不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    金子徳公

    株式会社ハウジングサクセス

    • 50代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/08/27

    このケースは、まず「海外赴任になったらペアローンを続けられないのでは」
    と心配しすぎる必要はないと思います。

    ただし、ここは銀行によって取り扱いが違う部分があります。
    夫がシンガポール勤務になり、税務上・銀行上の「非居住者」になるのであれば、
    今までと同じ条件で何も手続きせずに済むとは考えず、
    赴任が決まった段階で借入先の銀行に必ず確認しておくのが正解です。

    住宅ローンは夫婦それぞれが別々の借入契約をしているため、
    夫の3,000万円のローンと妻の2,800万円のローンは、それぞれ確認する必要があります。
    一般的なペアローンでは、夫婦それぞれが債務者となり、それぞれの団信に加入する仕組みです。

    今回、銀行に確認しておきたいのは、私は次の点だと思います。

    まず一番大事なのが、海外赴任によって夫が非居住者になっても、
    現在の住宅ローンをそのまま継続できるのかです。

    「会社都合の海外赴任で、家族は日本の自宅に住み続ける」という事情は、
    単に自宅を海外から賃貸に出すケースとは全く違います。

    今回のように奥様とお子さんがそのマンションに住み続けるのであれば、
    その点も銀行にきちんと伝えてください。

    次に、返済方法です。

    夫の返済口座をどうするのか、海外赴任中も日本の口座からこれまで通り引き落とせるのか、
    給与振込口座が変わる場合にどうするのかを確認します。

    銀行によっては海外居住者に対する口座サービスなどに制限がある場合もありますので、
    ここは「たぶん今まで通り」で進めない方がいいです。

    そして、団信についても必ず確認してください。

    団信は「住宅ローンに付いているから海外に行っても当然そのまま」とは考えず、
    現在加入している団信の保障が海外赴任中も継続するのか、
    海外滞在中に死亡・高度障害等が発生した場合の請求手続きはどうなるのかを
    確認しておくと安心です。
    団信の保障内容や引受条件は金融機関・保険会社によって異なります。

    それから、意外と大事なのが住所変更や税務上の手続きです。

    海外赴任に伴って住民票を海外へ移すのか、
    赴任期間中の住所や連絡先を銀行へどのように届け出るのか。
    銀行から求められる書類があるのかも確認しておきます。

    また、住宅ローン控除を現在利用しているのであれば、
    海外赴任によって夫の居住要件がどうなるのかは、
    住宅ローンとは別に税務上確認しておいた方がいいでしょう。
    ここは「銀行が大丈夫と言ったから税金も大丈夫」とは限りません。

    今回の場合、私なら銀行に次のようにまとめて聞きます。

    「夫が会社都合で今年秋から3年間シンガポールへ海外赴任し、夫のみ非居住者となる予定です。
    妻と子どもは現在のマンションに住み続けます。
    現在ペアローンで夫3,000万円、妻2,800万円を借りていますが、
    海外赴任後もローンを継続するために必要な手続き、
    返済口座、団信、住所変更、必要書類について教えてください」
    これで銀行側も確認すべき事項を整理しやすくなります。

    そして、個人的には「海外赴任になったから売却や借り換えを考えなければならない」
    と今の段階で考える必要はないと思います。

    むしろ今回のケースでは、奥様とお子さんがそのまま住み続ける予定なのですから、
    まず現在の銀行に事情を説明して、今のローンを継続できるのかを確認する。

    その回答を聞いてから考えれば十分です。

    特にペアローンだからといって、
    夫が海外に行くことで妻の2,800万円まで当然どうにかしなければならない、
    という話ではありません。
    それぞれのローン契約について銀行の取り扱いを確認することが先です。

    なお、フラット35のペアローンでも、2本の融資それぞれに返済口座を設定し、
    それぞれの借入について団信に加入する仕組みになっています。
    ペアローンは「夫婦で一つのローン」というより、
    同じ物件について夫婦がそれぞれローンを持っていると考えた方が分かりやすいです。

    3年間の海外赴任ということであれば、今の段階で必要以上に心配するより、
    赴任前に銀行へ正式に届け出て、何を変える必要があるのかを確認しておくことが一番です。

    銀行には「海外赴任ですが大丈夫ですか」だけではなく、
    「ローン契約は継続できるか」
    「返済口座はどうするか」
    「団信は継続するか」
    「銀行への住所・連絡先変更は何が必要か」
    「海外赴任中に繰上返済などをする場合の手続きはどうなるか」
    「住宅ローン控除について銀行側で案内できることはあるか」
    まで一度に聞いておけば、かなり安心できると思います。

    今回のようなケースは、ネットで一般論を探すより、
    実際に借りている銀行に確認するのが一番確実です。
    銀行側も珍しい相談として扱う可能性はありますが、
    だからこそ事前に確認しておく価値があります。

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