不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    投稿日
    2025/03/30

    奥林洋樹

    H.L.C不動産コンサルティング

    • 50代
    • 北海道
    • 男性
    • 専門家

    ご相談を拝見しました。

    ご存じかと思いますが、原則として相続放棄の熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内です。これは、お父様の死亡を知った時からではなく、ご自身が相続人であることを知った時からです。

    しかし、相談内容を見る限り財産の全容が把握できていないようですから、家庭裁判所に熟慮期間の延長(相続の承認又は放棄の期間の伸長)を申立る必要があります(申立も3ヶ月以内ですのでご注意を)。

    申請先は相続開始地(被相続人の最後の住所地)の家庭裁判所、費用は相続人1人につき収入印紙800円及び連絡用の郵便切手です。

    書式や記載例については、次の裁判所HPから提供されています。

    こちら

    申立により3ヶ月間熟慮期間が伸長されますので、次のとおり現状把握を行います。

    ①遺品整理の徹底:通帳、証券、不動産関係の書類、借入に関する書類(契約書、督促状など)、保険証券、年金手帳などを探索。

    ②金融機関への照会:取引していた可能性のある銀行、信用金庫、証券会社などに連絡し、口座の有無や残高証明書の発行を依頼します。過去の取引履歴も入手できる場合があります。

    ③不動産の調査:不動産の所在地を管轄する市区町村役場の資産税課で、名寄帳を取得します。また、固定資産税評価証明書も併せて取得し、さらに法務局で登記事項証明書を取得します。

    ④信用情報の照会:JICC(日本信用情報機構)、CIC(シー・アイ・シー)に信用情報開示を請求して、お父様の借入状況を把握しましょう。

    ⑤生命保険・年金の確認:保健証券や年金手帳をもとに、具体的な内容を調査します。

    以上の調査を行えば、家屋内に書類等が保存されていなくても財産状況がほぼ把握できます。そのうえで、明らかにマイナスとなるようであれば相続放棄を、プラスの範囲でマイナスも相続するのであれば限定承認を検討されると良いでしょう。ただし、限定承認は手続きが煩雑なので、弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。

    今回のケースでは、特に空き家の存在が気がかりですね。固定資産税は毎年発生しますし、管理にも費用がかかります。熟慮期間の延長を申し立ててもそれほど猶予があるわけではありませんから、早めに空き家の状況(所在地、評価額、権利関係など)を確認し、今後の対応を検討する必要があります。

    以上、お悩み解決の一助となれば幸いです。

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