば、
    相談者としては「父がそう言っていたのだから売れるはず」と考えてしまうと思います。

    ただ、法律上は少し冷静に考える必要があります。

    遺言書など正式な意思表示が残っていないのであれば、
    生前の口頭での希望だけで、相続後に弟さんへ売却を強制することは基本的に難しいです。
    相続人が複数いる場合、遺産分割は相続人同士の協議で決めることになり、
    話し合いがまとまらなければ家庭裁判所に遺産分割を求めることもできます。

    ただし、ここで大事なのは、
    「弟さんが反対しているから、実家は永遠に売れない」ということではありません。

    今回のようなケースでは、まず「弟さんはなぜ残したいのか」を確認した方がいいと思います。

    実際には、「父との思い出があるから残したい」という気持ちなのか、
    「将来、自分が使う可能性があるから残したい」という考えなのか、
    それとも単純に「今売るのがもったいない」と思っているのかで、話し合い方は変わります。

    もし弟さん自身が実家を取得したいのであれば、弟さんが家を取得して、
    相談者さんには相続分に応じた代償金を支払う「代償分割」という方法もあります。

    反対に、弟さんも住む予定がなく、維持管理をするつもりもないのであれば、
    「残したい」という希望だけではなく、
    「誰が固定資産税を払い、誰が草木の手入れをし、建物の修繕や空き家管理をするのか」
    まで具体的に話してみることをお勧めします。

    遺産分割には、現物分割、代償分割、共有、換価分割などいくつかの方法があります。
    売却して代金を分ける換価分割も、
    遺産を取得したい相続人がいない場合などに一般的に使われる方法です。

    特に今回、相談者さんが近くに住んでいて、弟さんは県外ということですから、
    「残すか売るか」という感情的な話だけではなく、
    残した場合の負担を誰が引き受けるのかまで含めて話すことが重要だと思います。

    それでも話し合いがまとまらない場合には、
    家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法があります。
    相続人の一人から申し立てることができ、調停でもまとまらなければ審判に移り、
    裁判所が遺産の種類や性質、相続人それぞれの事情などを考慮して分割方法を判断します。

    ただ、いきなり調停というより、私ならその前に一度、不動産会社に査定を出してもらいます。

    例えば、
    「今売ったらいくらになるのか」
    「年間の維持費はいくらなのか」
    「空き家のまま5年、10年持った場合にどの程度の負担になるのか」
    「売却する場合、どのくらいの期間がかかりそうなのか」
    を数字にして、弟さんに見てもらいます。

    お父様の「売って分けてほしい」という言葉を根拠に弟さんを説得するより、
    今売る場合と残す場合、
    それぞれのメリット・負担を数字で並べる方が話は進みやすいと思います。

    相続した実家は、売るにも残すにも相続人全員の事情が絡みます。
    今回のように一方は「売りたい」、もう一方は「残したい」という状況であれば、
    感情だけで結論を出さず、まず不動産の価値と維持負担を具体化してから話し合うのが現実的です。

    そして、それでも弟さんが「残したい」と言うのであれば、
    次は「では弟さんが取得するのか、共有で残すのか、代償金はどうするのか」
    まで踏み込んで話すべきです。

    「売らない」という選択にも、それなりの責任と費用が伴います。
    そこまで含めて二人で決めることが、後々兄弟関係を悪くしないためにも大切だと思います。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/08/22

    口頭約束で証拠が残っていない場合、弟様が反対している現状では 実家をそのまま売却することは極めて難しくなります。
    なぜなら、不動産の名義変更や売却には、相続人全員の合意(遺産分割協議)が必要となるため、です。

    今後、弟様との話し合いを進めるためのポイントを 整理しました。


    ◆他の資産の有無と財産分与(代償分割の必要性)
    実家以外の資産(現預金など)がどれだけあるかによって、進め方が異なります。

    1. 実家以外に資産がない場合
     弟様が実家を残す(取得する)なら、弟様はあなたに「代償分割」を行う必要があります。
      これは弟様が実家を丸ごと相続する代わりに、弟様自身の現金(自己資金)から、あなたの相続分に相当するお金を支払う方法、です。
      そのため 弟様にまとまった現金がなければ、この方法は成立しません。

    2.実家以外にも資産がある場合
     遺産分割において弟様が実家、あなたが同等の現預金を相続すれば均等に分けらことはできますが、実家の維持管理費や固定資産税などは、今後すべて弟様が負担することになる、ということを書面で約束をしておく必要があります。


    ◆遺留分への注意
    兄弟2人のみのお手続きであるため、法定相続分は各2分の1、法律上保障される最低限の取り分(遺留分)は各4分の1となります。
    どちらかの取り分が全体の4分の1を下回るような分け方をすると、後々トラブルに発展するリスクがあるため注意が必要です。

    ◆住む予定がない弟様へのアプローチ
    県外に家があり住む予定もない弟様は、感情的な愛着から「残したい」と言っている可能性が高いと思われます。そのため、「現実にかかるコストと責任」を具体的に提示して冷静に話し合いましょう。

    ◆「残してもいいが、私の相続分を現金で今すぐ支払ってほしい(代償分割)」と弟様へ伝える
    毎年の固定資産税や草木の手入れ費用を算出し、「遠方に住むあなたがすべて費用を払い、業者を手配することが条件」ときっぱり伝えておきましょう。
    現実的な負担を突きつけられることで、弟様もお父様の意向通り「売却して現金で分ける」ことに納得しやすくなります。

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/08/24

    遺産に関して法定相続人との間で話し合いがまとまらない場合には、原則として、遺産分割協議で方針を決めることになります。そして、協議で話がまとまらない場合には、家庭裁判所での調停、審判へと解決の場が進んでいきます。

     ところで、裁判所手続に移行した場合の不動産の処分の方法としては、
    ① 現物分割(分筆)
    ② 換価分割(協力して売却して現金を分割)
    ③ 代償分割(取得希望者が不動産を取得し、不動産を取得しない方に適正な金額を代償金として支払う)
    ④ 共有分割(共有持ち分を確定させ、共有状態で不動産を管理していく。)
    という方法があります。

     裁判所を利用する前の親族間協議の段階でも、基本的にこの考え方が妥当します。
     本件のような場合、不動産を残したい弟様に代償金の支払能力が有る場合には、代償分割の方式で協議を進めればよいことになります。

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