不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/06/19

    お母様名義のマンションを売却するために成年後見制度を利用する場合、
    まず前提として理解しておきたいのは、「成年後見制度は相続人や家族のための制度ではなく、
    認知症になったご本人の財産や生活を守るための制度」という点です。

    そのため、家庭裁判所が判断する基準も、「売却した方が家族に都合が良いか」ではなく、
    「売却することがお母様本人の利益になるか」です。

    ご相談のケースのように、
    ・施設入居費用を確保する必要がある
    ・今後ご本人がマンションへ戻って住む可能性が低い
    ・空室のまま維持費や固定資産税だけが発生する
    という事情がある場合は、一般的には売却の必要性が認められるケースが多いです。

    成年後見申立てから売却までの流れは概ね次のようになります。
    ①家庭裁判所へ成年後見開始の申立て
    ②裁判所による審理・必要に応じて医師の鑑定
    ③成年後見人の選任
    ④後見人が不動産売却の必要性を検討
    ⑤売却契約の締結
    ⑥(居住用不動産の場合)家庭裁判所へ売却許可申立て
    ⑦許可取得後に決済・引渡し
    という流れになります。

    なお、お母様が住んでいたマンションであれば「居住用不動産」に該当する可能性が高く、
    後見人が単独で売却を決めることはできません。

    この場合は家庭裁判所の売却許可が必要になります。

    許可申立てから許可決定までの期間は事案によりますが、
    数週間から数か月程度を見込むことが一般的です。

    ご心配されている「売却が認められないケース」ですが、
    ・本人が現在も居住している
    ・売却の必要性が乏しい
    ・売却価格が著しく低い
    ・親族側の利益が優先されているように見える
    といった場合には、裁判所が慎重な判断をすることがあります。

    もっとも、ご相談内容のように施設費用の捻出という明確な目的がある場合は、
    売却理由として十分合理的と考えられます。

    また、「後見人に親族が選ばれるか」という点ですが、
    親族が候補者として申立てることは可能です。

    ただし、最終的に誰を後見人に選任するかは家庭裁判所が判断します。

    近年は、
    ・財産額が大きい
    ・不動産売却が予定されている
    ・親族間に利害対立がある
    といったケースでは、
    弁護士や司法書士などの専門職後見人が選任されることも少なくありません。

    そのため、「長男だから選ばれる」「申立てをしたから選ばれる」というわけではありません。

    もし親族後見人を希望するのであれば、
    ・これまでお母様の財産管理を適切に行ってきたこと
    ・親族間で大きな争いがないこと
    ・利益相反のおそれが小さいこと
    などを申立書類の中で丁寧に説明していくことになります。

    なお、認知症によって判断能力が失われている場合、
    ご本人名義の不動産を有効に売却するための方法は、
    原則として成年後見制度を利用することになります。

    後見制度を利用せずに家族だけで売却を進めることはできませんし、
    仮に契約しても後日無効と判断されるリスクがあります。

    そのため、まずは成年後見申立てを進め、
    その上で施設費用の確保という目的を明確に整理しながら
    売却手続きを進めるのが法律上の正攻法といえるでしょう。

  • 私が回答します

    小川佳宏

    小川FP・行政書士事務所

    • 60代
    • 愛知県
    • 男性
    • 専門家
    投稿日
    2026/06/21

    ご相談内容拝見しました。お母様が認知症になられて施設入居のためにご自宅を売却されたいが、司法書士から成年後見人の申し立てを進められており売却できるかご心配なのですね。

    まず、大まかな流れです。2~3か月かかるのが一般的です。
    1. 申立ての準備(書類集め):
    2. 申立て・面接
    3. 審判(後見人の選任)
    4. 自宅売却の手続き
    裁判所のホームページで必要書類や申立書の書き方を見ながら相談者さまが申し立てすることができますし、司法書士に依頼することもできます。目的が施設入居のための利用料の支払いですが、お母様に金融資産がたくさんあるとか、親族間で争いがあると外部の専門家が選任される可能性が高まります。全体の2割程度が親族後見人で8割が外部の専門家が選任されている統計があります。(令和5年) 申立書の記載はお母様の利益を中心に記載します。「単に施設入居のため不動産を売却したい」だけではアピールが弱いでしょう。相談者様を後見人として申し立てる記載の仕方も司法書士に相談して工夫してアピールできるようにするとよいでしょう。

    仮に売却できない場合は、家庭裁判所の判断の根拠を確認して、資料の不備であれば再度、申立をするとか、金融資産から施設料を賄っていたが少なくなってきたとか、過去のお母様の看護を担ってきた、金銭管理能力があるとか、タイミングをずらすことも考えられます。また、自宅を賃貸にだして家賃を施設の費用にあてることも考えられますが、これも家裁の許可が必要になります。要は家裁の判断基準がお母様の不利益にならないか、今、不動産を売却する必要があるのかの1点ですので、金融資産残高の減少、将来のお母様のキャッシュフロー、売却予定額(査定をいくつかとる)や賃貸相場が適切なことなどを主張して認めてもらうことも考えられます。

    以上ご参考まで。

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