不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/09/07

    この相談は、かなりはっきり答えていいと思います。

    「売却してから払えばいいのでは?」という考え方は、税法上は基本的に違います。
    固定資産税は売却代金から払えばいいという性質のものではなく、
    納期限までに納めるのが原則です。
    滞納すれば延滞金が発生し、
    督促を経て滞納処分、場合によっては不動産の差押えに進む可能性があります。

    また、「名義は自分だけど弟と一緒に売却する」という事情があっても、
    固定資産税の納税義務者と、兄弟間で最終的にどう負担するかは別問題です。
    ここはきちんと分けて説明した方がいいです。

    実務上も、売却が決まっているなら「そのうち売れるから」と放置するのではなく、
    自治体に連絡して現在の滞納額を確認し、可能なら早めに納付するのが一番です。

    固定資産税は、「どうせ売却する予定だから、売却代金が入ってから払えばいい」
    という考え方はしない方がいいです。

    結論から言えば、納期限が過ぎているのであれば、売却を待たずに早めに納付するのが原則です。

    固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者が納税義務者となるのが基本です。
    相続が発生している場合は、亡くなった方の納税義務が相続人に引き継がれることがあります。

    今回のように、
    相続によって相談者さんがマンションを取得して名義も相談者さんになっているのであれば、
    「弟と一緒に売却する予定だから、弟にも払ってもらわないといけない」という話と、
    税務上誰が納税義務者なのかは分けて考える必要があります。

    弟さんとの間で売却費用や税金をどう負担するかは、兄弟間で決める話です。

    一方、自治体から見れば、「兄弟でどう分担するか」は基本的に別の問題です。

    そして、
    固定資産税を払わないまま放置すると、単に元の税額だけを後から払えば済むとは限りません。

    納期限を過ぎれば延滞金が発生する可能性があります。

    さらに滞納を放置すると、督促などを経て、
    最終的には財産の差押えなどの滞納処分に進む可能性があります。
    税の滞納処分では、不動産も差押えの対象になります。

    ですから、「売却すれば現金が入るから、そのとき払えばいい」と考えて、
    そのまま何もしないのはおすすめできません。

    特に不動産の場合、差押えまで進んでしまうと、売却そのものにも大きな影響が出ます。

    売却活動を始めたとしても、
    「税金を滞納しているから売れない」という単純な話ではありませんが、
    差押え登記などが入れば、通常の売買のようにスムーズには進められません。

    実務的には、
    売却する予定が決まっているのであれば、今の段階で市区町村などの担当窓口に連絡して、
    「相続した不動産を売却する予定ですが、固定資産税が未納になっています。
    現在の未納額と延滞金を含めた納付額を確認したい」と伝えて、
    まず正確な金額を確認するのがいいと思います。

    そのうえで、払えるのであれば早めに払う。

    どうしても今すぐ払えないのであれば、放置するのではなく、
    自治体に事情を説明して今後の納付について相談する。

    これが現実的です。

    また、不動産を売却するときには、
    固定資産税について売主と買主との間で日割りなどによる清算をすることがあります。

    ただし、ここは勘違いしやすいところで、売買時の固定資産税の清算は、
    地方税法上の納税義務者を買主に変更するものではありません。

    例えば1月2日に売却して所有権が買主に移ったとしても、
    その年度の固定資産税について自治体から課税される納税義務者が
    自動的に買主へ変わるわけではありません。
    売買契約上、当事者間で日割り清算するのは別の話です。

    今回のケースでも、
    「売却したら固定資産税は買主が払ってくれる」という考え方にはしない方がいいです。

    あくまで売主側の納税義務を整理したうえで、
    売買契約では必要に応じて固定資産税・都市計画税の清算を行う、という考え方です。

    そして、もう一つ気になるのが、「共有名義が面倒なので自分一人が相続した」という部分です。

    これは税金とは別ですが、弟さんと一緒に売却代金を分けるのであれば、
    相続時にどのような遺産分割をしたのか、
    マンションの取得を相談者さん一人にした代わりに弟さんとどのような合意をしているのかは、
    売却前に整理しておいた方がいいです。

    名義を一人にしたからといって、兄弟間のお金の問題まで自動的に消えるわけではありません。

    ただ、固定資産税については話を複雑にする必要はありません。

    「売却予定だから払わなくてもいい」ということではありません。
    納期限が来た税金は納める。
    遅れているなら延滞金を含めて現在の金額を確認する。
    払えないなら自治体に相談する。
    売却時の固定資産税の清算は、それとは別に考える。
    この順番です。

    今回のように「近いうちに売るつもりだから」という理由で固定資産税を後回しにするのは、
    あまりおすすめしません。

    売却代金が入るまで待つメリットはほとんどなく、
    時間が経てば延滞金が増える可能性がありますし、
    滞納処分まで進めば売却にも余計な問題が発生します。

    「どうせ売るから」ではなく、「売るからこそ、税金関係をきれいにしてから売る」。

    これが不動産売却では一番シンプルで安全な考え方だと思います。

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