不動産お悩み相談室

REAL ESTATE Q&A

  • 私が回答します

    山賀 達木

    株式会社トップトラスト

    • 30代
    • 東京都
    • 男性
    • 不動産会社
    投稿日
    2026/07/17

    ご相談内容を拝見しました。

    【仕組み】
    不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法(不特法)という法律に基づいて許可を受けた事業者が、複数の投資家から出資を集めて不動産を取得・運用し、そこから得られる賃料収入や売却益を分配金として還元する仕組みです。多くは「匿名組合型」という形で、投資家は事業者に出資するだけで、実際の物件の運用・売買は事業者が行います。1万円程度の少額から参加できる点が、通常の不動産投資と大きく違うところです。
    元本保証ではない、というのは正しい理解です
    不特法上、事業者が投資家に対して元本保証や利益保証をうたうことは禁止されています。もし「元本保証」「絶対に損しない」といった説明をする事業者がいれば、それ自体が違法または無登録業者の可能性が高いので、警戒したほうがいいです。
    多くのファンドでは「優先劣後方式」という仕組みが採用されています。これは、物件の評価額が下がって損失が出た場合、まず運営会社側の出資分(劣後出資)から損失を吸収し、投資家の出資分(優先出資)はその後まで守られる、という設計です。これはリスクを軽減する仕組みであって、「保証」とは別物だと理解しておくことが大切です。劣後出資の割合が高いファンドほど、投資家側が保護される範囲が広くなります。

    【実際に起きているリスク】
    ・不動産市況リスク:空室率上昇や価格下落で、想定していた収益が出ないリスク
    ・運営会社の信用リスク:事業者の倒産や行政処分によって、配当や償還金の支払いが遅れる、あるいは回収困難になるリスク。業界全体として元本毀損の事例は稀ですが、2025年以降、配当の遅延や運営会社の経営破綻に類する事例も実際に出てきています
    ・資金拘束:運用期間中は基本的に途中解約ができず、資金が動かせません

    年利5〜8%という数字は、預貯金と比べればかなり高い利回りですが、それはリスクの裏返しでもあります。「高利回り=お得」ではなく、「なぜその利回りが実現できるのか(物件の種類、立地、事業者の運用方針)」を確認する視点が必要です。

    【初心者が手を出していいか】
    絶対にダメというものではありませんが、次の点は押さえてから始めることをお勧めします。

    ・生活防衛資金には手をつけず、あくまで余剰資金の範囲で行う
    ・事業者が不特法の許可(または届出)を受けた正規の事業者かを確認する
    ・優先劣後出資の割合(劣後出資比率が高いほどリスク低減効果が高い)を確認する
    ・事業者の運用実績や財務状況、これまでの償還実績を確認する
    ・1つの事業者・案件に集中させず、少額で複数に分散する

    現物の不動産投資に比べれば手間が少なく、少額から始められる分、投資初心者が不動産投資の仕組みを学ぶ入り口としては悪くない選択肢です。ただし、預貯金の延長のような感覚で大きな金額を入れるのは避けたほうがいいと思います。

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