不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2026/08/14

    結論から申し上げますと、売却は可能です。

    注意点は以下となります。
    ◆地中に他人の設備があることを買主に隠さず、重要事項として必ず説明・告知する必要があります。
    ◆使用承諾書がある場合には契約の相手方(電力会社)へ、現在の契約内容の確認をしておくことをおすすめします。
    ◆契約が有効な場合、契約の相手方(電力会社)の許可なく撤去処分をすることはできません。
    ◆撤去・移設を希望する場合、契約の相手方(電力会社)へ連絡して現地確認を依頼し、撤去や道路側等への移設ができないかの協議を申し入れます。なおその場合、移設費用を請求されたり移設先の提供を求められることがあります。
    ◆撤去や移設ができない場合、状況によって「マイナス評価」となる時には、相場よりも安くしないと売れない場合があります。

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/16

    これは、単に「電力会社の設備だから撤去してもらえるか」という話ではなく、
    その設備を電力会社がどのような権利・契約関係で土地に設置しているのかを
    確認することが先です。

    今回のように、
    お父様の書類から土地使用を認める書面が出てきているのであれば、なおさらです。

    電柱の支線を固定するアンカーは、実際に地中1~2m程度に設置されることがあります。
    したがって、
    業者さんが勝手に抜いたり移動したりできないという説明自体は不自然ではありません。

    まず確認したいのは、その古い書類です。

    例えば、
    「土地使用承諾書」
    「電柱・支線等の設置に関する承諾書」
    「地役権設定」
    「賃貸借・使用貸借」
    など、どのような内容になっているかによって話がかなり変わります。

    特に地役権などの物権的な権利が設定されている場合、
    土地を相続したからといって当然に「もう使わせません」「撤去してください」
    とできるとは限りません。
    民法上、地役権は一定の場合に土地の所有権とともに移転します。

    一方で、電力会社の設備がある土地は絶対に売れない、ということでもありません。

    設備を残したまま売却することも考えられますし、
    買主が建築等をするうえで支障になるのであれば、
    売却前に移設・撤去が可能か電力会社と協議する方法もあります。

    実際、電力会社では電柱や支線の移設等について申込みを受け付けています。
    ただし、移設できるかどうか、費用を誰が負担するか、
    工事までどの程度かかるかは設備の状況や移設理由によって変わります。

    ですから、今回いきなり「撤去してください」と交渉するより、私は次の順番で進めます。

    まず、土地にある設備を写真に撮り、電柱に表示されている会社名・番号を確認する。

    次に、お父様が残した土地使用に関する書類を確認する。

    そのうえで、電力会社に
    「この土地を相続して売却を検討しています。この設備が現在も必要なものなのか」
    「土地使用について、どのような権利・契約関係になっているのか」
    「売却後も設備を残す必要があるのか」
    「撤去・移設は可能なのか」
    「可能なら費用負担はどうなるのか」
    「手続きにどのくらい時間がかかるのか」
    をまとめて確認します。

    ここは売却を考えていることも最初から伝えた方がいいと思います。

    というのも、土地を売ってから買主側が「この設備を移動してほしい」と言い出すより、
    売却前に電力会社との関係を整理しておいた方が、買主への説明もしやすく、
    契約条件も決めやすいからです。

    また、電力会社側に正当な土地使用権がある場合には、
    売却前だからといって当然に撤去を要求できるわけではありません。
    逆に、単なる承諾契約で、
    現在の利用状況や契約内容から移設・終了について協議できる余地があるケースもあります。

    ですから、
    「電力会社の設備がある=撤去できない」でも「土地所有者だから撤去できる」でもありません。

    今回の場合、すでに古い承諾書が見つかっているので、
    まずその書類を不動産会社に見せ、電力会社にも確認してもらうのが一番です。

    そして売却については、
    撤去できるかどうかが分かるまで何もできないということではありません。

    設備が土地利用にほとんど影響しないのであれば、
    その状態を買主にきちんと説明したうえで売却するという選択肢もあります。

    反対に、建物を建てる場所にアンカーが入っているなど、
    買主の利用に明らかに支障が出るのであれば、
    撤去・移設をした場合としない場合で土地の価値がどう変わるかを
    不動産会社に確認したうえで判断した方がいいでしょう。

    不動産売却では、
    こういう設備を見つけたときに「邪魔だから撤去できるか」だけを見るのではなく、
    その設備があることで買主にどんな制限が出るのか、
    撤去するためにいくら・どれくらいの期間が必要なのか、
    残したままでもいくらなら売れるのかまで考えるのが実務的です。

    まずはお父様の書類を持って、電力会社と不動産会社の双方に確認してみてください。
    そこが分からないまま解体や整地を進めるのは、私はおすすめしません。

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