不動産のお悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2024/08/04

    鈴木洋輔

    鈴木洋輔税理士事務所

    • 40代
    • 埼玉県
    • 男性
    • 専門家

    ご質問ありがとうございます。

    お父様の健康状態が悪化していることは心配ですね。
    年齢ばかりはどうすることもできないので、
    現実的な管理体制を工夫することは
    とても大切なことだと思います。

    運用面や親族間のデメリット・リスクについては
    すでに回答がされていますので、
    税務面での注意点をお伝えします。


    ■ 損益通算ができない
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    例えば、マンションの修繕費用が大きくなり、
    不動産所得が赤字になったとします。
    通常であれば、年金所得などと相殺して
    税金を安く計算できます。
    しかし、信託財産から生じた赤字は
    他の黒字と相殺することができません。

    過去の申告書を見て、
    赤字が多いような物件でしたら注意が必要です。


    ■ 赤字の繰越ができない
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    築年数の経過により、
    外壁や屋根などを大規模修繕することが
    あるかもしれません。

    大規模修繕のコストは高額なケースが多く、
    大きな赤字を計上することがあります。

    通常、青色申告なら赤字は3年間繰り越せるので、
    翌年の黒字と相殺することができます。
    しかし、信託の場合、赤字は切り捨てられます。
    翌年の黒字と相殺することはできません。

    大規模修繕を計画しているのであれば、
    かなり不利になりますのでご注意ください。


    ■ 信託用の決算書を別途作成
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    例えば、マンションは信託に入れて、
    駐車場は信託に入れないといった場合、
    決算書は別々に作る必要があります。

    通帳を分ける必要もありますし、
    経費の領収書も別々に管理する必要があります。

    確定申告では、2つの決算書を合体して申告しますが、
    会計ソフト側は「合体」なんて想定していない
    ケースもあります。
    もし、ご自身で確定申告をしているのであれば
    申告時に工夫が必要になるかもしれません。

    確定申告の手間が増えたり、
    税理士の顧問料が増加する可能性がありますので、
    ご注意下さい。


    ご参考になれば幸いです。

  • 私が回答します

    投稿日
    2024/07/03

    奥林洋樹

    H.L.C不動産コンサルティング

    • 50代
    • 北海道
    • 男性
    • 専門家

    家族信託は、家族による財産管理手法の一つです。
    財産権(財産から利益を受ける権利)と、財産を管理運用処分できる権利に分け、後者だけを家族に信託する契約です。

    これにより所有者がご自分で財産管理ができなくなった財産に関し、管理・運用・処分を行うことが可能になります。

    柔軟性の高い財産契約ではありますが、成年後見人制度と違い「信上監護権」はありません。介護付き老人ホームなどに入居する場合において、受託者が代理人として入居契約をすることができないということです。

    また受託者の負担が大きいのも特徴です。

    受託者には建物等について管理する義務が生じます。例えば台風により屋根板金が剥がれ通行人が被害を受けた場合の賠償責任などは、受託者が自分の財産で賠償しなければなりません。

    また相続人は単独でしょうか?

    他に相続人がいるのに相談せず話を進めた場合、親族間で不公平感を生むことがあります。とくに収益物件を管理する場合は、収支が開示されないと使い込み疑惑が発生します。また相続人間で話し合いがスムーズにいってない場合に、遺留分侵害請求される場合も多いようです。

    ◯身上監護権
    ◯管理責任
    ◯親族間の不和

    この3つが家族信託のデメリットとなりますので、信託契約前に検討すると良いでしょう。

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