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REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2024/12/12

    奥林洋樹

    H.L.C不動産コンサルティング

    • 50代
    • 北海道
    • 男性
    • 専門家

    ご相談を拝見しました。

    確かに、2015年以降に相続税対策として急増してきたサブリース物件の賃料が、2025年に大幅に値下げを求められる危険性があるとの記事を見かけることが多くなりました。

    背景には、相続税法の改正とサブリース契約の問題があると論じられています。

    物件オーナーとサブリース会社が締結するマスターリース契約は、30年間などの長期で契約されるのが一般的です。オーナーに支払われる家賃は、満室時家賃合計の80~85%程度で設定されているでしょう。空室率が増加した状態でこの家賃を負担し続ければサブリース会社は赤字になりますから、値下げ請求が行われます。

    家賃が下げられれば資金計画に問題が生じるので、オーナーとしてはこの要望を断りたいところですが、これは簡単ではありません。

    マスターリース契約の解約や家賃増減請求については、借地借家法の規定が適用されるからです。東京地裁で令和元年、マスターリース契約に借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶要件)が適用されるかについて争われた事件があります。裁判所はマスターリース契約であっても、同法第28条が適用されると裁定しました。

    このような裁判令が存在することから、借地借家法第32条(賃貸増減請求権)、具体的には「建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」との規定が適用される可能性は高いでしょう。

    したがって、サブリース会社が正当事由を根拠に賃料引き下げを求てきた場合には、その金額の妥当性について争う他ありません。

    以上、多少なり参考になれば幸いです。

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