不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

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    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/06/27

    今回のケースは、不動産会社の説明自体は基本的に正しいと思われます。

    配偶者居住権が設定されている建物を第三者へ売却する場合、
    実務上は配偶者居住権を消してから進めることになります。

    買主からすると、「誰かの居住権が残ったままの建物」を購入するメリットがありませんので、
    通常の市場で売却するのであれば抹消は避けて通れません。

    問題は、その抹消手続きができるかどうかです。

    軽度の認知症というだけで直ちに無効になるわけではありません。

    法律上は認知症という診断名ではなく、その時点で契約内容を理解し、
    判断できる能力があるかどうかで判断されます。

    つまり、お母様が配偶者居住権を放棄する意味や、売却して施設費用に充てる必要性を理解し、
    自分の意思で同意できる状態であれば、有効に手続きできる可能性はあります。

    一方で、判断能力に疑義がある状態で進めてしまうと、
    後から無効を主張されるリスクが残ります。

    そのため、司法書士や弁護士が慎重な判断をすることは珍しくありません。

    もし判断能力が不十分と判断される場合は、成年後見制度の利用が現実的な選択肢になります。

    ただし、ご質問にもある通り、後見人が付けば全てがスムーズになるわけではありません。

    後見人は本人の財産を守る立場ですから、
    「売却した方が家族にとって便利だから」という理由だけでは動けません。

    施設費用の確保や空き家管理の負担、維持費との比較など、
    本人の利益になることを説明できる必要があります。

    ここはよく誤解される部分です。

    不動産業界の実務で見ると、
    実は今回のようなケースは配偶者居住権制度が始まった当初から懸念されていた話でもあります。

    相続税対策としては非常に有効だった一方で、
    その後の売却や施設入居の場面で手続きが複雑になることがあるからです。

    当時は正しい選択だったとしても、その後の状況変化までは誰も完全には予測できません。

    ですから今さら「配偶者居住権を設定しなければ良かった」と考える必要はないと思います。

    現時点で大切なのは、お母様の判断能力がどの程度あるのか。
    施設入居がどの程度具体化しているのか。売却代金が施設費用にどれだけ必要なのか。
    この3点を整理することです。

    その結果によって、本人同意で進められるのか、成年後見の検討が必要なのかが見えてきます。

    不動産会社の立場からすると、まず司法書士や弁護士に
    「現在の状態で有効な意思表示が可能か」を確認することが先になります。

    その結論が出れば、不動産の売却方法そのものは比較的整理しやすい案件です。

    逆に言うと、今は売却活動そのものよりも、
    お母様の権利処理の見通しを立てることが最優先だと思います。

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