不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2025/01/03

    奥林洋樹

    H.L.C不動産コンサルティング

    • 50代
    • 北海道
    • 男性
    • 専門家

    ご相談を拝見しました。

    従前より利用しやすくなった競売ですが、相応のリスクが伴います。基本的な知識が伴わない状態での利用は、私個人としてお勧めしません。理由としては以下のようなものが挙げられます。

    ◯得られる情報が制限される
    例外を除き競売物件は内覧できません。三点セット(物件明細書・現況調査報告書・評価書)に記載された情報から、建物内部の劣化状況や権利関係を判断する必要があります。特に建物内外の状況については写真点数がそれほど多くはなく、かつ現況調査時点の内容です。したがって、競落後に室内に入ると想定した以上に状態が悪いケースもありえ、その場合、相談者様が心配されている通り修繕費も跳ね上がります。

    ◯時間的な問題
    入札期間は最大でも1ヶ月弱程度であり、その間に入札額を決定し入札しなければなりません。三点セットの閲覧開始から物件調査や、融資申込(競売でも住宅ローンの利用は可能です。ただし、融資実行のタイミングや登記手続きなど、知識のない方が手掛けるのは困難を伴います)などを行う必要があり、これを一般の方が行うのはなかなかに困難です。

    ◯入居者の立退き
    占有者がいる場合、立退き交渉を自ら行う必要があります。従前とは違い、占有者が立退きに応じない場合には裁判所が比較的簡易に「不動産引渡命令」を発してくれるようになりましたが、命令が出された後も占有が継続されている場合には、強制執行を断行しなければなりません。その場合、執行官の立会調整や鍵業者、引っ越し業者の手配などが必要となり、手間と時間、費用のほか相応の知識も必要です。

    競売物件は市場価格の7~8割り程度が競落額になると言われていますが、不動産価格高騰の余波もあり最近は競落額が上昇している傾向も見受けられます。妥当性を鑑みた入札額の決定についても、相応の知見が求められます。

    なお、不動産競売手続きの流れについては、裁判所が運営するサイトに詳しく記載されていますのでご確認ください。
    こちら

    以上、参考になれば幸いです。

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